女友達とは
木曜日。
いつも通りに学校が終わり、部活に参加していた。
相変わらずの適当な顧問に適当な練習内容だが、僕としては満足していたし楽しくサッカーが出来ていた。
そんなサッカー部ももうすぐ高体連が待っている。
普通の学校なら高体連に向けて練習日を増やしたりするが、このサッカー部はいつも通りだ。
まあ、どうせ練習したところで1回戦敗退なんだろうけど。
顧問「じゃあ、いつも通りな感じで今日も行くか〜、キャプテンよろしく〜」
ほんと適当だなこの顧問。
いつもキャプテンに任せっきり。
まあキャプテンはしっかりした人だし問題ないけど。
2時間の適当な練習が終わり、いつも通り電車に乗って一人で帰ろうとしていた。
慶太「冷、明日って宿題あったっけ?」
冷「たぶん無かったと思う。」
慶太「分かったありがとう、また明日〜」
冷「じゃあね慶太。」
毎日自転車通学は大変そうだな。
特に雨なんか降ったら最悪だろ。
荷物も重そうだし。
僕には出来ないな。
渚「あんた今日も電車?」
冷「あ、渚。今日っていうかいつも電車。」
渚「よくあんな遠いところから通うよね。ほんと何でこの学校にしたわけ?」
冷「またその質問か。特に無いって」
渚「ほんとあんた意味分かんない。前聞いたら私と一緒が良いみたいなこと言うし。」
冷「あれは事故だから忘れて。」
渚「ほんと意味分かんない。」
冷「はいはい。」
渚「はいはいって何よ!」
冷「何でもない。」
渚「ってかあんたまだ彼女いないわけ?」
冷「いない。」
渚「あんた本当に作る気ないんだね。」
冷「ない。」
渚「何で?」
冷「面倒だから。」
実際は殺されたくないからだけど。
渚「本当に言ってる?中学の時あんなに女子と遊んでたじゃない。」
冷「あれは中学。今は高校。もう遊ばない。」
渚「まあ確かに、今のところあんたはまだ誰とも遊んでいないようだけど。」
冷「有言実行だから。」
実際は宮本さん達が家に遊びに来たり、温泉旅行に行ったりはしたけど。
まああれは僕から誘ったものじゃないしむしろ強制的にやらされたものだ。
渚「ってかあんた高校入って誰かに告白された?」
冷「されてない。」
前に渚にまた付き合ってもいい的なことは言われたけど。
でもあれは僕が起こした事故発言が元だから仕方ないか。
渚「本当に?」
冷「本当。」
渚「まさかね。あんたが誰からも告白されないのって変だね。」
冷「どうだろう。」
僕の努力の成果だ。
女子に自分からは話しかけず、常に話しかけづらいモードにしておいたおかげだ。
まあ星乃さんと宮本さんには全く効いていないようだけど。
渚「ってかあんたクラスに友達いるの?」
冷「いる。」
渚「畑尾君以外で?」
冷「いる。」
渚「誰?」
冷「ショウタ。」
渚「誰よそれ。」
冷「僕の前の席の人。」
渚「そう。他には?」
冷「いない。」
渚「はぁ?畑尾君とそのショウタって人だけ?」
冷「うん。」
渚「何それ意味分かんない。」
冷「意味わからなくて結構。」
1ヶ月経ってまだショウタと慶太しか仲良い人がいない。
まあ仕方ないと思っている。
休み時間は常に自分の席に座っていて自分から話しかけに行こうとしない。
女子と関わるのを恐れているから席を動かないのが主な理由だろう。
リスクを負ってまで友達を作りたいとは思わない。
けどやっぱりもう少し仲良くした方がいいのか?
まあその内席替えがあるからまた近くになった人と仲良くすればいい。
渚「じゃあ女友達は?」
冷「えーっと…」
女友達か。
まあ星乃さんと宮本さんはいつも一緒に登校させられているしよく話すけど、友達なのか?
よく分からないなぁ。
中学の頃は女子を恋愛対象として見てたわけだし、相手が自分の好みなら平気で一線を超えてた。(可愛い子に限る)
だから今まで女子と友達という関係になったことがない。
渚「ねぇ、早く答えてよ。」
冷「分からない。」
渚「はぁ何それ。」
冷「そもそも女友達って何?」
渚「はぁ?そんなの女子でただの友達ってことでしょ。」
冷「じゃあ渚は僕の女友達ってこと?」
渚「は?あんたなんか友達じゃないし。ただの元カレ元カノの関係だし。」
冷「そうかい。」
渚「いいから女友達いるの?いないの?」
まあいつもあの二人からは話しかけてくるわけで、僕は避けたいと思ってるから友達とは言えないか。
冷「いないかな。」
渚「あんたもしかしてクラスでぼっち?」
冷「どうだろうね。」
渚「ってかあんたさっきから答えが適当なんだけど。」
冷「そうかい。」
渚「ほんとあんた意味分かんない。」
冷「はいはい。」
何回意味わからないって言われるのか…
渚「じゃあ私もう帰る。」
冷「そう。バイバ…」
ハル「あ、冷君だ〜!」
え…