僕は胡麻団子が好き
鳴「どうしたの二人とも?」
ハル「あたしと冷君が一緒の部屋…?」
鳴「そうよ。」
いやいやいやいや
ちょと待てちょと待て。
は?
何で僕と星乃さんが一緒の部屋?
何で?
え?
は?
冷「何で僕と星乃さんが一緒の部屋なんですか?」
鳴「そんなのあなたたちがペアに決まってるからでしょ。」
ハル「鳴それどういう意味?」
鳴「私はあなたたち二人にペアチケットをあげて、私は自分のお金で旅行に来たわけ。だからあなたたち二人はペア。」
ハル「チケットをくれたのはありがたいけど…でも…ペアって…それじゃまるであたしたちカップルみたいな…」
鳴「何、二人一緒の部屋では不満?」
不満だわ!
一緒の部屋で夜を過ごすんだぞ?
色々と危ないだろ。
星乃さん胸大きいし。
鳴「そう、仕方ないわね。じゃあ私とハルが一緒の部屋で…」
ハル「別に不満ではないよ…」
鳴「え?」
え?
は?
ハル「あたし…冷君と一緒の部屋でも良い…よ…」
え…
はあああああ!?!?
鳴「そう。なら決まりね。」
いやいやいやいや
はあ!?
星乃さん何言っちゃってんの?
何で一緒の部屋で良いんだよ。
まあ、僕のことが好きなのは分かってるけど、でも一緒の部屋って…
ってか僕の意見は?
星乃さんに不満かどうか聞いて、僕には聞かないの?
僕の意見言ってもどうせ宮本さんには通らないからとか?
おいおいおいおい宮本さん。
鳴「じゃあ荷物置いて早速出かけるわよ。」
冷「あの…僕の意見は…」
鳴「ん?あなたの意見なんて聞くわけないでしょう。どうせ否定ばっかりするし。」
酷い。
宮本さんの僕に対する扱いが段々ショウタと同じになって来てるような…
仕方なく星乃さんと一緒の部屋に…
ハル「うわ〜!結構広いね冷君!」
冷「そうですね。」
まあこうなったら仕方ない。
同じ部屋でもいつも通り冷静に警戒していれば大丈夫だろう。
しかも星乃さんだ。
夜になって急に性欲マックスに襲ってくるとかにはならないだろう。
寝るときはイヤホンを耳栓代わりにして、星乃さんに話しかけられても聞こえないようにすればいい。
鳴「じゃあ出発するわよ。」
ハル「鳴、どこに行くの〜?」
鳴「とりあえずこの辺りを散歩するわ。美味しい和菓子屋もあるってネットに書いてあったし。」
ハル「本当!?あたし和菓子好きなんだよね〜」
流石に最初から温泉には入らないか。
まあ軽く散歩してから入った方がさらに気持ち良いかもな。
旅館を出て散歩を始めた僕ら3人。
宮本さんと星乃さんは楽しく話しながら歩き、僕はその後をついて行く感じだ。
話しかけられても聞いていなかったふりをする。
これはこの1ヶ月で身につけた僕のスキルの一つである。
鳴「着いたわ。」
ハル「ここがさっき鳴が言ってた和菓子屋!?」
鳴「そうよ。」
ハル「うわ〜!美味しそう〜!どれにしよっかな〜?」
僕も和菓子は好きだ。
特に胡麻団子。
あの美味しさはたまらない。
しかし、和菓子好きとは言ったが、実はアンコが苦手なのも事実。
だから食べられる和菓子は限られている。
ハル「冷君は何食べるの〜?」
冷「僕は胡麻団子ですかね。」
ハル「胡麻団子か〜!美味しいよね〜!鳴は?」
鳴「私は羊羹よ。」
ハル「羊羹か〜!羊羹も美味しいよね〜!」
星乃さん、和菓子なら何でも美味しいんだろ。
ハル「じゃあ、あたしは大福とおはぎとどら焼きかな〜」
そんなに買うのかよ。
まあ、昼食代わりって事なのか?
僕は買った胡麻団子をゆっくりと味わって食べる。
思っていた通り美味しい。
さすが和菓子屋。
スーパーで売ってる市販のものとは一味違う。
ハル「大福美味しい〜!」
鳴「私もこの羊羹美味しいわ。」
そりゃあみんな自分の好きなもの買ったから美味しいに決まってるだろ。
ちなみに僕が買った胡麻団子もめちゃくちゃ美味い。
ハル「冷君、あたしの大福一口いる?」
は?
一口いるとか言ったか?
聞こえなかったふりをしよう。
ハル「ねえ冷君!」
冷「何でしょう。」
無理だった。
大体隣に座ってるからこの距離。
聞こえないふりをするには無理があった。
ハル「あたしの大福一口いる?」
いやいやいやいや
それって間接キスって事だろ?
いくら間接とは言え、キスはキス。
危険だ。
冷「いいえ。大丈夫です。」
ハル「え〜、美味しいよ?」
冷「僕、あんこ食べられないので。」
ハル「え!そうなの〜!?」
冷「はい。」
あんこ食べられなくて良かった〜。
久しぶりに嘘じゃない言い訳が出来た。
ハル「そっか〜、だから胡麻団子食べてるんだね〜」
冷「まあ、はい。」
別にあんこが食べられないから胡麻団子を食べているわけじゃないんだけど…
和菓子を食べた後はまた少し散歩をし、旅館に戻った。
鳴「二人とも温泉に入るわよ。」
ハル「やった〜!温泉だ〜!」
いよいよ待ちに待った温泉。
そして一人でのんびり出来る最大のチャンス。
出来るだけ長く入って、この二人と一緒にいる時間を減らす。
二人は女の子だ。
僕の入浴タイムを邪魔することは流石の宮本さんでも出来ない。
さあリラックス環境でリラックスタイムの始まりだ。
鳴「言うの忘れてたけど、ここの温泉、混浴だから。」
え…