岬先生と二人きり
岬「ここなら誰もいないし話せるでしょ?」
言われるがままに誰もいない空き教室に連れていかれた。
ってか先生と二人きりのこの状況。
こっちの方が緊張してしまうだろ。
岬「それで最近どうなの?」
冷「いや特に何もないかと…」
岬「本当〜?」
冷「はい。」
岬「まあ確かに、普段教室で見てる感じだと何かあったようには見えなかったね〜」
見えなかったなら一々呼び出すなよ。
岬「三上君はまだ誰とも付き合う気がないの?」
冷「はい。」
岬「そっか〜、残念。」
残念で結構。
殺されないためにやっていることだ。
岬「三上君に変化はないし、あの3人も特に動こうとしないし、見てる私からしたらつまらないんだよね〜」
冷「そうですか。」
つまらないって…
完全に生徒の恋愛事情を楽しんでやがる。
岬「そういえば三上君ってあの3人以外で誰かに告白された?」
冷「いいえ、されてません。」
岬「されてないのか〜、何でだろうね?」
それは僕のこれまでの努力の成果だ。
褒めてもらいたい。
岬「やっぱり普段から三上君の周りに星乃さんと宮本さんがいるから近づきづらいのかな〜?」
あ、なるほど、それはあるかもしれない。
高校入学して約1ヶ月半が経つが、僕は星乃さんと宮本さん以外の女子とはほとんど話したことがない。
宿泊研修のエンカウンターで同じだった上野さんぐらいだ。
つまりあの二人は僕の女避けになっていたということか。
入学する前はこんなこと全く思いつかなかったな。
岬「あ!じゃあ面白くするために席替えしよう!」
は?
岬「三上君どう!?良い案だとは思わない?」
冷「席替えですか?」
岬「そう、席替え!」
は?
席替え?
ってか今「面白くするため」って言ったよな?
意味が分からないんだけど…
岬「席替えは定期テストが終わってから!」
冷「何で急に席替え何ですか?」
岬「だって今のままだと他の女の子に三上君を狙うチャンスすらないでしょ〜」
チャンス?
岬「だからもし席替えしたら他の女の子にもチャンスが与えられて、三上君のことが好きな子が増えるってわけ。どう?良い考えでしょ?」
いや…
いいわけないだろ!
何勝手に僕のことを好きな子を増やそうとしてるの?
チャンス?
は?
与えなくていいわ!
ってかこれで何が面白くなるんだよ。
岬「そして三上君のことを好きな子が増えたら、あの3人も何か行動せざるを得ない。例えば〜アピールとか告白とか。」
冷「そうですか…」
おいおいおいおい
嫌がらせかよ。
全然今のままでいいわ。
どうせ席替えしても宮本さんは昼休みにお弁当食べに来るだろうし、むしろ宮本さんがもっと積極的になる。
いやいやいやいや
ダメだって…
岬「席替えはクジだから安心して。」
冷「あ、はい…」
いやいやいやいや
本当に席替えしなくて良いって。
岬「本当は私が全部決めようと思ったんだけど、生徒からクレーム来そうでやめたんだよね〜」
いや、それは正しい判断だ。
先生に席を決められるとか絶対に嫌。
絶対僕を変な席にする。
岬「まあそういうことだから楽しみにしてて。」
冷「分かりました…」
いや全然楽しみじゃないけど。
本当に席替えするのかよ。
でもまあどこのクラスもやるかぁ。
モテない人にとっては大行事らしいし。
席替えかぁ。
入学する前はハーレム主人公特有の端の席や後ろの席を避けるために真ん中の席を望んでいたけど、今は逆だ。
窓側が良い。
唯一女子に挟まれない窓側。
つまり今座ってる席が良い。
真ん中の席で星乃さんと宮本さんに挟まれたら危険だ。
完全にアウト。
僕に全く興味のない子ってクラスにいないのか?
例えば彼氏持ちの子とか。
でも、彼氏持ってても僕に惚れてしまう女の子はたくさんいるからなぁ。
岬「じゃあ今日は終わりにしよっか!」
あ、もう終わりかよ。
生徒を放課後に呼び出して話す内容じゃなかったし。
ってか生徒と話す内容ですらない。
この人本当に自由だな。
岬「三上君、車で送っていくよ〜ほら早く来て〜」
言うと思ってた。
けど実は結構ありがたい。
いつも通り電車で帰ると宮本さんたちに会うかもしれないからな。
冷「ありがとうございます。」
岬「まだ三上君と話していたいし!」
正直僕もまだ先生のことを見ていたい。
超可愛いし胸あるし良い匂いだし、時々惚れそうになる。
一夜だけで良いから一線越えてみたいかも。