やっと1泊
斉藤「ちょっと携帯部屋で充電してるの忘れてて、取りに来たんだ。コールドも一緒に…」
斉藤君が一瞬止まった。
急に帰って来たわけであって、宮本さんが隠れる時間はなかった。
まあ、先生が入って来たわけではないから、別に隠れる必要はないんだけど。
鳴「じゃあ私帰るわ。あなたまたね。」
斉藤「ちょっ…三上君…これはどういうことだい?」
混乱して普通に三上君って呼んでるじゃねえか。
冷「いや、ちょっと話してて。」
斉藤「部屋で?二人きりで?」
冷「うん。」
斉藤「何で?」
冷「いや、宮本さんが突然来て…」
斉藤「それで部屋に入れたの?」
冷「入れたというか、強引に入って来た。」
斉藤「もしかして君たちって付き合ってるの?」
冷「いや付き合ってないけど。」
斉藤「嘘だ〜、付き合ってないなら普通部屋に女の子なんか来ないよ〜」
いや、それは君のようなモテない男子だけだ。
僕みたいな何もしなくてもモテる男は呼ばなくても女の子は来る。
まあ、だからこそ寝ぼけてる時につい先生だと思ってドアを開けてしまったのは僕のミス。
斉藤「それで、本当に部屋で話してただけ?」
冷「うん。」
めっちゃ聞くじゃんこいつ。
斉藤「怪しいな〜、絶対キスとかしてたでしょ!」
冷「してないけど。」
うるせえな。
どんだけ聞いて来るんだこいつは。
何がそんなに気になる。
もしかして部屋で女の子と二人きりのシチュエーションになったことないとか?
ってか逆にこいつがあるわけないか。
斉藤「三上君…いや、コールドは宮本さんのことどう思ってるの?」
今、普通に三上君って言っただろ。
意識してコールドって呼んでるのかよ。
冷「冷たい人。」
斉藤「やっぱり宮本さんってそういう性格なのか〜」
冷「うん。」
実際のところ、僕に対しては冷たくない。むしろ積極的だ。
斉藤「あの子可愛いから今度話しかけようと思ってたのにな〜、話しかけても大丈夫かな?」
「どうだろう。」
絶対無視される。
宮本さんがこんなメガネと話すわけがない。
しかも、さっき話した時こいつのことを警戒してたし。
大体こいつからはなぜか変態オーラが漂っている。
女子からしたら「気持ち悪い」の部類でしかないだろ。
斉藤「じゃあ俺高松君の部屋に戻るわ!コールドは本当に来なくていいの?」
冷「うん。」
斉藤「勿体無いな〜、じゃあまた後で!」
そして僕はやっと一人になれた。
やっぱり一人は落ち着く。
また音楽でも聞いてゆっくりするか。
消灯時間になっても斉藤君は帰って来ず、僕は時間通りに寝た。
ーーー次の日ーーー
朝食は夕食と同じように大ホールで班ごと食べ、その後は研修。
夕方には南沢町内にある体育館に移動して、そこで班対抗スポーツ大会を行うらしい。
岬「みなさん、こんにちは〜。1年2組担任の岬結衣です。これよりエンカウンター研修を始めたいと思いま〜す。」
あ、岬先生だ。いつ見ても可愛いなぁ。
ってかエンカウンターって何だ?
岬「ではまず、男女二人1組になってくださ〜い。」
は?
二人1組?何で?
しかも男女で?
高松「みんなどうする〜!?」
何でちょっと興奮してるんだよ高校デビュー高松。
ハル「男女それぞれでジャンケンとかはどう?」
高松「星乃さんそれ良いね〜!」
ハル「3人いるから、グー、チョキ、パーを決めて、同じ人がペアっていうことにしよう!」
高松「よし!じゃあ畑尾君と三上君、女子から見えないようにするためにこっちきて〜!」
何でわざわざ僕たちがこいつのところに移動しないといけないんだよ。
昨日も男子はみんなこいつの部屋に集まってたし、どんだけ自分のところに人集めたいんだよ。
ジャンケンをして僕はパーになった。
これで女子のパーの人とペアってわけか。
高松「グーの人誰〜!?」
相沢「うちグーだわ。」
ハル「あたし、チョキ〜!冷君は〜?」
冷「パー。」
星乃さんとペアではないようだ。
上野「私パーです。」
あ、パーは上野さんか。
結局僕らの班は、高校デビュー高松と相沢さん、慶太と星乃さん、そして上野さんと僕がペアになった。
岬「ペアが決まったら、それぞれ隣同士になるように移動してくださ〜い。」
隣同士?
一体何が始まるんだよ。
っていうか上野さんってよく見ると可愛い。
今まで星乃さんの隣にいたから気づかなかったけど、中々可愛い。
それに大人しい感じ。
この子にも惚れられると困るから気をつけなければ。
返事は短く、出来るだけ優しさは出さない。
とは言っても可愛い子にはつい優しくなってしまうのが今の僕の弱点。
いや、僕の弱点というか、男の弱点か。
岬「じゃあエンカウンター始めま〜す!まずはペア同士15秒間黙って見つめ合ってくださ〜い。」
はああああ!?!?