そして倒れる。
冷「あ、渚。試合見てたの?」
渚「は?見てないし。たまたまあんたがスパイクしたところ見てただけだし。」
冷「そうか。」
いや、絶対試合全部見てただろ。
渚「あんたって意外に運動神経いいのね。」
冷「ありがとう。」
渚「はぁ?別に褒めてなんかないんだけど。」
冷「そうなのか。」
褒めてないのかよ。
渚「ってかあんたあのピンク色の髪の子と仲良さそうじゃん。あの子狙ってんの?」
ピンク色?
あ、星乃さんのことか。
冷「いや、狙ってないけど。」
渚「本当に?」
冷「本当に。前にも言ったとけど、僕は誰とも付き合う気はないって。」
渚「私それまだ信じてないから。」
冷「はいはい、そうですか。」
渚「何よその返事。」
冷「信じてもらえなくて結構って意味。」
渚「はぁ?何それ、意味わかんない。」
冷「じゃあ僕もう行くわ。」
渚「え?もう行くの?」
冷「のど乾いてるから早く水飲みたいんだよ。」
渚「そう…」
冷「バイバイ渚。」
渚「つ…次の試合も…が…頑張ってね…」
冷「ん?何か言った?」
渚「何でもない!早く行けバーカ!」
冷「はいはい。じゃあね。」
何でバカって言われないといけないんだよ。
相変わらずのツンデレっぷりだな。
まあ可愛いからいいか。
水を飲みに行った後は15分間休憩があり、そして僕らは2試合目に向かった。
「ではこれより、2組1班対7組4班の試合を行います。」
よし。ポジションはこのあたりで良いだろう。
高松「三上君、そこで良いの?」
冷「うん。」
高松「じゃあブロックとかよろしく!」
あ、そうか。
ネットに一番近いからブロックやらないと行けないのか。
それは考えてなかった。
しかし今回もギャラリー多いなぁ。
全員僕目当てか?
しかも男子のギャラリーも多い。
これはきっと星乃さん目当てだな。
人気投票とかあったら僕らの班優勝だろ。
試合はさっきと同様に高校デビュー高松と相沢さんが見事な活躍。
そして僕は目立たないように十分気をつけてプレーをし、スパイクすることなく試合は終わった。
結果は25対14で僕らの勝利。
2連勝となった。
ハル「二人ともすごいね〜!」
高松「いやいや〜、俺はただプレーしてただけだから〜」
いや、めっちゃ頑張ってただろ。
汗すごいぞ。
ハル「このまま優勝目指して頑張ろ〜!」
高松「あ、星乃さん。優勝とかないよ。チーム数多いし時間も限られてるから全チーム5試合ずつって決まってるんだ。」
ハル「え?そうなの?何だ〜、あたしたちなら優勝目指せると思ったんだけどな〜」
優勝とかないのかよ。
大会って言ってたからそういうのあるとか思ってた。
まあ、僕としてはありがたい。
決勝に行ってしまうと、全学年生徒から注目を浴びて、ほとんどの女子を惚れさせてしまう。
だからとりあえずホッとした。
その後僕らは2試合戦い、いずれも勝利してまさかの4連勝。
そして僕らは最後の試合に臨んだのだ。
「ではこれより2組1班対2組4班の試合を行います。」
まさかの相手が宮本さんやショウタがいる4班とは。
ショウタ「お〜!冷!良い試合にしような!」
冷「うん。」
すっかり元気だなショウタ。
相手に知ってる人がいると少しやりづらいけど、少しだけ面白くなりそうだ。
しかし、なぜかさっきから少しめまいがする。
大して動いてないのにもう疲れたのか?
鳴「あなた、ハルと上手く行ってる?」
冷「はい?」
いきなり何の質問だよ。
鳴「ハルと同じ班で良い関係になれたかって聞いてるのよ。」
冷「良い関係というか、別に何度も言うように付き合おうとか思ってませんから。」
鳴「知ってるわ。ハルから何かアプローチ的なものはきた?」
冷「いや特に来てないと思います。」
鳴「そう。まあ、あなた鈍感だから気づいてないだけかもしれないけど。」
冷「そうですかね。」
いや、本当に星乃さんは何もしてない。
もしされたら絶対気づくはずだ。
しかし、宮本さんは何でそんなに星乃さんのことを気にするんだ?
宮本さんも僕のことが好きなのに、それを星乃さんに譲るとか?
まあ誰が告白して来ても、僕は付き合う気はないけど。
そして試合は始まった。
宮本さんたちの班は今までで一番強い相手だった。
と言うのも、相手にバレーボール部員らしき人がいたからだ。
高校デビュー高松とは圧倒的にレベルの差があり、僕らは苦戦した。
それにしても、さっきからめまいがする。
僕これ大丈夫か?
倒れたりすると人に心配かけてしまうし、何より注目を浴びてしまう。
どうするよ。
メンバー交代とかないから、試合から抜けるわけにもいかないし。
困ったなぁ。
高松「18対20!みんな最後まで頑張ろう!そして逆転するぞ!」
ハル「お〜う!」
良い試合だな。
こりゃあギャラリーも盛り上がるだろ。
ここで倒れたら折角の盛り…あ…がりが…
高松「三上君!?!?」