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あえて僕はモテないようにする  作者: 色落りん
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二人きりじゃねえか

電車の中は一般的なロングシートで左から僕、ショウタ、星乃さんの順に座った。


ショウタ「ところで、ハルはどこに住んでるの?」


ハル「時和だよ〜」


ショウタ「じゃあ冷と割と家近いんじゃね?」


ハル「冷君家も家時和なの〜?」


冷君?もう名前で呼ぶのか。まだ挨拶しかしてないぞ。まあ別に良いんだけど。

冷「いや、僕は久木」


ハル「そうなんだ〜!じゃあ朝同じ電車かもね!」


同じ電車?おいおい、それじゃまるでいつか恋人になる設定みたいじゃないか。そんな展開用意させてたまるか。

僕と簡単に通学出来ると思うなよ。

冷「そうかもね。」


ショウタ「二人で一緒に通学か〜!イイね〜!青春だね〜!俺も誰か女の子見つけないとな〜」


何一人で盛り上がってるんだこいつ。一緒に通学なんてしねーし。ってかお前ら二人が一緒に通学すればいいだろ。


ハル「ショウタに青春なんて来ないよ〜!」


ショウタ「なんでハルに分かるんだよ〜。俺は絶対彼女作って、他の女の子からも告白されて、ちょっと浮気してみたりして、ハーレムも経験して最高の高校生活を送るんだ!」


ハル「え〜浮気〜!?ショウタ、サイテー。」


う…妙に心に響く…


ショウタ「冗談だよ〜。でも本当に彼女欲しいぜえ」


ハル「あたしは、まだ彼氏とかいらないかな〜」


ショウタ「そう言ってどうせすぐ出来るんだろ?」


ハル「いや〜出来ないって〜」


もう君たち二人、今から付き合えばいいじゃないですか…


ショウタ「冷は彼女欲しい?」


冷「いらない。」

即答してやった。


ハル「え?そうなの?冷君なんで?」


冷「そういうの面倒くさいから。」

本当は浮気性で命の危険性が出てくるから。なんて言えるわけがない。


ショウタ「でも冷はイケメンだからな〜。そのうちすぐ告白されるしょ!」


うん。それは知ってる。だから色々と対策を考えてる。


ショウタ「ハルも冷かっこいいと思うよね?」


ハル「え?あ… 、ぅん。」


え、何照れてんだこの子。まさか惚れさせしまったか!?おいおい、まだ初日だぞ。


ショウタ「お?ハル顔赤いぞ〜!もしかして冷のこと気になってたりするんじゃない?」


ハル「え…いや、そういうわけではないんだけど…」


けど?けどって何??いや、ちゃんと否定しろよ。でも仮に僕の見た目だけを見て好きになってくれているのであればそれは素直に嬉しい。とても気持ちがいい。

だが、そこまでにしてくれ。ここから先は立ち入り禁止だ。変に告白とかはやめてくれ。


車内アナウンス「まもなく、市平に停まります。」


ショウタ「じゃあ、俺はここで乗り換えだから!また明日!」


ハル「ショウタバイバ〜イ!」


お、おい待て、お前が降りるってことはここからは星乃さんと二人きりじゃねえか!

まさに恐れていた展開。

どうするよこれ。あいつと一緒に降りるか?でもそれだと逆に変に疑われてしまう。

星乃さんが降りる駅まであと約15分。それまで告白してこないか怯えていろと?

やっぱりあいつと帰ってくるんじゃなかった。


そして電車は発車した。


ハル「ねえ冷君。」


やばい。早速話しかけて来た。

冷「何?」


ハル「冷君って中学の頃どんな感じだった?今と変わらない?」


冷「変わらないと思う。」

ほんとはめちゃくちゃモテて、いっぱい女の子と遊んでた。なんて言えるはずがない。

それにしても何だ急に。


ハル「そうなんだ。」


なんかさっきと感じが違う。まさか今から愛の告白!?おいおい、待て待て、、、


ハル「実はあたしね高校デビューなの。」


違った。とりあえず一安心。ん?高校デビュー?

冷「そうなんだ。」


ハル「中学の頃は暗くて友達なんて出来なかったんだ。イジメられてたとかではないんだけど、ただ人と話すのが得意じゃなくて。だから高校からは自分を変えようと思って、髪を黒からピンクにしてみたり、メガネをコンタクトにして、自分の理想を作ったんだ。」


なんで急にそんな話を僕にするのか理解は出来なかったけど、少しこの子を見る目が変わったかもしれない。

冷「そうなんだ。」


ハル「でも頑張って自分の理想を演じてるからちょっと大変で。初日だから頑張って周りの席の子たちに話しかけてみたり、ショウタと仲良くなったけど。正直もう精一杯。これからやっていけるか不安で。」


確かに中学時代ほとんど話さなかった人が急に高校で楽しく話せるわけがない。だけどあのコミュ力はすごいぞ。本当に中学の頃ぼっちだったのか?

冷「話す練習とかしたの?」


ハル「まあ、自分なりにネットで調べてたくさんシュミレーションしたかな。」


なんか僕と似てる気がする。

冷「そうなんだ。」


ハル「本当は誰にも言わずに過ごすつもりだったけど、思ってたより難しくて。それで冷君なら分かってもらえるかなって思ったんだ。」


何もしてないのになぜかもう信頼されている。しかも何回も言うがまだ初日だぞ。初日。何初日にいきなり話してるんだよ。

冷「そうなんだ。今の話秘密にしとくよ。」


ハル「ありがとう。もし何かあったらまた相談していい?」


冷「うん。」


ハル「ありがとう冷君。」



車内アナウンス「まもなく、時和に停まります。」



ハル「じゃあ、あたしここだから。冷君また明日。」


冷「さよなら。」


やっと一人になれた。毎日大変だぞこれ。

あれ?

ってか僕もしかして「うん。」って答えた!?


あ…


しまったあああああああーーーーーーーーーーー!

やばいぞ、やばいぞ、これ。

女子と関わらないでいくつもりが、初日からいきなり相談に乗ってしまったぁぁぁぁ!

しかも可愛い隣の席の子からの相談!

何この僕だけあの子の秘密を知ってる設定。

こんな展開望んでねえええええええ!


もういいや、とりあえず帰って可愛い妹に癒されよ。

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