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あえて僕はモテないようにする  作者: 色落りん
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新たな一歩はどこへ行く

ハル「お〜い!冷君〜!」


あ、星乃さん。


渚「ちょんとあんたあの子誰?」


冷「同じクラスの星乃さん。」


渚「そう。」


星乃さんが走ってこっちに向かって来た。


ハル「冷君今帰るところ?」


冷「はい。」


ハル「あ、もしかして冷君の友達?」


冷「はい。」


ハル「えーっと、冷君と同じクラスの星乃ハルって言います。」


渚「1組の安藤渚です。」


何だこの妙な雰囲気。

渚はいつものツンデレモードだけど星乃さんの様子がいつもと少し違う気がする。


ハル「あ…安藤さん、よろしくね〜」


渚「ちょっとあんたこの星乃さんとどういう関係?」


冷「クラスメイト。」


渚「それだけ?」


冷「うん。」


渚「じゃあ何であんたのこと馴れ馴れしく冷君って呼んでるわけ?」


冷「知らない。」

そういえば何で「冷君」って呼んでるんだろう?

僕をそうやって呼んだのは今までで星乃さんだけだ。


ハル「あの〜二人はどういう関係なの〜?」


渚「その前に何であなたは冷のこと冷君って呼んでるわけ?」


ハル「えーっと…呼びやすいからかな〜」


渚「そう。それにしてもかなり仲が良さそうだけど?」


ハル「うん、結構仲良いよ〜。席は隣でいつも一緒に登校してるしゴールデンウィークには温泉旅行に行ったんだ〜」


渚「はぁ?ちょっとあんたこれどういう意味?」


おいおいおいおい

何勝手に言っちゃてんだよ星乃さん。

しかもその言い方だと変に誤解されるじゃねえか。

一緒に行ったけど宮本さんと3人でだぞ?

冷「いや、星乃さんが言った通りではあるけど。」


渚「あんたさっき女友達いないって言ったじゃん。ってことはもしかしてあんたの彼女?」


冷「だから彼女いないって。」


ハル「えっ、冷君、女友達いないって…どういうこと?」


あれ?

なんか修羅場的な感じになってないか?

いやいや待て待て。

僕はこの二人と付き合ってるわけじゃないし、ただの知り合いだ。

同じ学校に通っているだけだ。

なのに何でこんな風になってるんだ?

嫌だよ。

ここで殺されるのは嫌だよ。

大体僕は何も悪いことしてないじゃないか。


渚「さっき冷にクラスに女友達いるか聞いたらいないって答えのよ。」


ハル「そ…そうなんだ…」


あ、星乃さんが聞いてはいけないようなことを渚が言ったような…

星乃さんすごい悲しそうだし。

まあ、星乃さんからしたら僕は好きな人であり友達だったんだろう。

それを僕が女友達はいないって言ってるのを聞いたらそりゃあそういう反応になるわな。

普通なら僕の立場にいる人が焦って否定するんだろうけど僕にそれをするメリットはない。

僕としては女の子を傷つけずに僕との距離を離したかったけど、もう遅い。

星乃さんには悪いけどこれは仕方ない。渚が言っちゃったわけだし。

まぁ、偶然起きた星乃さんとの距離を離せるチャンス。

何もしないでおこう。


ハル「あの〜安藤さんと冷君はどういう関係なのかな…?」


渚「元カレと元カノよ。」


は!?


えっ!?


いきなり!?


いやいやいやいや

ここは同中とか同じ部活の選手とマネージャーとかって言うだろう。

何いきなり元恋人同士なのをカミングアウトしてんだよ。


ハル「そ…それって冷君と安藤さんが前に付き合ってたってこと?ってかもしかして同じ中学なの?」


渚「そうよ。中学の時に付き合ってた。」


ハル「そうなんだ…知らなかったな〜」


無理に笑おうとしている星乃さん。

内心は悲しさで溢れていそうな気がする。

ショックなのか?

でも宿泊研修の時の行きのバスで僕は付き合った人数を言ったし、そこまで悲しくなる理由が僕には正直分からない。

大体僕は今渚と付き合ってるわけではないんだし。

そしてこれからも僕は誰とも付き合う気がない。


ハル「じゃあ…あ…あたし帰るね…冷君また明日〜」


冷「星乃さんさようなら。」

珍しく一人で先に帰る星乃さん。

そんなにショックか?

別に渚と付き合ってるわけでもないのに。

まあ僕としては理想の形では無かったけど星乃さんと距離を置くことが出来た。

これは渚のおかげと言って良いのか?


渚「あんたあの子と本当はどういう関係?なんか変に作り笑いしてたけど」


冷「いや、だからただのクラスメイト。」


渚「一緒に登校してるって言ってたけど。」


冷「それは僕が強制的にさせられてるだけ。僕と星乃さんと星乃さんの友達でただ歩いているだけ。」


渚「そう。じゃあもしかして温泉旅行も強制的に行かされたの?」


冷「うん。」


渚「へ〜。あの星乃さんって子、あんたにそういうことするんだ、彼女でもないのに。」


冷「うん、まぁ。」

実際は星乃さんじゃなくて宮本さんなんだけど。

渚に一々説明するのが面倒くさい。

宮本さんって誰?ってなるし。


渚「じゃあ私も帰るね。」


冷「分かった。」


渚「あんたじゃあね。」


冷「渚バイバイ。」


僕も帰るか。

でも何だろう。

星乃さんとの距離を離せて良かったはずなのに何かどうもしっくり来ない。

やっぱり理想的な形ではなかったからか?

確かに友達だと思っていた男の子が「女友達はいない」って言ったのを知ってしまったら誰だって傷つく。

それが好きな人なら尚更だ。

でもこれで僕のことを諦めてくれるなら僕としてはありがたい。

けどやっぱり理想的ではなかったと感じる。

それはおそらく僕が浮気以外の理由で女の子を傷つけたことないからだ。

僕の浮気が原因で傷ついた女の子はたくさんいる。

渚もその一人。

でも浮気以外の理由で女の子を悲しませたり泣かせたりしたことはない。

まあ考えてもキリがないな。

もうこれについて考えるのはやめよ。

星乃さんのことは忘れて早く帰って妹に癒されるかぁ。

妹の「おかえり!お兄ちゃん!♡」が早く聞きたいし。

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