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あえて僕はモテないようにする  作者: 色落りん
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忘れ物を届けてくれた渚

部活後。


慶太「冷、じゃあまた明日〜」


冷「バイバイ慶太。」

さて、帰るか。

出来れば誰とも会わずに一人で帰りたい。

好きな音楽を聴きながら下校。

部活がある日だからこそ出来ることだ。

部活が無い日は宮本さんと無理矢理一緒に帰らされてるわけだし。


上野「あ、三上君。今帰るところ?」


あ、上野さん。

誰とも会わずにと思ってたのに…

冷「そうです。」


上野「そっか〜、私も今吹部終わったところなんだ〜」


上野さんって吹奏楽部だったのか。

知らなかった。


上野「あの!三上君…」


冷「あ、はい。」

急に何だ?

まさか一緒に帰りたいとか?

それとも告白か!?

まあ別に告白されても断るだけだけど。


上野「えーっと…その…」


どっちだ?

一緒に僕との下校の申し込みか?それとも僕への告白か?


上野「明日…また学校でね…」


は?


上野「じゃあね三上君!」


え?

それだけ?

さよならの挨拶だけ?

紛らわしいわ。

まあ僕の前だったから緊張してたのは分かるけど。

それでも紛らわしい。

ってか挨拶で緊張してたら告白なんて出来ないだろ。

それにしても上野さんってクラスでは平気で僕に話しかけれるのに、二人きりになると緊張して上手く話せなくなるんだな。

まあそういうものか。


「ちょっとあんた。」


ん?

あ、渚か。

冷「何?」


渚「これ忘れ物。あんたのタオルでしょ?」


冷「あ、うん。ありがとう。」


渚「それで、さっきの子は誰なの?」


渚見てたのか。

冷「クラスメイトの上野さん。」


渚「そう。やっぱりあんた女友達いるじゃん。」


女友達か。

前にもこんな話したな。

でも今まで女子と友達として関わったことはないから、僕はその辺りのことがよく分からない。

それに一々考えるのが面倒。

冷「よく分からない。」


渚「は?何それ、意味分かんない。」


それ口癖かよ。

何回渚に「意味分かんない」って言われるのか…


渚「それでその上野さんってどういう人なの?」


どういう人と聞かれても困る。

昨日から少し話すようになっただけだし。

宿泊研修の時は自己紹介とか色々したけど内容は全く覚えてないし。

冷「よく分からない。」


渚「は?また分かんない?何あんた無知?脳ちゃんと機能してんの?」


なんか一気に色々言われた。

出来れば一つ一つの言葉の頭にイケメンって付けて欲しかったけど。

そしたら傷つかずに済む。


渚「上野さんって人とはいつから仲良かったの?」


冷「別に仲良くはないと思う。昨日席替えして上野さんが僕の左隣の席になって、そこから少し話すようになった。」


渚「へ〜、席替えしたんだ。」


冷「うん。」


渚「右隣は誰なの?」


冷「星乃さん。」


渚「星乃…?あ〜あの子ね。あんたを冷君って呼んで無理矢理あんたと一緒に登校してるあの子ね。」


いや、無理矢理登校させてるのは宮本さんの方なんだけど…


渚「ってかあんたその星乃さんって人どう思ってるの?」


冷「性格が良い子。」

本音は胸があって可愛い子なんだけど、そんなこと言ったら渚にまた色々言われそう。


渚「は?性格が良いの?無理矢理あんたと一緒に登校してるのに?」


冷「いや無理矢理なのは星乃さんじゃなくて宮本さん。」


渚「宮本…あ、いきなり私に嫌いって言ったあの白髪の子ね。」


冷「そう。」


渚「じゃあ星乃さんは別に悪い人じゃないんだ。」


冷「うん。」


渚「なんかイメージ変わったかも。」


冷「そう。」

一応渚の誤解は解けた。

でもこれで良かったと思う。

誤解というのは後々厄介なものになってくるし。


渚「じゃあ私帰るね。」


冷「バイバイ渚。」


渚「じゃあねあん…」


あ…


急に雨が降って来た。


渚「え?いきなり雨?」


しかもすごい降って来た。土砂降り。

昼過ぎから雲行きが怪しかったけど、やっぱり降って来たか。

こりゃあ駅まで走るしかないな。

冷「じゃあ渚バイバイ。」


渚「ちょっとあんた、傘は?」


冷「ないけど。」


渚「そう…」


冷「じゃあバイバイ。」


渚「ちょっとあんた。」


冷「何?」


渚「…」


あれ?

どうした渚?

何も言わないんだけど。

僕としてはこれ以上濡れないためにも早く駅に着きたいんだが…

冷「渚?」


渚「…」


いや本当に何なんだ?

もう行こ。

大体待っている意味はない。

冷「バイバイ渚。」


思いっきり走ったら5分ぐらいで着きそうだな。

転ぶのだけは注意し…


渚「ばか…」


え…


渚「駅まで一緒に歩いてあげる…」


は?


渚「ほら、あんた行くよ。」


いや…



え…



これって…



相合傘。

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