高校デビュー高松に呼び出されて…
廊下の端まで呼び出された。
急に呼び出された事と昨日の事もあり、呼ばれた時教室にいた生徒全員が僕の方を見ていた。
高松「ごめんな、呼び出して。」
冷「別に良いよ。で、何?」
高松「実は昨日までの事を謝りたくて。俺調子に乗りすぎてたわ。なんて言うか、つい勝手に盛り上がってしまっていうか。本当にごめん!」
翌日に謝ってくるとは。
別に謝罪とか求めてないのに。
まあ適当に謝っているわけではなさそうだし、ここは素直に受け入れよう。
僕からすれば許す許さないとかはどうでもいい。
元々仲が良かったわけではないし、これから仲良くなるつもりもないからな。
冷「別に謝らなくて良いよ。僕の方こそいきなりきついこと言ってごめん。」
高松「いや、三上君が正しかったと思う。俺やっぱ高校初めての文化祭だからどこか変だったわ。これからは気をつけるからさ。」
変だった?
むしろ今まで通りだった気がするけど。
あの薄っぺらいノリや全然面白くない会話。
女子から注目されたくてやっているんだけど逆効果というかむしろ変に注目されているというか。
冷「分かった。じゃあ僕はこれで。」
高松「ちょっと三上君!」
冷「まだ何か?」
高松「俺三上君と仲良くなりたいんだよね!」
冷「はい?」
は?
仲良くなりたい…?
何で…?
え?
は?
高松「俺さ、三上君のこと尊敬してるんだよね!三上君ってカッコいいしセンスあるし大人しいし優しいし俺の憧れなんだよね。だからこれから三上君と仲良くなりたいっていうかさ…もっと話してみたいっていうかさ!」
え?
何それ?
告白?
いやいやいやいや
普通に考えて無理でしょ。
こいつ苦手だし。
大体何勝手に尊敬して憧れてんの?
ってかセンスあるとか優しいとか僕のどこを見て言ってるわけ?
もしかして球技大会の時にこいつの好きそうなネタを教えてあげたことか?
いやいや、あれを優しさと捉えられたら困る。
あんなのは僕が注目されないためにしたことだし。
まさかの展開なんだけど…
冷「そうなんだ。」
高松「うん、ダメかな?別に今日からじゃなくて良いから徐々にって感じでさ。」
徐々に仲良くってか?
いやいや全然仲良くなれる気がしないんだが…
高松「無理かな?」
冷「いや無理っていうか、正直仲良くなれる気がしないんだけど。」
高松「大丈夫!これから仲良くなる!」
何を根拠に言ってんだこいつは…
でもまあ漫画とかアニメでよくあるよねこういうの。
嫌いだった人と最終的には仲良くなっているパターン。
僕もこれにハマれってか?
いやいや無理でしょ。
大体僕にメリットが無いし。
冷「どうして仲良くなれるって言い切れるの?」
高松「男の勘かな〜、なんか絶対仲良くなれるって気がするんだよね!」
勘とか根拠でも何でもない。
しかしここでダラダラ話しても仕方がない。
すぐにチャイムが鳴りそうだしここは僕に都合の良い条件を提示して終えよう。
冷「じゃあ一つ守ってくれる?」
高松「ん?何!?」
冷「他の人と話してる時に僕を巻き込まないこと。僕の名前を出さないで欲しい。」
高松「うん、分かった!でも俺そんなこと今までした?」
バカなのかこいつは。
昨日の事もう忘れたのか?
さっき謝ってたじゃねえかよ。
絶対こんなバカな高校デビューと仲良くなんて出来ない。
まあとりあえず条件は提示したからこれで僕が前みたいに勝手に巻き込まれるのはなくなるはず…
必ずとは言い切れないけど。
冷「とりあえずそれは守って欲しい。」
高松「分かった!絶対守るよ!だから徐々に仲良くなって行こうな!」
冷「うん。」
無理だと思うけど。
教室に戻るとクラス全員が僕らの方を見ていた。
おそらく僕と高校デビュー高松が何を話したか気になっているんだろう。
いつになったらこの皆からの目線がなくなるのだろう。
どうせ浴びるならイケメンとしての目線の方がまだマシ。
今浴びてるのは冷たい疑いの目というか怯えられているというか。
無理もないのは分かっているけど。
ハル「冷君、高松君と何話したの…?」
冷「昨日の事についてです。」
ハル「そ…そうなんだ…」
知りたそうだけどいつも通り余計なことをわざわざ言う気はない。
聞くなら僕ではなく高校デビュー高松の方に聞けば良い。
どうせベラベラ喋るだろう。
宮本鳴:何話してたの?
あ、宮本さんからLINEだ。
三上冷:昨日の事についてです。
宮本鳴:詳しく説明しなさい。
三上冷:高松君に謝られました。
宮本鳴:そう
宮本鳴:それであなたはなんて答えたの?
三上冷:受け入れました。
宮本鳴:そう、なら良いけど
とりあえず、昨日のことは出来るだけ忘れるようにしてモテない対策を考えるようにしたい。
このままだとうっかり誰かを家まで呼んでしまいそうになる。
そしてベッドインでゴール。
してはいけない行為。