ただの入学式
「可愛い」「すげえ美人」「これが先生かよ」「やべえ勃った」「授業に集中できないだろこれ」
周りの男子から聞こえてくるつぶやき。みんな思ってることは一緒か。この先生は超絶可愛い。
ショウタ「おい冷、俺らの担任やばすぎだろ」
当然こいつもこう同じように思っている。
冷「後ろの女の子と先生どっちにするんだよ」
ショウタ「両方ってありかな?、俺、ハーレムとか憧れるんだよねぇ。」
何を言えってるんだこいつは。ハーレムは確かに楽しいし最高だ。しかしいつまでもその状態は続かない。必ず選ぶ時が来る。それがどんなに過酷な選択かこいつはまだ知らない。一層の事あのアニメをこいつに見せてやろうか。
冷「ハーレムねぇ。」
岬「では今から入学式のため体育館に向かいます。男女それぞれ出席番号順に1列に並んでください。」
これから入学式か。と言ってもただ体育館に行って話を聞くだけだ。
岬「体育館の席は男女各1列です。前の人から順に座って行って下さい。」
男女各1列。つまり、隣は女子になるということか。女の子は好きだが、変に好意を持たれると厄介だ。
列に並んだ。
まだ隣の女子を確認してなかったなぁ。今するか。
ピンクヘアーでセミロング、明るそうな性格で今も前の女の子と話してる。この子も可愛いかも。
岬「ではまもなく入場しまーす。」
体育館入場。
思ってた通り隣は女子だ。しかも右側には1組の女子もいる。左はさっきのピンクヘアーの明るい子で、右は眼鏡をかけていかにも愛想ない成績優秀者タイプの子だ。なぜかこの子に「眼鏡を外したら可愛くなるかもよ」ってアドバイスしたい。中学の頃それで一人を劇的に変えたことがる。
ピンクヘアーの子はちょっと緊張してる様子。たかが入学式だぞ?それとも体調悪いのか?つい声をかけたくなる。
「ただいまより私立如月高等学校第14回入学式を執り行います。」
入学式が始まった。校長先生やPTA会長の長話。寝ないように頑張ろう。
グ〜〜
僕は誰かのお腹がなったのに気づいた。左の方から聞こえた。まさかピンクヘアーのあの子ではないだろう。ちょっとチラ見するか。
あ
様子からしてあの子だ。下を向いてるけど顔が赤いのが分かる。朝食食べてないのか?すごい恥ずかしそう。この子って典型的な天然ドジっ子タイプかもしれない。朝寝坊して朝食取らずに学校来て入学式の今まさに空腹状態。しかもこの静かな体育館でお腹を鳴らさないように必死に我慢してたのか。これはあくまで僕の推測だけど可能性は高い。だとしたらこのも可愛いぞ。
「続きまして新入生代表挨拶。新入生代表1年1組安藤渚。」
安藤渚ねえ…
ん?
あれ?
聞いたことあるなこの名前…
え、まさか…?
そのまさかだった。安藤渚。この学校で唯一僕と同じ学校から来た人だ。そう、ただ一人の同中。しかもこいつとは中学の頃短期間だけ恋人同士だった。別れた理由は、まあ僕の浮気が原因で。別れてからは一言も話してない。これは厄介な人物登場だ。こいつに僕の中学時代を言いふらされるなんてことがあると、確実に女子からは嫌われ男子からも避けられる。ぼっちにはなりたくない。女子には避けられるというより僕が避けたい。いつも女子の注目の的でいたい。関わる気は全くないけど。まあ言いふらされてもイケメン好きの女子は簡単に僕からは離れられないはずだ。とにかくこの渚とは会わないようにしなければ。特に廊下は注意だ。休み時間は教室で過ごそう。
入学式が終わり教室に戻った。左のピンクヘアーの子は何事もなかったかのように友達と話していた。