また勝手に…
定期テスト一週間前ということで、今日からテストが終わるまで部活動休止となる。
サッカー部は平日週2回しか練習しないため、僕は大して普段と変わらない。
定期テストは来週の火曜日から金曜日まで行われる予定で、科目は全部で8教科ある。
大変ではあるが僕としては都合のいいことが一つある。
それはテスト勉強を理由に出来ることだ。
おそらく今週も宮本さんから何らかの誘いが来るだろう。
宮本さん、テスト勉強する気ないみたいだし。
だが、誘いが来ても僕はちゃんと断ることが出来る。
全てテスト勉強を言い訳にすればいい。
いくらあの宮本さんでも人の勉強時間を邪魔するほど非常識な人ではないだろう。
まあ多少の可能性はあるけど…
帰りのホームルームが終わり、今日も宮本さん達と一緒に強制的に帰らされる。
ショウタ「みんなって家で勉強してるの〜？」
ハル「あたしは一応してるよ〜」
星乃さんテスト勉強始めたんだな。
ショウタ「ハル偉いな〜、冷と宮本ちゃんは？」
冷「してる。」
嘘じゃない、本当にしてる。
よく見かける「全然勉強してないよ〜」って謎のアピールして実際はめちゃくちゃ勉強して良い点数を取る奴らとは違う。
本当に何で奴らはあんな無駄なアピールをするのだろうか。
「勉強しなくても良い点取れた自分、頭良くね？」的なアピールか？
ってまたアピールかよ。
ショウタ「冷もしてるのか〜、宮本ちゃんは？」
鳴「…」
え、無視かよ。
相変わらずショウタに対する態度変わってないな。
ショウタ「宮本ちゃん、無視は酷いよ〜」
鳴「ん？何？」
そもそも聞いてなかったのか…
ショウタ「やっぱり何でもない…」
諦めてしまったショウタ。可哀想だな。
僕としては諦めずに頑張って欲しいところだけど。
見てて面白いし。
鳴「ところであなた今日暇？」
いや何その質問。
暇なわけがないだろ。
こっちは宮本さんと違ってテスト勉強するんだよ。
冷「暇ではないです。」
鳴「何か予定でもあるの？」
冷「テスト勉強しないといけないので。」
鳴「そう、じゃあ一緒に勉強するわよ。」
は？
鳴「ハルもどう？一緒に勉強。」
ハル「勉強会ってこと？」
鳴「そう。」
ハル「良いね〜！なんか楽しそう！」
いやいやいやいや
はああああああ！？！？
勉強会？
何で？
ハル「場所はどこにするの？」
鳴「もちろん三上君の家よ。」
はあああああああ！？！？
いやいやいやいや
ちょと待てちょと待て
鳴「あなたそれで良いわよね？」
良いわけがないだろ！
何考えてんのまじで。
ってか何また勝手に決めてんの？
しかも何で僕の家？
妹がいるんですけど。
女子が来たらまた妹が冷酷モードに入ってしまうんですけど。
冷「いや良くないです。」
鳴「何で？どうせあなたも勉強するんでしょ？」
いや確かにするけど。
まさか勉強会を提案して来るとは…
ってか宮本さん勉強する気あったのかよ。
ハル「冷君やろうよ〜！絶対楽しいよ〜」
まず勉強会に楽しさを求めてる時点で違う気がするんだけど。
大体この二人と勉強するメリットがない。
二人ともそこまで頭良いわけではないし。
鳴「それにあなた頭良いらしいから、私たちに勉強教えて欲しいってわけ。」
は？
いつから僕が頭良い設定になったんだ？
全然良くないけど。
いつも平均点ぐらいなんだけど。
冷「僕、頭良くないんですけど。」
鳴「そうなの？でも前、高松君があなたのこと天才って言ってたわよね？」
いやいやいやいや
それは違う。
確かに言われたけど違う。
数学の授業中に先生から当てられて、勘で答えた難しい問題が運よく正解して、高校デビュー高松がその場でなぜか僕のことを大声で「三上君天才じゃ〜ん！」って言っただけだ。
本当にあれは迷惑だった。
クラスのみんなは僕のこと一斉に見るし、頭良いと勘違いされるし。
本当に迷惑だった。
冷「あれはたまたま合ってただけです。」
鳴「そう。まあどっちにしろあなたに勉強を教えて欲しいから今日はあなたの家で勉強会ということで。」
何で教えて欲しいのにそんな上から目線なんだよ。
でも、また頑張って断るための良い理由を見つけるより、仕方なく勉強会した方が楽かもな。
ってかこの状況で上手く断れる理由が思いつかない…
ショウタ「冷、もちろん俺も行って良いよな！？」
冷「良いよ。」
家に来るならショウタも来てもらった方がいい。
星乃さんと宮本さんと3人一緒の部屋ではちょっと危険な匂いがする。
中学の頃を思い出して、自分からあの二人に近づいてヤってしまうかもしれないし。
いわゆる性欲制御不能ってやつ。
ってか星乃さんとリナが初対面になるよな。
リナに説明するのが面倒くさいなぁ。
宮本さんの時みたいな嘘はもうつけられないし。
リナがどこか友達と出掛けて家にいないことを願おう。
