球技大会また来年
渚「1組の男子結構強いから、あんたなんかに負けない。」
冷「はいはい、そうですか。」
渚「は?何その態度?あんた勝つ気あんの?」
ない。
冷「う〜ん、どうだろう?勝負にこだわるよる楽しみたいっていう感じ。」
そして嘘。
渚「何それ。ちゃんと勝負しなさいよ。」
冷「何でそれ渚が言ってるんだよ。もしかして2組に勝って欲しいの?」
渚「はぁ?そんなわけないじゃんばか。」
冷「何で怒ってるの?」
渚「は?怒ってないし。」
冷「そう。」
やっぱりツンデレの子って自分が怒ってること自覚してないんだな。
じゃあ本気で怒った時はどうなるんだろ?
去年のあの時は怒らなかったし。
本気で怒ったところ見てみたい気もするけど怖そうだからなぁ。
ショウタ「お〜い冷!もうすぐ始まるぞ〜!」
冷「じゃあ僕もう行かないといけないから。バイバイ渚。」
渚「ちょ…あんた…」
あ、行っちゃった…
まだ言いたいことあったのに…
ばか。
ーーーーー
「2組勝つぞ〜!」
「お〜!」
みんな張り切ってるなぁ。
まあ精々頑張るが良い。
それより、ちょっと気になるのが1試合目よりギャラリーが多い気がする。
1組と2組の生徒以外にも観に来ている人がいるのだろう。
3年生っぽい人もいるし。
相手チームに僕レベルのイケメンはいなさそうだから、おそらく女子は僕を中心的に観ることになるだろう。
活躍しないように気をつけないと、惚れさせてしまう。
ハル「冷君頑張れ〜!」
星乃さんの声だ。
1試合目もそうだったけど、ほんとよく声出して応援してる。
星乃さんと出会ったからもうすぐ3ヶ月だけど、未だに中学の頃は黒髪メガネぼっちだったっていうのが信じきれない。
高校デビューであんなに劇的に変われるものなのか?
メガネぼっちキャラから明るい天然キャラ。
本当に変わったのなら慣れるのに相当苦労するだろうしいつキャラが崩壊してもおかしくない。
入学から今まで星乃さんがぼっち雰囲気を出したことはないしキャラも崩壊してない。
だから未だに信じきれていないのだ。
それに星乃さんはおそらくこのことを僕にしか話していないはず。
もしかしたら宮本さんに話したかもしれないけど、今のところ宮本さんからそんな話は出て来ていない。
って何で僕は長々と星乃さんのこと考えているんだ?
好きでもないのに。
試合が始まると慶太を中心に攻め上がる2組。
僕は後ろでただぼーっとしてるだけ。
ハル「冷君も攻めなよ〜!」
あ、また星乃さんが何か言ってる。
モテない男子なら手を振ったりして反応するんだろうけど、僕は面倒だし今は出来るだけ影を薄めるようにしている。
運動音痴で全くボールに触れない人みたいな感じで。
まあそれでもショウタや慶太から要求もしていないのにパスが来るんだけど。
前半は0-0。
正直、1試合目の相手と対して変わらない。
渚、1組のどこが強いんだよ。
ショウタ「後半も頑張るぞ!」
高松「おう!やってやろうぜ!」
「みんな頑張れよ!」
なんかクラスの男子が一つになっている。
僕だけその輪に入れてないから側から見たらぼっちだな。
ハル「冷君、後半も頑張ってね!」
冷「ありがとうございます。」
鳴「あなた何で攻めないの?」
冷「僕はディフェンダーですから。」
鳴「でもさっきの試合あなたが決めたじゃない。」
冷「まあそうですけど。」
なんか痛いところついてくるな宮本さんは。
優子「三上君頑張って!」
上野「頑張ってね…」
冷「相沢さんと上野さん、ありがとうございます。」
ショウタ「いや〜冷はやっぱりモテるね〜。だから後半は頑張ってくれよ〜」
だからの意味が分からないんだけど…
後半も前半同様互角の勝負だったが、後半終了間際に相手のヘボカスシュートが決まってしまいそのまま試合終了。
スコアは0-1。2組の球技大会は終わった。
あの失点はキーパーが取りこぼして入ったもので完全にキーパーのミスではあったが、誰も彼を責めなかった。
ミスをしたキーパーを始めショウタや慶太が少し落ち込んでいたと思う。
まさかあのショウタが落ち込むとは驚いたけど、試合の頑張り具合から納得は出来る。
全力尽くしていたし。
それでも所詮は球技大会。
大げさにすることではないし、それに来年と再来年で後2回ある。
僕としては敗退して少しほっとしてるけど、ショウタ達の顔を見ると少し罪悪感を感じてしまう部分もある。
きっと僕が全力出してたら勝てたんだろうなぁって。
試合後は星乃さんや宮本さんから「惜しかったね」的な言葉をもらい、渚からは「あんたが本気出さないからよ」なんて言われた。
これで今年の2組の球技大会は終わり、2日目は他のクラスの試合などを観ることになった。
もちろん僕は他のクラスの試合など全く興味がなく教室で一人音楽を聴いていた。
周りから見たら完全にぼっちだったと思う。
まあ男子サッカーの決勝は少し興味あったから観に行ったけど。
そんな他の人から見たらつまらない過ごし方をした球技大会も終わり、いよいよ翌日から文化祭の準備が始まるのであった。