直樹と朱里が来て…
文化祭2日目。
昨日は結局渚以外誰も来なかった。
まあ渚と話した後は移動するのが面倒で外のベンチに1時間座ってたからな。
まさかみんな僕がスタンプを持っているなんて思わなかったのだろう。
僕が休憩時間に入ってる時の代わりは用意せず「校内一のイケメン」のスタンプは僕の時間の時だけしか集めることが出来ない難易度の高いスタンプ。
そう慶太は僕に説明してくれたが、ただでさえ渚しか来なかったというのにこれ以上難易度上げてどうするんだよって思った。
今日の文化祭は一般公開ということもあり昨日以上に賑わっている。
みんな楽しんでるなぁなんて思いながら僕は昨日と同じようにスタンプを持ちながら校内をウロついている。
しかし、ほんと誰もスタンプをもらいに来ない…
僕並みのイケメンは校内にほとんどいないのになぜ?
購入者はちゃんと探してるのか?
「よ!冷!」
ん?
冷「あ、直樹じゃん。」
「私もいるよ〜」
冷「あ、朱里も。」
直樹「気になって来ちゃったよ〜冷の高校。」
まさか直樹と朱里が文化祭に来るとは…
全然予想もしてなかった…
冷「わざわざ遠いのによく来たね。」
直樹「ほんとよ。よくこんな遠いところ毎日通えるよな。」
冷「まあ大変だけど。」
仕方ないだろ。
あえて誰も僕を知ってる人がいない学校を選んだんだから。
直樹「ところで冷のクラスはどこ?」
冷「1年2組。」
直樹「折角だから案内しろよ〜」
冷「いや、今仕事中なんだよね。」
朱里「仕事中?何もしてないじゃん。」
冷「いやしてる。スタンプ係なんだよね。」
直樹「スタンプ係?」
冷「そう。クラスの出し物がスタンプラリーで、それでね。」
朱里「それなんか楽しそうだね!直樹買いに行こうよ!」
直樹「そうだな!冷ちょっと待ってて!」
走って買いに行ったみたい。
まあ折角買ってくれるんだし仕方なく待ってあげるか。
渚「ちょっと、あんた。」
冷「あ、渚。またスタンプ?」
渚「そうよ、悪い?」
冷「いや別に。昨日もやって今日もやる人もいるんだなって思っただけ。」
渚「そんなの私の勝手でしょ!」
冷「何怒ってんの?」
渚「は?別に怒ってなんかないし。」
冷「そう。」
渚「そういえばあんた、今日もあの宮本さんと星乃さんと回るわけ?」
冷「おそらく。」
渚「あっそ。ってかあんたどっちか好きなの?」
冷「好きじゃない。」
渚「じゃあ何で2日連続で一緒に回るわけ?」
冷「誘われたから。」
渚「断らないの?」
冷「断るための合理的な理由はないし、それに断ったら宮本さんが面倒なことになる。」
渚「あの宮本さんってほんと性格悪いと思うんだけど。」
冷「性格というより口が悪い。そして態度も。」
渚「絶対あの子あんたのこと狙ってるよ。」
冷「そうかもしれない。」
渚「は?あんた良いのそれで?」
冷「別に。告白して来たら振れば良いだけ。」
実際は好きになられるとうっかりベッドインまで行きそうで怖いから、出来れば好きでいて欲しくない。
まあ宮本さんは僕のこともう好きではないだろうし。
渚「そう。ならいいけど…」
直樹「おい冷!買って来たぞ!ってあ!渚ちゃんじゃん!」
渚「あ、どうも。」
直樹「久しぶり!俺のこと覚えてる!?」
渚「一応顔は…」
直樹「顔だけか〜」
朱里「ちょっと直樹、何で走っていくの!って…あ…」
渚「あ…」
あ…
これは…