バス発車
いよいよ宿泊研修の日がやってきた。
週末は部活もなく家でのんびり過ごしていた。
相変わらずクラスのグループLINEはうるさく、通知件数はいつも三桁。
一体何をそんなに話しているのか。
集合場所はもちろん学校ではあるのだが、教室には行かず外で待機しているバスの中らしい。
バスの席は出席番号順で僕の隣はショウタになる。
おそらくショウタは他の人と話がしたいだろうから席は通路側になる。
僕は話す気が全くないし、ずっと音楽を聴きながら外を眺めていたいから窓側。
お互いの希望が合致して揉めることはないだろう。
2泊分の荷物を持っていつもの時間に家を出た。
妹からは
「お兄ちゃん、いってらっしゃい♡!」
と最高に可愛い言葉をかけてもらった。
この可愛らしい妹がいつかは変わってしまうのだろうか。
今のうちに妹とHなことをしておくべきか?なんて妄想をしながら誰とも会うことなく学校に着いた。
バスにはもうほとんどの人が集まっていた。
岬「三上君おはよう!」
冷「おはようございます先生。」
岬「宿泊研修楽しもうね〜!」
冷「先生やけにはりきってますね。」
岬「そりゃあ、夜に み・か・み・く・ん と…ね?」
何耳元で囁いてるんですか。
しかも最後にウィンク。
めっちゃ興奮するじゃないですか。
夜に先生と?
是非お願いします!
って…何意味わからないことを考えてるんだ僕は。
岬「あ、三上君今ちょっと想像したでしょ?」
冷「いや別にそんなことは…」
岬「冗談よ〜。さあ早くに席に着いて。」
絶対あの先生僕のことをからかってる。
あんなこと言われて想像しない人なんているのか?
ハル「冷君おっはーーー!」
冷「おはようございます。」
鳴「あなたおはよう。」
冷「おはようございます。」
そしてショウタは…
あれ?
冷「ショウタどうしたの?」
なんかショウタの様子がおかしい。
いつもなら元気に僕に挨拶してくるはずが今日は静かで外を眺めている、
ハル「なんかショウタ具合悪いんだって。」
ショウタ「おはよう冷。ごめん俺今朝から具合悪くて、とりあえず今日は窓側で大人しくしてるわ。」
冷「そうか。」
おいおいおいおいおい
ショウタがまさかの体調不良だと!?!?!?
こんなことってあるのか?
いつもバカうるさい奴がこの日に限って大人しい!?
おいおい
はぁ?
え…
ってことは僕が通路側に座らないといけないのか!?
いやいやいや
嘘だろぉ。
ショウタ「俺のことはほっといてみんなで楽しくやってくれ。」
いや、何ちょっとカッコつけて言ってんだよ。
どうするよこれ。
具合悪い以上ショウタには何も言えないし。
ほんとどうしよう。
ハル「冷君なんでずっと立ってるの?座らないの?」
冷「あ、はい座ります。」
もうこうなったら仕方ないよなぁ。
通路挟んで隣に星乃さん。その後ろに宮本さん。
何で君たちも通路側なんだよ。
バスの乗車時間はおよそ3時間。
3時間ずっとこの子たちと話してろってか?
ますます仲良くなってしまうじゃねえか!
岬「では、全員揃ったので出発しまーす!」
バスが出発した。
ショウタは一言も喋らずずっと外を眺めている。
こんなショウタ初めて見た。
そして僕は早速星乃さんに話しかけられた。
ハル「冷君なんかしよう!」
なんかって何よ。
せめて具合的な案をあげてから話しかけろよ。
冷「そう言われても…」
鳴「それなら、三上君に彼の中学時代について話してもらいましょうか。」
ハル「鳴それいいね〜!」
はあああああ!?
いやいや、話さないよ?
何僕のことを探ろうとしてんの?
冷「特に話すことなんてないですけど…」
鳴「そんなわけないじゃない。きっと何かあるはずよ。」
ハル「そうだ冷君!話してよ。」
冷「そう言われても…」
どうしよう。
中学の頃はとにかく色んな女の子と遊んでて、たくさんん二股かけてたなんて言えないし。
鳴「じゃあ、私達から質問していくのはどうかしら?答えたくない質問は答えなくていいことにして。」
ハル「鳴いいね〜!そうしよう!」
鳴「その代わり全部正直に答えること。いいわね?」
また勝手に話進めてるよ。
答えたくない質問を答えなくていいなら、全部答えないんだけど…
まあとりあえず聞いてあげるか。
冷「いいですよ。」
鳴「じゃあ質問1。今まで付き合った人数は?」
冷「6人です。」
嘘じゃない。これは正式に付き合った数だ。
あくまで正式であって、二股とかの人数を合わせると20人ぐらい?あんまり覚えてない。
鳴「質問2。あなた童貞?」
まさかの質問!
宮本さんってそういうことを平気で聞ける人なのか。
ハル「ちょっと鳴、何聞いてんの〜。」
鳴「だって知りたいじゃない?」
冷「いいえ。」
この僕が童貞なわけないだろう。
鳴「質問3。今まで二股をかけたことは?」
あ、やばい。
どうしよう…