さっさと帰りたい
岬「今日はこれで終了です。自己紹介や委員決めは明日行います。それでは皆さんお気をつけて、また明日。」
「さようなら〜」
ショウタ「冷〜!一緒に帰ろうぜえ!」
冷「一緒にって…僕電車だけど」
ショウタ「俺も俺も!」
忘れてた。こいつも遠くから通ってるんだった。
冷「でも一緒の方向だっけ?」
ショウタ「お前久木だろ?だったら途中まで一緒だよ。一緒に帰ろうぜえ!」
なぜ僕とそんなに帰りたいのか理解不能だ。初日から寄り道して青春しようってか?僕としては寄り道せずそのまま家に帰りたい。途中で同じ学校の女の子と出会ってそこからいい感じになってしまうかもしれないし。
冷「どっか寄り道するの?」
ショウタ「いやただ帰るだけ」
寄り道しないのかい!流れ的にするかと思ったわ。
冷「じゃあいいよ。帰ろ。」
ショウタ「お!サンキュー!」
とりあえず教室出て適当に話をしながら帰ることに。
ーーー廊下(玄関付近)ーーー
ショウタ「…それでさ〜……」
基本ずっとこいつが話してる。ほんとおしゃべりだ。ずっと口が動いてる。
ショウタ「お!あの子可愛い!」
また可愛い子見つけたのか。あんなに話しててよく周りが見れるな。それで可愛い子は、どれどれ〜?
冷「どの子よ」
ショウタ「ほら、今そこで靴履いてる黒髪ロングの子。そうそう確か入学式で新入生代表だった…」
やばい、あいつだ…
まさか初日から出くわすとは。
とりあえず逃げなければ。
冷「ごめん!ちょっと僕トイレ!」
ショウタ「ちょっ、冷!待てよ!」
渚「ん?冷…?今、冷って聞こえたけどまさかね…あいつがこの学校にいるわけ…」
あービビったー
毎日危険だろこれ。
ショウタ「おい冷!急にどうしたんだ!」
冷「ごめん、ちょっとお腹痛くなって。」
痛くないけど
ショウタ「大丈夫か?」
冷「うん。もう平気。ありがとう。」
ショウタ「心配させるなよなぁ」
冷「ごめん。」
ショウタ「しかし、この学校可愛い子多いよなぁ!」
話の切り替えの速さよ。
冷「そんなにいる?」
ショウタ「冷の斜め後ろの子、それと先生。あと冷の隣の子も結構可愛い。そしてさっきの子。あの子名前なんだっけ〜?」
確かに僕の元カノは可愛い。
ショウタ「確か〜、佐藤?加藤?なぎさ…?あ、斎藤…」
冷「安藤渚だよ。」
ショウタ「そうそう安藤!ってなんでお前知ってるんだ?」
やばい。つい言ってしまった。
冷「いや入学式で紹介されてたから。」
ショウタ「お前覚えてたのか!冷すげえな!」
あーバカでよかった。変にここであいつとの関係性とか聞かれると面倒だった。
ショウタ「早く玄関戻って帰ろうぜえ〜」
冷「うん。」
玄関で靴を履き、そのまままた適当に話をしながら駅に向かった。まあ9:1であいつが話してたけど。
駅のホームに着くとそこには僕の隣の席のピンクヘアーの子が一人で電車を待っていた。
ショウタ「あれお前の隣の席の子じゃね?」
冷「そうだな。」
ショウタ「話しかけに行こうぜ!」
すげえな、こいつ。モテない男ってみんなこうなのか?
冷「え、僕は遠慮しとく。」
ショウタ「そうか!じゃあ俺自己紹介してくるわ!」
一緒に帰ろうって言ったのは誰だよ。僕はもう女の子を眺めるだけで十分だって思うようにしてる。
そうしないと即手を出しちゃって、浮気して、バレて、殺されちゃう。あ〜なんて世界なんだ。
あいつが行ってから5分ぐらい経った。
楽しそうに喋ってるなぁ。あいつ。
ショウタ「お〜い!冷!」
なんか呼ばれてる。関わりたくないから聞こえないふりでもしとこう。
「お〜い!」
「冷〜〜〜!」
「無視すんな〜!」
「お〜〜〜〜〜〜い!」
「れーーーーーい〜〜〜〜〜〜〜!」
「み〜〜〜〜〜〜〜〜か〜〜〜〜〜〜〜〜〜み〜〜〜〜〜〜〜〜〜くーーーーーーーーーーーん!!!」
超絶うるさい。駅のホームだぞここ。公共の場で何叫んでんだよ。そのうちツイッターで晒されるぞ。
もう仕方ない。行ってやろう。
冷「何?」
ショウタ「無視するなよ」
冷「ごめん。ちょっと寝てた。」
寝てないけど
ショウタ「寝てた?駅で?普通寝ないだろ〜」
さっきまでバカみたいに叫んでたやつに「普通」って言われたくないんですけど…
ショウタ「紹介するよ。お前の隣の席の子の星乃さん。」
ハル「初めまして。星乃ハルです。」
冷「初めまして、三上冷です。」
ショウタ「なんか二人いい感じだねえ!」
こいつはほんと何なんだ。
ハル「何言ってんのよ〜ショウタ〜」
ショウタ?もう下の名前で呼んでるのか。僕はまだ名前で呼んだことないし、さっきまでこいつの名前忘れてたわ。
冷「君たちもう仲良いんだね。」
ショウタ「俺のコミュ力すげえだろ!」
ハル「ショウタにコミュ力なんてないよ〜」
僕にはどうも君たち二人の方がいい感じに見えるんですけど…
ハル「三上君の方がコミュ力ありそうに見えるよ〜」
目腐ってんのかこの子。あ、でも確かこの子ちょっとドジっ子だったような?天然?それともそういうキャラ?可愛いのは認めるよ。
冷「僕はコミュ力ないです。」
ショウタ「ハル〜、冷にコミュ力があるわけないだろ〜。俺と話してる時、冷全然喋らないからほとんど俺が喋ってるんだぜえ」
いや、それはただ単にお前が喋りすぎなだけだ。
ハル「そうなんだ〜!」
納得するんかい。
構内アナウンス「まもなく、1番線にあすかぜ行きが到着します。ご注意ください。」
電車が来て、僕らはそれに乗った。