もう言ってしまおう
月曜日、3時間目、文化祭準備開始。
岬「文化祭準備ということで、あとは実行委員の二人お願いしまーす。」
岬先生またそうやって二人に丸投げかよ。
自分で言うのも何だが、全然やる気ないだろ。
いや、これはあえて生徒の自主性を尊重しているのか?
なんてそんなこと出来るのはある程度教師歴がある先生。
普通2年目ならもっと頑張ろうとするだろ。
本当にこの人は歳下の男目当てで教師になったのか?
そしてターゲットが僕か…
っていうかいい加減たまに僕の方を見てニヤニヤするのやめてくれませんかね?
ショウタ「では出し物のスタンプラリーについて色々決めて行きたいと思います。主に決めていかなければいけない点は3つで役割、受付場所の位置、景品です。まず役割について決めて行きたいと思います。スタンプラリーの仕事分担は受付係、宣伝係、スタンプ係の3つに分けられると思うんですが、これ以外に他に何かありますか?」
「無くね?」
「その3つで良いと思う。」
「俺も!」
「私も!」
「あれ?三上君とのツーショットを撮る人は?」
「あ!カメラマンいるね!」
「受付がやれば良いんじゃないの?」
「確かに。」
「そうだな!」
「じゃあ受付はカメラでちゃんと撮れる人じゃないとな!」
「いやカメラって言ってもスマホじゃないの?」
「あ、そうなの?」
「どっちでもいいだろ。」
おい、だから…
何で僕がやる前提で話してんだよこいつら。
僕一回も「やる」なんて言ってないからね?
これで僕がやらないなんて言ったら冷めた空気になって僕のせいにとかになるんだろ?
それで「三上君って名前通り冷たい人なんだね」とか言ってくるんだろ?
言わなくても思うんだろ?
そして冷たい目線が僕に集まるんだろ?
別にショウタと慶太以外で友達になるのはもう諦めてるし、っていうか無理だし。
それと女子もこれで僕に惚れる確率が減れば良いのだけれど。
逆に「三上君なんか可哀想」ってなって僕のことを心配をしてそのうち好きなられたら困る。
ショウタ「他にはないようなので、この3つの係をこの時間決めたいと思います。10分後に決めるのでそれまでどの仕事やりたいか考えてください。」
え、っていうか決めろと言われても高校デビュー高松達からは景品扱いになってるし僕はどうすれば?
僕だけ景品係?
何だそれ、絶対やるワケないだろ。
とりあえず僕は自分のやりたい係を決めれば良いのか。
どうしよう。
まず、宣伝係はない。大声出したくないし。
受付は座ってるイメージがあるから一見楽そうに見えるけど実際はルールを説明したり景品を渡したり面倒くさそう。
となると、スタンプ係か。
慶太が言うには校内をウロウロしていれば良いからまあ簡単そうだし声かけられたらスタンプを押せば良い。
注意するべき点はスタンプを押す時に女の子を惚れさせないことか。
ハル「冷君は本当に景品やるの?」
冷「やりません。」
ハル「だよね!じゃあ冷君はどれにするの?」
冷「スタンプ係ですかね。」
ハル「スタンプか〜、あたし迷ってるんだよね〜、あたしもスタンプにしよっかな〜なんて…」
星乃さん、僕と一緒が良いみたいだけどスタンプ係は当日歩き回っているわけだし一緒にはいられない。
まあ準備期間はもしかしたら一緒に仕事するかもしれないけど。
ハル「鳴は受付だって〜、今LINE来た!」
冷「そうですか。」
LINEって…
同じ教室なんだから会話しろよ。
席そこまで遠いわけじゃないんだから。
それにしても宮本さんが受付か。
どうせ理由は歩きたくないとかだろきっと。
でも宮本さん可愛いけど愛想良くないし口悪いからあまり向いてないのでは?
まあ見た目は良いから客は来るかきっと。
ハル「あたしも鳴と一緒に受付やろっかな〜」
それ宮本さんに言ったら、「ハルは三上君と一緒のにしなさい。」とか言われそう。
おそらく今そのことで一生懸命LINEしてるはず。
早くしないと10分経っちゃうよ?
10分後。
ショウタ「それでは決めていきたいと思います。言うの忘れてましたがそれぞれの人数は黒板に書いてある通りです。人数より多くなってしまった場合はクジで決めます。」
ショウタが一つ一つクラスの前で聞いていき、僕は希望通りのスタンプ係になった。
そして星乃さんはLINE相談の結果、僕と同じのスタンプ係、宮本さんは受付係になった。
しかし、そう上手くいかないのが僕の高校生活。
高松「三上君がスタンプ係やったらツーショット撮れないじゃん!」
やっぱり言って来たか高校デビュー高松。
「確かに!三上君は受付じゃないとダメだよ!」
「俺代わろうか?」
「ってか三上君だけ景品係にすれば良いんじゃね?」
「何それ!ウケるんだけど〜」
「笑わせんなよ。」
「マジそれウケる。」
「やべえツボったわ。」
「じゃあ三上君は景品係で決まり〜?」
「ショウタどうするの?」
ショウタ「えーっと…」
ショウタ戸惑っているな。
こんなに色々勝手に言われても困るだけ。
いくらコミュ力の高いショウタでも無理がある。
仕方ない、ここは僕が言うしかないか。
本当はこんなことしたくない。
でもこの状況になればやるしかないか。
ショウタは戸惑っていて、岬先生はまた僕を見てニヤニヤ。
二人ともあてにならないのだから仕方ない。
上手く行けば景品係を回避し、更に僕に惚れそうな女子を惚れさせずに済む。
失敗すればおそらくこの一年ぼっちになる。
どうなるかね。
冷「あの、すみません。」
高松「お、三上君何?」
冷「僕とのツーショットが景品とか僕が受付やった方が良いとか勝手に盛り上がってますけど、僕は一言もやるなんて言ってません。そもそも聞かれてもいません。高松君達が勝手に盛り上がっているだけですよ。仮に聞かれてもやりませんし大体僕とのツーショットが景品なら僕はずっと受付にいなければなりません。それに誰も僕とのツーショットが欲しいなんて思いません。もし女子が選んだらそれは僕に好意があることになります。僕はアイドルなんかじゃありません。ちょっと考えれば分かります。それと高松君。」
高松「何…三上君…?」
冷「少しは周りの人のことも考えてください。毎回毎回勝手に話して周り巻き込んで、ショウタがどれだけまとめるの大変か分かってます?盛り上がりたいなら教室の外でお願いします。正直邪魔です。話は逸れましたが、とにかく僕は景品なんかやりません。言いたいことは以上です。長々とすみませんでした。」
あぁ終わった…