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あえて僕はモテないようにする  作者: 色落りん
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一欠片の過去

鳴「あなた、これは一体どういうこと?」


え、何で宮本さんがここに…?

は?どういうこと?

状況が理解出来ないんだけど…


朱里「冷、この子誰?」


冷「同じクラスの宮本さん。」


朱里「へぇ。可愛いね。」


可愛いのは知ってる。

しかし今はそんなことはどうでもいい。


鳴「ちょっとあなた、今日は中学の同級生と会うと言ってたわね。」


冷「はい。」


鳴「それってつまりその女とデートということかしら?」


やっぱりそう捉えたか。

まあ無理もない。

朱里と一緒に歩いてたわけだし。

冷「違いますよ。」


鳴「じゃあその女は?」


朱里「ちょっと冷、この子口悪くない?」


冷「悪い。でもそういう人だから。」


朱里「いや、でも…」


鳴「ちょっとあなた聞いてるの?」


冷「はい。この人は僕の中学の同級生で、先ほど偶然会っただけです。」


鳴「ほんと?」


冷「本当です。」


鳴「まあいいわ。そこのあなた名前は?」


朱里「あ、私ですか?江藤です。」


鳴「江藤さんね。あなたももしかして三上君の元カノですか?」


朱里「えっ、違いますけど?」


鳴「本当ですか?」


朱里「本当ですよ。冷、本当だよね?」


冷「うん。」

まあ一夜だけ一線を超えたけど。

そんなこと宮本さんに言えるわけがない。


鳴「そうですか。じゃあ今三上君のことが好きということですか?」


朱里「いや、それも違いますよ。」


鳴「本当?」


朱里「本当ですって。」


これが朱里の本心かどうかは正直僕にも分からない。

渚と違ってあまり考えが態度に出る人ではないし、何よりあの夜のことがあるからな。

それにしても宮本さんは相変わらずしつこいな。

顔がブスだったら平気でボロクソ言えるぐらいだ。


鳴「そうですか。てっきりあなたも安藤さんみたいに三上君のことが好きかと思いました。」


朱里「え、安藤?」


鳴「そう。安藤さん。三上君の元カノですよ。江藤さんなら当然知ってますよね?」


朱里「あ…はい、知ってはいますけど…」


ん?

朱里どうした?


朱里「冷、安藤って渚のことだよね?」


冷「うん、そうだけど。」


朱里「そう…分かった…」


あ、待て、思い出した。

そうだそうだ。

確か朱里と渚って仲が悪かった気がする。

っていうか絶対悪かった。

お互い毛嫌いしていたはず。

しかもその原因が僕だったような…

違ったかな?

でも僕だったような…

ちょっと、色んな人と二股かけすぎて誰が誰だったか整理出来てないけど。

おそらく僕の浮気が原因。

まあそうじゃないかもしれないけど。


鳴「江藤さん、あなたもしかして安藤さんと何かあったりするんですか?」


朱里「いや別に何もないですよ。」


鳴「そうですか。態度的に何か特別な関わりがあるのかと思いました。」


いや絶対ある。

そしてそれも僕が知らない何かだ。

オーソドックスな予想としては僕の取合いだけど、本当にそれだけか?

女同士だからなんかまだ裏がありそう。

まあ詮索する気はないけど。


朱里「ってか冷ってあえて渚と一緒の高校にしたの?」


冷「いや、偶然。僕も入るまで知らなかった。」


朱里「そうなんだ。いや、まさか冷と渚が一緒の高校だとは思ってなかった。」


冷「僕も最初渚と会った時はびっくりした。」


朱里「渚って高校でどんな感じ?」


鳴「安藤さんは性格悪いです。」


朱里「あ、やっぱり?」


え、待て待て。

渚ってそんなに性格悪いか?


鳴「江藤さん、やっぱり安藤さんと何かありますね?」


朱里「いや、だから何もないですって。」


鳴「別に隠さなくても良いですよ。安藤さんには言わないので。」


朱里「マジで何もないから。気にしないで。」


鳴「分かりました。じゃあ三上君、私はもう帰るわ。それと江藤さん、三上君を好きになっても無駄ですよ。あなたより可愛い子を知ってるので。」


朱里「あ、そうですか。でも私、別に冷のこと好きじゃないんで。」


鳴「嘘はいずれバレるわよ。それじゃあ三上君さよなら。」


冷「あ、はい。さようなら。」

そう言って、宮本さんは帰って行った。

それにしても何しに久木駅にいたんだろう?

気になるけど、別にいっか。

自分から話しかけることになるし。


朱里「冷、あの子本当にただのクラスメイト?」


冷「うん。」


朱里「なんかウザくない?」


冷「まあ、ウザいかもね。」

確実に性格はアレだけど、見た目が天使すぎて見てるだけで癒されるからなぁ。

まあ女子からしたら、ウザさMAXだろうな。


朱里「ってかあの子絶対冷のこと好きだよね。」


冷「知ってる。」


朱里「えっ!知ってるの!?」


冷「うん。」


朱里「えっ!何で!?告白されたの?」


冷「いや、されてない。」


朱里「じゃあ何で分かるの?」


冷「態度。」


朱里「まあそっか。あの態度なら誰でも分かるよね〜」


冷「うん。」

あの積極性は中々いない。

まあ僕に付き合う気がないからどうでもいいけど。


朱里「ところでさ、冷って渚と同じクラスなの?」


冷「いや、違う。」


朱里「そっか。じゃあ渚とはあんま会わない?」


冷「まあね。」

部活の時に毎回会うが、渚がサッカー部のマネージャーでよく会うなんて言ったら色々聞かれそうで面倒だかたやめておこう。


朱里「渚ってまだ冷のこと好きなのかな〜?」


冷「どうだろう。」


朱里「でも冷はもし渚に告白されても付き合わないんだよね?」


冷「うん。」


朱里「あ、でも冷なら別に付き合わなくてもそういう恋人同士がやること出来るもんねっ」


急に何だ。

いや、確かに出来るけど。

そういうこともしないし、女の子と関わる気がない。

まあ朱里だから言えるセリフなんだろうけど。


朱里「ねぇ、彼女いなくてもそういうことしてないの?」


冷「してない。」


朱里「え〜本当に冷?」


冷「何が。」


朱里「いや、ほんと変わったな〜って思っただけ」


冷「そう。」

世の中には変わる人もいれば変わらない人もいる。

そして変わりたいと思う人と変わりたくないと思う人がいる。

僕は変わりたくて変わった。

そして今のところ殺されずに生きている。

素晴らしいことではないか。

これが生きるということだよ。


なんてカッコつけて言ったら、また女の子を惚れさせてしまう。


久木駅から歩いて10分。


朱里「じゃあ、私こっちだから。」


冷「そう。さよなら。」


朱里「何その呆気ない別れ。」


冷「呆気ない?」


朱里「なんか冷たい。」


冷「そう?」

別に恋人同士ではないんだからどんな別れでも良いだろ。


朱里「まあいいや。冷また今度ね〜」


冷「バイバイ、朱里。」


やっと一人になれた。

ただ帰るだけだったのに色々大変だったなぁ。

イヤホンさえ忘れなければ、誰とも会わずに帰れたはずなのに。


リナ「おかえり!お兄ちゃん!♡」


冷「ただいま、リナ」

やっぱり何度聞いても良いね。

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