新たな一歩の答え
試験官「はい、そこまで〜!」
4日間の定期テストがやっと終わった。
一番手応えを感じたのはショウタに教えてもらった数学。
やっぱり誰かに教えてもらった方が点数が伸びるのかもしれない。
生徒「やっと終わった〜!!!」
騒つく教室。
テストが終わった瞬間はみんなそうなる。
僕も態度には出してないが、心の中では勉強からの解放感で溢れている。
早く帰ってテレビ見たりゲームをやりたい。
ーーー
岬「では帰りのホームルーム始めま〜す!」
岬先生が教室にやってきた。
いつ見ても可愛いなぁ。
岬「えーっと、帰る前に来週席替えをするので、そのクジを今から引いてもらいま〜す!」
生徒「え!?席替え!?!?」
また騒つく教室。
席替えか。
すっかり忘れていた。
確かにテストの後にするって言ってたな。
岬「では廊下側の女子から順にクジを引いて行ってくださ〜い。」
クジか。
宿泊研修以来だな。
あの時は確かあまり良くなかった気がする。
部屋は訳の分からない学級委員の斉藤君だし、班には高校デビュー高松がいるし。
今回はどうなるかな。
とにかく窓側が良い。
右隣にしか女子がいないわけだし。
岬「クジの番号は失くさないでくださ〜い!どの番号がどこの席になるかは来週の月曜日の朝、黒板に貼っとくのでそれを見て座ってください。それではさようなら〜」
生徒「さよならー」
ーーー
ショウタ「冷何番?」
冷「15番。」
ショウタ「15番か〜、俺2番だわ〜」
冷「でもどこの席になるかまだ分かんないでしょ。」
ショウタ「まあね〜、来週学校来るのドキドキするわ〜」
そりゃあ席は高校生活において重要だからな。
ハル「ね!今日みんなでどっか行かない!?」
出た、いつものお誘い。
ショウタ「ハル、それ良いね〜!」
どこかに行く?
どこに行くつもりかは知らないが僕は行かない。
僕は早く家に帰りたい。
そしてテレビを見てゲームがしたい。
ってかショウタ今日部活だろ。
冷「あれ、ショウタって今日部活じゃないの?」
ショウタ「あ、そうだった〜!!、何でテスト終わった日に部活あるんだよ〜」
ハル「えー!今日からもう部活とか大変だね〜鳴は来れる?」
鳴「私は家の用事があるから行けないわ。」
ハル「そっか〜、冷君は?」
いや僕は特に用事ないけど行かないよ?
早く家に帰りたいし。
大体僕が行けるって言ったら、僕と2人きりだよ?
星乃さん絶対また緊張して顔赤くなるだろ。
それに今日は宮本さんも来ない。
こんな断りやすい日、滅多にないんだよ。
冷「僕も用事があって行けません。」
ハル「そっか〜、じゃあまた今度にしよっか〜」
鳴「ごめん、私はもう帰らないと行けないから。さよなら。」
ハル「鳴バイバ〜イ!」
珍しく早く帰った宮本さん。
何の用事か少し気になるけど。
ってかこれショウタは部活だからどっちみち帰り道は星乃さんと2人きりじゃねえか!
何かまた相談受けそうな気がする。
ショウタ「俺ももう部活行かないといけないから2人ともまた来週!」
ハル「ショウタバイバ〜イ!」
冷「バイバイ。」
ハル「じゃああたし達も行こっか。」
冷「あ、はい。」
久しぶりに星乃さんと2人きりになった気がする。
僕としては望ましい展開ではないけれど、仕方ないか。
いつも通り僕からは何も話しかけなければ大丈夫。
別に気まずいとか感じないし。
特に何も話さず学校を出て如月駅まで歩く。
ハル「ね〜冷君。」
冷「はい。」
ハル「ちょっと前の学校の帰りにあたしが冷君と安藤さんに会った時の事覚えてる?」
冷「あ、覚えてます。」
渚と星乃さんが初めて会った時か。
確かあの時は渚が色々言って星乃さんを傷つけたな。
ハル「あの時はごめんね。」
え?
