なぜ宮本さんが?
金曜日。
昨日、星乃さんを結果的に傷つけてしまった。
星乃さんに直接「女友達はいない」と言ったわけではないが、星乃さんからしたら僕が言った事実そのものがショックだったのだろう。
別に僕は星乃さんのことが嫌いなわけではない。
ただこれ以上仲を縮めたくないだけだ。
モテない男子なら今日学校へ行くのはおそらく気まずいんだろうな。
それか謝ろうという気持ちがあるか。
僕にその二つはない。
いつも通り学校に行き授業を受けて帰るだけ。
女子に自分から話しかけることはないし、話しかけられたとしても出来るだけ簡潔に返事するだけだ。
星乃さんがどういう態度で来るかは知らないけど、僕は常に冷静でいよう。
これ以上惚れさせないためにも。
いつも通り如月駅に着いた僕。
そしていつも通り僕のことを待っていた星乃さんと宮本さん。
ハル「冷君おっはー!」
鳴「あなたおはよう。」
冷「おはようございます。」
なんだ。
星乃さん、いつも通りじゃないか。
明るくていつもと変わった様子はない。
昨日のことがあったから、てっきり今日は落ち込んでたりすのかと思っていたけれど。
学校に着いても特に星乃さんにおかしいところはない。
もう切り替えたってことか?
それとも忘れるようにしたとか?
もしかして僕のこともう好きじゃなくなってスッキリしたとか!?
昼休み。
鳴「ちょっと、あなたいいかしら?」
冷「どうしました?」
鳴「ちょっと着いてきて。」
冷「あ、はい。」
4階の廊下の端にある空き教室に連れていかれた。
僕としては早く昼食を食べたいんだが…
鳴「あなた、昨日ハルと何かあったの?」
あ、そのことか。
もしかして星乃さんから聞いたのか?
ここは正直に答えるべきか?
でも、面倒だな。
早く昼食食べたいし、適当に返そう。
冷「特に何もないと思います。」
鳴「本当?」
冷「はい。」
鳴「そう。実は昨日ハルからLINE来て、それでちょっとね。」
冷「そうなんですか。」
LINEの内容は気になるけど、それよりも早く昼食が食べたい。
鳴「それで、これからあなたと同じ中学だった人に会わせてもらえるかしら。」
冷「はい?」
え?
は?
鳴「だから、あなたと同じ中学だった人よ。確か名前は安藤だった気がする。」
いやいやいやいや
ちょと待てちょと待て
それって宮本さんが渚に会いたいってことだろ?
宮本さんと渚…
宮本さん…と…渚…
えーっと…
いやいやいやいやいやいやいや
絶対ダメだろ。
あの二人ってなんか性格似てるというか。
なんか会わせるととてもまずい気がする。
そもそも星乃さんは宮本さんに何を言ったんだ?
ってか何で渚に会いたいんだよ。
そんなに僕の同中が気になるのか?
鳴「ねえあなた早くしなさいよ。」
冷「何で会いたいんですか?」
鳴「それは気になるからよ。」
冷「そうですか。」
なぜ気になる?
まあ確かにこの学校で唯一の僕と同中。
僕の中学時代を知るために会いたいのも分かる。
それか僕の元カノだからか?
まさか星乃さんが宮本さんに言ったのか?
別に言うなと言ったわけじゃないし、別に言われても構わないんだけど。
鳴「さあ行くわよ。どこのクラス?」
仕方ないか。
そもそも宮本さんが渚に何の用があるかなんて僕にはどうでもいい。
今は早く昼食が食べたい。
さっさと宮本さんを渚のところまで連れて行って教室に戻ろう。
冷「分かりました。1組です。」
そして1組に行き僕は渚を呼んだ。
渚「まさかあんたが私に会いに来るなんてね。で、その女の子は誰?」
冷「実は僕じゃなくて宮本さんが渚に会いたいって。」
渚「宮本さん?」
鳴「初めまして。2組の宮本鳴です。」
渚「どうも。」
これで僕の仕事は終了。
やっと教室に戻れる。
腹減ったなぁ。
冷「じゃあ僕は教室に戻ります。」
鳴「ちょっとあなた何勝手に戻ってるのよ。あなたもここにいなさい。」
は?
何で?
渚に用があるんだろ?
だったら僕いらないじゃん。
冷「僕ここにいる意味あります?」
鳴「あるわ。あなたについて話すわけだし。」
いや、別に聞きたくないわ。
ってか僕がいない方が話しやすいだろ。
渚「で、宮本さんは私に何の用?」
鳴「安藤さん、私はあなたが嫌いだわ。」
え…
はああああああああああ!?!?