慶太が勝手に…
渚「聞いてるの?」
冷「今なんて言った…?」
渚「だから、デート!」
冷「デート…?僕が渚と?」
渚「そう。なんか文句あんの?」
デート…
デ…
はああああああああああああ!?!?!?
いやいやいやいや
デート?
何で?
しかも今日の放課後!?
いやいやいやいや
するわけないだろ。
冷「何で急にデート?」
渚「そりゃあだって…って別に何でもいいじゃん!」
冷「いや理由はあるでしょ。まさか告白?」
渚「は…?するわけないじゃんそんなの!意味わかんない!」
冷「じゃあ何で急にデート?」
分かった。
おそらく朱里に対する嫉妬だ。
そして渚も僕とのツーショットを撮ってインスタにあげる気なんだろう。
渚「何でもいいじゃんそんなの!」
冷「さっきも言ったけど、僕は別に朱里デートしてたわけじゃないよ。瑛もいたし。」
渚「は?知ってるしそんなの!」
冷「そもそもデートってどこ行くの?」
渚「まだ決めてない、これから決める。」
せめて決めとけよ。
ってかどうするよ。
月曜日は特に用事もないし、僕の場合嘘ついて断ったらいつも後々面倒なことになる。
ここは断らずに適当にデートするべきか?
でも渚は朱里と違って僕のことが好きだからなぁ。
まあ朱里ももしかしたら僕のこと好きかもしれないけど。
渚「あんたは行きたいところとかあんの?」
冷「家に帰りたい。」
渚「家以外で!どっかで遊びたいとかないの?」
冷「ない。」
ってか何で僕がもう行く前提で話が進んでんだよ。
まあいい。
一応僕としても対策はある。
冷「もしどこか遊びに行くなら慶太も誘わない?」
渚「は?何で?」
冷「いや付き合ってもいないのに二人きりはちょっと…」
誰とも付き合わないって公言してる以上、渚とのデートを宮本さんとかに知られたら面倒だし。
渚「じゃあ畑尾君と3人なら良いの?」
冷「まあそれなら…」
これが一番最善策か。
あとはツーショットさえ撮られなければ大丈夫なはず。
渚「分かった。それでいい。」
冷「ありがとう渚。」
渚「じゃあ放課後玄関前集合ね。畑尾君にもそう伝えておいて。」
冷「了解。」
そして慶太にこのことを伝えたら問題なくOKしてくれた。
これで断られたらどうしようなんて思っていたが、その心配はなかったようだ。
でもまだ問題が一つ残っている。
宮本さんにどう説明するかだ。
流石に宮本さんに渚とどこか遊びに行くなんて言えない。
となると慶太と遊ぶと伝えればいいのか。
慶太は男だし宮本さんが気にする理由はどこにもないだろう。
あとは集合場所か。
渚は玄関前と言ったが、そんなところにいればすぐバレる。
よし、慶太は自転車通学だし集合場所は駐輪場にするか。
玄関と駐輪場はちょっと離れてるし宮本さんには見つからないだろう。
5時間目の授業が始まる前にLINEで集合場所の変更を渚に伝えた。
岬「それではみなさんさようなら〜」
生徒「さよならー」
帰りのホームルームが終わった。
さていよいよか。
とりあえず慶太の席まで行こう。
出来れば宮本さんに説明せずに行きたいところだけど。
まあそれは不可能に近い。
慶太「冷、ちょっと待ってて。今荷物整理するから。」
冷「了解。」
出来れば早くしてくれ。
じゃないと宮本さ…
あ、もう遅かった…
宮本さんがこっちに来た。
鳴「ちょっとあなた今日何かあるの?」
やっぱり聞いてきたか。
冷「実は今日慶太と遊ぶ約束してまして…」
鳴「そう。畑尾君そうなの?」
慶太「あ、うん。マネージャーの安藤さんと3人でね。」
鳴「安藤さん…?」
おい慶太!
何渚の名前出してんだよ。
鳴「安藤って1組の?」
慶太「あ、うん。」
やばい…終わった…
こりゃあまた面倒なことになるぞ。
何でいつもこうなるかなぁ…
鳴「あなたこれはどういうことかしら?」
冷「いや実は…渚から遊ばないかって誘われまして…それで…」
鳴「そう。」
慶太「良かったら宮本さんも来る?」
は?
鳴「私が?」
慶太「うん。あ、もしかして予定とかあるの?」
鳴「特にないけど。」
いやいやいやいや
今度は何勝手に宮本さんのこと誘ってるの?
慶太ってそういう人?
キャラクター的にそういうことするのはショウタの役割だろうが。
鳴「そうね。私も行くわ。ハルは委員会で遅いしそれに何だか面白そうだし。」
は?
それで来るの?
いやいやいやいや
おかしいでしょ。
渚と宮本さんが一緒?
絶対やばいって…
鳴「あなたは私が来るの嫌?」
正直に言うと嫌。
でもどうせここで嫌と言ってもついて来るだろうし、それになんか言いづらい。
それよりも一つだけ気になる点がある。
冷「嫌ではないです。それよりも宮本さんって渚のこと嫌いじゃないんですか?」
鳴「嫌いよ。だからこそ行くのよ。」
渚に対する嫌がらせってことか。
確かに渚なら怒りそう。
ってかほんと嫌なところついてくるな宮本さんは。
一体この性格はいつになったら変わるのか。
いや、おそらくずっとこのままだろうな。
唯一の救いは天使みたいな外見か。
慶太「じゃあ行こっか、安藤さんも待ってることだろうし。」
そして僕らは待ち合わせ場所の駐輪場に向かった。
渚「ちょっと、あんた。何でその人がいるの?」
やっぱりこうなるよなぁ…