球技大会に恋
後半に入っても前半同様目立たないように気をつけていたが、まさかゴールを決めてしまうとは…
もちろん狙ったわけではない。
2組にフリーキックが与えられ、味方全員に蹴れと煽られ、仕方なく適当に蹴ったボールがそのままゴールになってしまった。
正直誰か触れたし、っていうか触って欲しかった。
ゴール後は結構大きい歓声上がるし、めっちゃ視線感じるし、何でいつもこうなるかなぁ…
結局試合は1-0で勝利。
午後2時から行われる2回戦に進出することになった。
次こそは目立たないようにプレーしないと。
ちなみに高校デビュー高松のマイボーネタは段々と笑いが薄れて行き、試合終了間際にやったときは思いっきりシラけていた。
次の試合でこいつが注目を浴びるのは不可能と考えて良い。
ショウタ「いや〜冷〜ナイスゴールだったな!」
冷「まさか誰も触らないなんて思ってなかった。」
ショウタ「それは俺があえてキーパーの前に立ってボールを見えなくしてたおかげかな〜」
冷「それは知らなかった。」
ショウタ「そんな〜まあとにかく次も頑張ろう!」
冷「うん。」
まあショウタは頑張るだろうなぁ。
ハル「冷君とショウタおめでとう!」
ショウタ「ハルありがとう〜!」
冷「ありがとうございます。」
一応礼は言っておかないとな。
鳴「あなたおめでとう。」
冷「宮本さんありがとうございます。」
ショウタ「宮本ちゃん!見た?俺のプレー?」
鳴「次の試合は何時かしら?」
またショウタのことガン無視…
冷「次は午後2時らしいです。」
鳴「そう。まあ精々頑張りなさい。」
冷「あ、はい。」
何で上から目線なんだよ。
優子「ほら、ゆっきーも早くおめでとう言いに行きなって〜」
上野「別にいいよ〜、もうハルと鳴が言ってるし〜」
優子「もしかして恥ずかしいの?」
上野「うん…」
優子「ほんとゆっきーっていつもそうだよね。今まで普通に話してたじゃん?急に恥ずかしくなったの?」
上野「うん、たぶん…」
優子「どうすんの?このままだとハルか鳴に取られちゃうよ?」
上野「分かってるけど…正直自信ないっていうか…」
優子「分かった。じゃあ後で一緒に言いに行こ。三上君が一人なったらうちがゆっきーのこと三上君のところに連れて行くから。そしたらゆっきーちゃんと言ってね。」
上野「え、でも…」
優子「いや絶対言って。ゆっきーが言わないでどうやってあの二人に勝つのよ。」
上野「別に戦ってるわけじゃないけど…」
優子「それはそうだけどさ。三上君が何人もの女を同時に付き合えるクズじゃない限り三上君と付き合えるのは一人だけなんだから。うち本当に中学の頃のあのゆっきーの顔はもう見たくない!」
上野「分かったよ…ちゃんと言うよ…」
優子「ゆっきーなら大丈夫だって!」
上野「うん…」
何で私こんなに恥ずかしがってるんだろう…
優子の言った通り前まで普通に話せてたはずなのに…
ーーー
ショウタ「冷、次の男子のバレーボールまで何してる?他の組の試合とか観に行く?」
冷「いや、教室にいるわ。」
ショウタ「そっか。ハルと宮本ちゃんはどうする?」
ハル「あたしは4組のテニス部の友達の試合観に行くと思う。鳴はどうする?」
鳴「私はハルと一緒に行くわ。」
ショウタ「そっか。じゃあみんなまたね!」
ハル「うん、ショウタと冷君バイバーイ!」
やっぱり宮本さんは変わった気がする。
前なら僕も無理矢理連れて行かれるのに今回は誘われもしなかった。
何か宮本さんの心境に変化があったのか気になるところだが、まあ気になったところでどうしようもない。
僕としては教室でのんびり出来るのに好都合だし。
優子「ゆっきー行くよ。」
上野「えっ?今?って…ちょっと待ってよ優子…」
教室で具体的に何しよう?
慶太がいれば慶太と話せるし、いなかったらショウタの席を借りて音楽を聞きながら外でも眺めてるかな。
今日は良い天気だし。
優子「ちょっと三上君。」
ん?
冷「あ、上野さんと…えーっと…すみません名前が…」
優子「嘘?名前覚えてくれてないの?」
冷「すみません。宿泊研修の時に同じ班だったのは覚えているんですけど。」
優子「うちは相沢優子。これで覚えた?」
冷「あ、はい。相沢さんですね。覚えました。」
優子「良かった。あ、さっきの試合おめでとう!次も頑張って!」
冷「あ、はい。ありがとうございます。」
優子「ほら、ゆっきーも。」
上野「三上君おめでとう…次も頑張ってね…」
冷「上野さん、ありがとうございます。」
なんか上野さん顔が赤いな。
こりゃあバレーボールの時目が合ってそれを意識してるのか?
上野さん僕に惚れてるし照れるのも無理はない。
優子「じゃあ三上君またね〜」
冷「あ、はい。」
おめでとうを言いに来ただけか。
まあ珍しいことではないというか、僕がゴールを決めたわけだし。
恥ずかしくて僕に直接言えない女子もおそらくいるだろう。
これは僕がモテてしまうから仕方ない。
ーーー
優子「ゆっきーちゃんと言えたじゃん!」
上野「うん、一応…」
優子「あとは試合中に声に出して応援出来たらね〜」
上野「それは流石に無理だよ…」
優子「それにしてもまさか三上君が私の名前知らなかったとは。ちょっと驚いたわ〜」
上野「仕方ないよ…優子ほとんど三上君と話したことないし。」
優子「まあね〜。でもさっき教えたからたぶんもう大丈夫でしょう!」
上野「そうだね。」
優子「ゆっきーこれからどうする?」
上野「優子に任せるよ。」
優子「じゃあ適当に散歩しよっか。」
上野「うん。」
やっぱり私…三上君と話すだけのにすごい緊張してた…
今まであんなに緊張したことないよ…
絶対顔赤かったよね…
もうどうしよう…これからずっとあんな調子だったら…席隣なのに…
ーーーーー
ショウタの席で音楽を聴きながら時間を潰し、そのあとは男子のバレーボールと女子のソフトボールの応援に行った。
もちろん僕は応援せずに観てただけ。
ちなみに両方とも負けて、2組で勝ち残っているのは男子のサッカーだけとなった。
そして昼食を食べたあとはその男子サッカー。
もうゴールなんて絶対決めないし、仮にフリーキック蹴るとしても枠には入らないようにする。
渚「ちょっとあんた。」
冷「あ、渚。」
渚「次の試合絶対負けないから。」
冷「は?」
渚「は?って何よ。」
冷「いや、負けないとか言うから。」
渚「だから絶対2組なんかに負けないって!」
冷「え、もしかして次の試合と1組と?」
渚「そうよ。あんた知らなかったの?」
冷「知らなかった。」
おいおい嘘だろ…