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あえて僕はモテないようにする  作者: 色落りん
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噂だけど過去

今日はいよいよ高体連。

3年生は負けたらそこで引退だ。

他の高校なら秋の高校サッカー選手権大会まで残る人もいるだろう。

でもこのサッカー部は弱小。

残っていても意味がない。

それに誰も残る気はない。

高体連は平日にも行われるため、学校では高体連特別時間割が組まれている。

そして今日は木曜日。

サッカー部員は授業には参加せず、朝からバスで会場の赤砥高校へ向かった。


慶太「冷、緊張する?」


冷「全然。」


慶太「やっぱり。僕は結構緊張するな〜」


緊張するも何もどうせ負ける。

それを分かっているから緊張しないし、逆に本気で勝ちに行くサッカー部だったら最初から入部なんてしてない。

僕が入部したのはあくまでハーレム主人公特有の変な部活に入部するのを阻止するためだ。

それにしても渚以外全員男子のこのバスは警戒しなくて気が楽だ。

渚は先生と一緒に前の席に座ってるわけだし。

それに全校応援もない。

だから宮本さんが試合を観に来ることはない…はず…

流石に来ることはないと思うが、あの宮本さんだ。

可能性はある。

一応気をつけておくか。


会場に着くと既に他の試合が行われていて賑やかだ。

高体連だしどこも気合入ってる。


キャプテン「とりあえずみんあ準備して、すぐにウォーミングアップ始めるよ。」


キャプテンはしっかりしてる。

人柄が良く責任感がある。

それに比べて顧問の先生はバスで酔ったらしくトイレで吐いたあとはバスで横になっているらしい。

何やってんだか…


各自ストレッチに入り、いよいよ試合目前。


慶太「やばい、すごい緊張してきたんだけど…」


冷「あれ、慶太ってスタメン?」


慶太「そうだよ。」


流石慶太。

一年生ながらこの高体連のスタメンを勝ち取るとは。

まあ、僕と違って真剣に部活に打ち込んでたからな。


慶太「あれ、冷はスタメンじゃないの?」


冷「ベンチ。」


慶太「そっか〜でも冷なら途中から代わるでしょ!」


さあ、どうかな。

っていうか僕は別にベンチでも構わない。

っていうかベンチでいい。

試合に出ると疲れるし。


生徒A「あれってどこの高校?」


生徒B「あ〜確か、如月だよ。」


後方に座ってる違う高校の生徒の会話が耳に入ってきた。

まあ、どうでもいいけど。


生徒A「あれ、宮本って確か如月に行かなかったっけ?」


生徒B「えっ、宮本って?」


生徒A「ほらいたじゃん。白い髪で可愛い子。」


生徒B「あ、思い出した。あの子ね」


え?

白い髪?

宮本?


生徒A「懐かしいな〜」


生徒B「確かに懐かしいわ〜」


生徒A「俺、実は宮本のこと好きだったんだよね〜」


生徒B「マジか、知らんかったわ。でも可愛かったからな〜、あの性格以外は。」


生徒A「そうそう、可愛かったけど性格がちょっとね。」


絶対あの宮本さんだ。

僕の学校で白い髪で性格に問題がある可愛い子は宮本さんしかいないはず。

ってことはこいつらは宮本さんの同中ってことか。


生徒B「あ、思い出した!あれお前知ってる?高校生と付き合ってたって。」


生徒A「えっ、そうなの!?」


生徒B「そう。しかも結構ガラ悪い感じの。」


生徒A「え?マジで?」


生徒B「しかも、毎晩その男の家に泊まってたとか。」


生徒A「まじか、やばいな。」


生徒B「まあ噂だけどね〜友達から聞いた話だし。」


生徒A「まあ宮本なら分からなくもないっていうか、あいつ口悪くて友達いなかったし。いつも一人だったからな。」


生徒B「そうだったな。可愛いのに性格がゴミって男子の中では有名だったっけ。」


生徒A「そうそう。性格というか態度がもう酷かったからね。あいつ高校でもあんなだったらまじやばいけど、どうなんだろ?」


高校でも相変わらず酷い態度ですよ。

完全に彼らの話を盗み聞きをしてしまったがまあ良いだろ。

それにしても中々興味深い話だったな。

確かにあの宮本さんは性格が捻くれているし、ほとんど自分自身のことを言わない。

学校で毎日話しているが、僕はまだ宮本さんのことを何も知らない。

まあ何も自分から聞いてないからなんだけど。

だから彼らの話は少し興味深かった。

でも詮索する気はないし、頑張って宮本さんのことを知る気は全くない。

知ってしまえばそれだけ宮本さんとの距離が縮まってしまう。

しかし、まさかこんな話が偶然聞けるとは。

こんなところでも宮本さんが出て来るのかよってくらいだ。

宮本さんが中学生の時にガラの悪い高校生の彼氏がいた。

ガラが悪いということはつまり不良ということか?

まあ想像は出来るけど、ちょっと違和感がある。

それと友達がいなかったこと。

今では星乃さんと仲良くやってるから、てっきり男子とは仲良くしないだけとは思ってたけど、そうではないみたい。

まあ、言っても仲良いのは星乃さんだけか。他の女子と仲良くしてるところは見たことない。

とはいうのも、ガラ悪い高校生と付き合ったことや友達がいなかったことは、あくまで彼ら目線からの話で全て本当かどうかは分からない。

でも嘘をつく理由はないから多分本当の話なんだろうけど。

宮本さんか。

全てを知るつもりはないが、まだまだ何かありそうだな。

でももし何か弱みを握れたら、結構役にたつかもしれない。

と考えて、もう一回しっかり盗み聞きをしようと思ったら、既に違う話題に変わってた…


ーーーーー



ちなみに今日の試合は0-4で完敗した。

やっぱり弱い。

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