ハル「あたし、あの時冷君を置いて帰ったでしょ。」
いや確かに帰ったけど、何で?
何で星乃さんが謝ってるんだ?
ハル「あたしちょっとショックだったんだ〜、冷君と安藤さんがすごい仲良さそうで。それであたしちょっと動揺して先に帰っちゃったんだ。ごめんね。」
いやいやいやいや
星乃さんそれは違うだろ。
まず悪いのはどう考えても僕。
直接言ってないけど「クラスに女友達はいない」って言ったわけだし。
星乃さんは何も悪くないだろ。
え…
どうするよ。
冷「別に星乃さんは何も悪くないですよ。」
ハル「いや、本当にあの時、あたしどうかしてたと思う。ほんとごめんね。」
どうするよ。
これは僕が謝った方が良いのか?
でもそれだと星乃さんとの仲が縮まってしまいそう。
どうしよう。
でもやっぱり謝った方が良いよな。
冷「僕の方こそ、すみませんでした。」
ハル「え、何で冷君が謝るの?」
冷「その、女友達がいないって言ってすみませんでした。」
ハル「あ、うん、でもあまり気にしてないよ!だっていつもあたしと鳴が無理矢理冷君を誘ってるわけだし、それで冷君が友達と思ってくれてなくても仕方ないよね。いつもごめんね。」
また謝られた…
星乃さん良い人すぎというか純粋というか、宮本さんとは正反対だな。
ってかあまり気にしてなかったのか。
なら悲しそうにしてたのは渚と一緒にいたから。
あ、それでそのことを宮本さんに言ったから、宮本さんが渚にいきなり嫌いって言いに行ったのか。
なるほど、なるほど。
なんかスッキリした。
ハル「でもあたし…冷君とか鳴といるとすっごい楽しいの!こんなダメなあたしだけど、これからも冷君に話しかけても良いかな…?もちろん今までみたくしつこくはしないから。」
あ、可愛い。
どうしよう。
惚れそうになる。
ここでダメなんて言えるわけがない。
本当にその可愛さはずるいよ星乃さん。
あーもー可愛すぎかよ。
冷「良いですよ。」
ハル「ほんと!?」
冷「別に大丈夫ですよ。」
ハル「本当に!?冷君ありがとう〜!」
こんな可愛い子に好かれるのはイケメンの特権だ。
この子と純粋に付き合えたら最高なんだろうけど。
僕にそんなことは出来ないんだよなぁ。
それにしても星乃さん可愛すぎ。
あー何してんだ僕は。
ーーーーー
週末明けて月曜日。登校中。
ハル「席替え緊張するね〜!」
鳴「まあ私の予想だとハルとあなたがまた隣だわ。」
宮本さんやめてくれ。
なんか当たりそうで怖い。
そして教室到着。
ハル「あ、黒板に貼ってあるよ〜!」
15番は、えっと…
あ、窓側じゃない…
それで一番後ろか。
微妙。
ハル「冷君どこだった〜?」
冷「真ん中の一番後ろです。」
ハル「え!あたし冷君の隣だよ!」
おいおいおいおい
マジかよ。
宮本さんの予想通りじゃねえか。
何でこうなるかなぁ。
ハル「鳴はどこ〜!?」
鳴「廊下側の後ろから2番目。」
よし。宮本さんとは離れた。
まあどうせ昼休みとかは毎回僕の席でお弁当食べに来るんだろうけど。
とにかく席に着くか。
ハル「冷君改めてよろしく〜!」
冷「あ、はい。」
相変わらず人前では明るくて元気だな。
右隣が星乃さんで左隣は誰だろう?
まだ来てないな。
それと前の席も…
「お!後ろが三上君か〜!よろしく〜!」
おいおい
嘘だろ…