マイエンジェルと下校
帰り道。
ショウタは部活で星乃さんは委員会の仕事があり、宮本さんと二人で下校している僕。
まあいつも通り無理矢理付き合わされているだけだけど。
何回か隠れて下校しようと企んだが、いつも帰りのホームルームが終わった瞬間に宮本さんが僕の席に来るから隠れる暇もない。
そして宮本さんの質問に答えながら帰るのであった。
鳴「あなた、何が原因で安藤さんと別れたの?」
また渚の話か。
どんだけ気になるんだよ。
ってか別れた原因?
絶対に言わないけど。
冷「自然消滅的な感じです。」
鳴「本当?なんか怪しいわね。」
冷「本当です。」
宮本さんっていつも僕の答えを怪しんでる気がする。
ってか僕のこと全然信用してないだろ。
まあ別にいいけど。
信用されることをした覚えはないし。
鳴「じゃあ、どうやって付き合ったの?」
今度はそっちか。
付き合った理由はそんなの渚から告白してきたからに決まってる。
そもそも僕は女の子に告白なんてしたことがない。
ってかしようと思ったことがない。
いつも誰かからされるし、あんな面倒くさそうなことはやらない。
浮気するときだっていつも女の子から近づいてくる。
まあそれはあえて誰かと付き合っている事を伏せていたからなんだけど。
鳴「あなた聞いてるの?」
冷「はい。」
鳴「じゃあ早く答えなさいよ。」
冷「渚から告白されました。」
鳴「へぇ、そうなんだ。あなたからではないんだ。」
冷「はい。」
鳴「じゃあ、もしも誰かと付き合わないといけなかったら、あなたは誰と付き合う?」
冷「付き合いません。」
もしも系質問に対して根本から否定するのはつまらない人間がすることなんだろうけど。
僕は顔がかっこいいから別に中身がつまらなくてもいい。
だから僕はこの質問には答えない。
付き合う気はないって何回も言ってるわけだし。
鳴「は?つまんないわね。いいから答えなさいよ。」
冷「だから僕に付き合う気はないですよ。」
鳴「そんなの知ってるわよ。でも仮に付き合うとしたらって聞いてるの。いいから早く答えなさい。」
あぁ面倒くさい。
これ適当に答えた方がいいのか?
諦めてくれなさそうだし。
鳴「まさか安藤さんとか?」
冷「いや、仮に付き合うなら先生ですかね。」
鳴「あなた本当あの先生好きよね。」
冷「可愛いですから。」
鳴「確かに可愛いわ、憎たらしいほどに。」
憎たらしいのか。
けど宮本さんも十分に可愛いと思うけど。
鳴「でもあの先生は絶対に裏があるわ。」
僕はその裏の顔を知っている。
けどそこまで悪い人ではない。
ただ先生という立場を利用して歳下の男の子を狙っているだけだ。
まあその男の子が僕なんだけど。
鳴「ってかやっぱり私はあの先生が嫌いだわ。」
渚が嫌いで先生も嫌い。
共通するのは二人とも可愛いところか。
ってかそれは嫉妬ではないのか?
でも別に宮本さんも十分可愛いわけだし嫉妬ではないか。
見た目が天使なわけだし。
鳴「そういえば、日曜日にまたあなたの家に行くわ。」
は?
何でまた勝手に決めてんの?
家には妹がいるんですけど。
宮本さんと妹をまた会わせるわけにはいかないんですけど。
冷「日曜日は無理です。」
鳴「あなたどうせ暇じゃない。」
冷「暇ではないです。」
本当は暇ではあるが、無理なものは無理だ。
鳴「本当?じゃあ何の用事があるか言ってみなさい。」
まあそうなるわな。
でも言い訳はもう考えてある。
今回は直樹とのあれを利用しよう。
冷「中学の頃の友達と会う約束をしています。」
鳴「中学の頃の友達ねぇ。ってか、それってまさか安藤さんではないでしょうね?」
冷「いや違います。」
渚なわけないだろ。
鳴「そう。分かったわ。今回は諦めてあげる。」
意外とあっさり諦めてくれた。
でもこの感じだと前みたいに突然家に来るかもしれないな。
まだ直樹と約束したわけじゃないから、もし直樹が無理だったら一人でどこかに行くか。
漫画喫茶とかならくつろげそうだし。
直樹にLINEで日曜日空いてることを伝えたら、偶然直樹も暇だったらしい。
そして本当に中学の友達で集まることになった。
場所は定番のボウリング。
念のため女の子は呼ぶなともう一回伝えておいた。
中学の頃はほとんどの女子が僕に惚れていたからなぁ。
また会って惚れさせてしまったら厄介。
とりあえず久しぶりに会うわけだし楽しんでみるか。
ボウリングも久しぶりなわけだし。