宮本さんと下校はこれで何回目だろうか
ショウタと上野さんが文化祭実行委員会議での結果を帰りのホームルームで発表した。
2組の出し物は第一希望通りスタンプラリーになり、クラスステージもダンスとコントとファッションショーとなった。
本格的な準備は来週から始まる。
とりあえず僕は楽な仕事かつ地味な仕事をしたい。
出来れば女子と関わることのないやつ。
鳴「あなた帰るわよ。」
冷「はい。」
最近は宮本さんと二人きりで下校することが多い。
というのも星乃さんとショウタ、二人とも放課後に部活と委員会があって忙しいからだ。
別に僕はもう宮本さんと二人きりなっても大したことない。
確かに宮本さんは天使みたいで可愛いしたまに惚れそうになる。
しかし僕は宮本さんがどんな人か大体分かってるし、今の宮本さんは僕に対する恋愛感情はそこまでなく、星乃さんを応援してる状況だ。
そのせいか最近の宮本さんはあまり積極的ではない。
だから少し変に感じる部分もあるけど。
鳴「ちょっとあなたに一つ聞きたいんだけど。」
冷「何ですか?」
鳴「もしハルがあなたと一緒に文化祭回りたいって言って誘ってきたら、あなたはどうするの?」
冷「それって二人きりでですか?」
鳴「そうよ。」
冷「おそらく断ります。」
鳴「やっぱり。じゃあ私を入れて3人だったら?」
冷「断ります。」
鳴「あなた最低ね。」
冷「宮本さんなら聞かなくても分かると思ったんですけど。」
鳴「そうね。あなたはいつも何かしらの理由つけて断ってきたわけだし。今回もそうなることは分かっているわ。どうせあなたは回らずに教室で仕事してるでしょ。」
冷「そうかもしれないですね。」
鳴「青春を満喫する気0だわね。ってかあなたはいつになったら彼女作る気になるの?」
冷「分かりません。」
鳴「彼女作らない理由は面倒だからだったわよね?」
冷「はい。」
実際は違うけど。
鳴「本当にそれだけ?」
冷「はい。」
鳴「本当に?根拠はないのだけれど何か別の理由があるんじゃないかって最近思ってて。」
あれ?まさかバレてきた?
冷「ハルみたいな可愛い子から好意を持たれているのを知っているのにも関わらず付き合う気がない。私はおかしいと思うわ。」
鳴「そうなんですかね。」
そりゃあ星乃さんと誠実に付き合えれば良いけど、僕にはそれが出来ないんだよ。
星乃さんは可愛いし良い人だし絶対傷つけたくはない。
とは言え星乃さんが僕のことを好きな以上、僕は星乃さんを傷つけてしまうことになる。
それは僕が星乃さんと付き合っても振ってもだ。
星乃さんを振ったらもちろん星乃さんの心は傷つく。
もし仮に星乃さんと付き合ったとしてもいずれ浮気をして傷つけてしまう。
だから星乃さんには僕よりも良い人を見つけて欲しいのだけれど、まあ僕よりイケメンな人は中々いないからなぁ。
鳴「あなたって過去に何かあったの?」
冷「いや特に何もないと思いますけど。」
鳴「安藤さんと付き合ってたのは事実よね?」
冷「はい。」
鳴「どれぐらい付き合ってたの?」
冷「2ヶ月ぐらいですかね。」
短期間なのは覚えてるけど具体的な期間は覚えてない。
色んな女の子の記憶が混ざっていて誰が誰だったか…
思い出せれば何で渚と朱里が仲悪いのか分かるのに。
鳴「短いわね。別れた原因は?」
冷「それはちょっと覚えてないです。」
嘘。
別れた原因はなぜかはっきり覚えてる。
一言で言えば僕の浮気。
鳴「なぜ?」
冷「覚えてないので理由も何もないです。」
鳴「まあいいわ。いずれあなたと同じ中学の人見つけて聞き出すから。そのつもりで。」
冷「分かりました。」
そんな簡単に見つからないだろ。
渚も朱里も簡単に言うとは思えないし。
まあ仮に宮本さんに僕の過去が知られてもそこまで問題ないように感じるけど。