先生とドライブ
はい?
渚「だからもう一回付き合ってあげるって言ってんの!」
はあああ!?!?
いやいやいやいやいやいや
完全に誤解されてしまった。
冷「いや、別に付き合いたいとかじゃなくて…」
渚「はぁ?あんたさっき私と一緒が良いって言ったじゃない!」
確かに言った。
いや、言ったけどそれは僕の本心ではなく、パニック状態になって勝手に出てきた言葉であってね。
中学の頃、色んな女の子にそういう事を言ってたからついその癖が出たんだよ。
僕みたいなイケメンに「一緒にいたい」とか言われると女の子はみんなイチコロなのよ。
そういう事なんだよ。
癖なんだよ。
誤解なんだよ。
冷「いや言ったけど、別に付き合いたいとかではない。」
渚「はぁ?何それ?意味分かんないんだけど!」
冷「ごめん。久しぶりに渚と話したから色々と混乱して。」
渚「ふ〜ん。混乱してあんな事言ったんだ。なら私のことは別に好きじゃないってこと?」
冷「そうかもしれない。」
渚「はぁ?はっきりしなさいよ!」
今の僕は可愛い女の子が傷つくようなことは言えない。
そもそも前から可愛い女の子に酷いことを言ったことがない。
もちろん酷い行動はたくさんしてきた。
でも言葉ではいつも女の子が僕に惚れるようなことしか言ってなかった。
おそらくそれが二股や三股の原因なんだろう。
ここで渚にはっきりと「付き合いたくない」と言えば済むことだ。
だけど言えない。
これが言えたら苦労しなくて済むんだろうけど。
冷「今誰とも付き合う気がないんだ。」
渚「何言ってんの?あんたにそんな事が出来るわけないじゃん。」
ストレートだなおい。
確かにまだ高校入学して一週間も経っていないのに色々と女の子との関わりを持ちすぎている気がする。
あ、そういう性的な関わりじゃなくてね。
冷「出来るも何も僕に付き合う気がないんだ。」
渚「まさかあんたがそんな事を思ってたとはね。」
冷「意外でしょ?」
渚「なんかキモい。」
キモいって…
滅多に言われないのに…
冷「キモくて結構。」
渚「はぁ?あんたほんと意味分かんない。もういい。私帰る。」
冷「帰るって僕も同じ方向だけど?」
渚「あ、私、家の事情でこの辺りに引っ越したから。帰りは歩き。」
冷「そうなのか。」
今まで久木駅で注意深くしてた意味はなかったのか…
渚「でも仮に一緒の方向だとしても、あんたとなんか帰りたくないわ!」
はいはい、そうですか。
さっき僕と付き合っていいとか言ってたけどな。
冷「そうかい。」
渚「あんたじゃあね。」
冷「渚バイバイ。」
そして渚は歩いて帰って言った。
とにかく僕がパニック状態になったせいで起きた修羅場的なものは収まった。
あの感じだと僕の中学時代のことをみんなに言いふらすってことなさそうだ。
一緒に登下校することもないし、意外に良い方向にことが運んだかもしれない。
「あの子が三上君の彼女?」
振り返るとそこには担任の岬先生がいた。
冷「あ、先生。いや違いますけど。」
岬「そうなの〜?じゃあやっぱり宮本さんが彼女?」
冷「いや違います。」
岬「そうなの?じゃあ星乃さん?」
冷「いやだから違いますよ。」
先生なのにすごい聞いてくる。
先生ってやっぱり生徒の恋愛事情とか気になるのか?
岬「嘘〜!?じゃあ誰?」
冷「僕彼女いないです。」
岬「またまた〜、三上君絶対いるでしょ〜。」
冷「本当にいないですって。」
岬「じゃあ先生にもチャンスがあるってことだね?」
冷「チャンス?」
岬「先生も宮本さんや星乃さんと三上君を取り合うのよ。どう?いいでしょ?」
まさかの先生も僕狙い!?
冷「何を言ってるんですか?」
岬「嘘、冗談よ〜。」
冷「ですよね。」
岬「三上君家どこ?」
冷「久木ですけど。」
岬「久木か〜、結構遠いね。」
冷「電車で1時間ぐらいですかね。」
岬「じゃあ先生送ってあげるよ。」
冷「え?」
岬「先生も家が久木の方向だからついでに乗っけてあげる。ほら乗って。」
冷「あ、ありがとうございます。」
生徒と先生が一緒に車で帰っていいのか?
教育委員会に知られたらなんか問題になりそうだけど。
でもこの岬先生と一緒に帰るってなんか緊張する。
実は今まで歳上の女性とあまり関わったことがない。もちろん付き合ったこともない。
それだからかすごい緊張する。
それにしても岬先生可愛いなぁ。胸も大きい、なんかエロそうだし最高だ。
そして僕は岬先生の車に乗って学校を後にした。
ーーー車内ーーー
岬「さっきの続きだけど、先生も三上君のこと狙っていいかな?」
冷「え?冗談じゃなかったんですか?」
岬「意外と本気よ。」
やばいやばい。
岬先生との禁断の愛!?
なんか想像するだけで胸が熱くなる。
冷「でも僕生徒ですよ。」
岬「いいのよバレなければ。」
冷「バレなければって…」
おいおい、そういう問題かよ。
でも禁断の愛かぁ。やっぱり興奮するなぁ。
ってか先生まさか彼氏いないのか!?
岬「学校で普通にしてればバレないバレない。」
冷「そうですかね。ってか先生今彼氏いないんですか?」
岬「いないわ。私に寄ってくる男は全員ダメね。みんな髪型やファッションを変にカッコつけて、とにかく気持ち悪いわ。それに私は歳下好きで言い寄ってくる男はみんな歳上。嫌になるわ。」
この人やっぱり学校と今では態度が全然違う。
思ってた通り裏があった。
冷「歳下好きなんですか。」
岬「そうよ。だから高校の先生は私にとってぴったりなわけ。だって男子生徒狙えちゃうじゃん?」
おいおい。この人はそういう理由で教師になったのか?
冷「じゃあ、去年は誰か生徒と付き合ってたんですか?」
岬「いや去年はそんな余裕無かったわ。教師一年目だったから色々と忙しくて。それに三上君みたいな興味ある子は見つけれなかったし。」
冷「先生なんで僕に興味があるんですか?」
岬「三上君の女の子に対する姿勢よ。三上君かっこいいのに全然髪型とかセットしないじゃない?それに女子に話しかけようともしない。いつも三上君が話しかけられる方。」
冷「よく知ってますね。」
岬「それに口調も女の子だけには敬語で口数も少ない。それがちょっと気になってね。」
冷「いつ僕らのこと見てたんですか?」
岬「昼休みとかよ。ほら、私昼休みはいつも教室でお弁当食べてるじゃない?それでいつも見てたんだよ。」
確かに先生はいつも昼休み教室にいた。
けどまさか僕らのことを観察してたとは…
冷「何で教室で食べてるんですか?」
岬「職員室の雰囲気が嫌いだからよ。いい歳した男の先生がすごい話しかけてくるのよ。それが嫌で教室で食べてるわけ。」
冷「そうだったんですか。」
岬「まあ話を戻すと、私はあなたに興味がある。」
冷「それはどうもありがとうございます。」
岬「そして恋人関係になっても良いって思ってる。」
冷「それって告白ですよね?」
岬「まあそうなるかもね。でも今はまだ。これからもっと三上君のことを観察して何で彼女を作ろうとしないのかその理由を見つけたいと思ってるわ。」
なんかこの先生になら簡単に見つけられる気がするんだが…
冷「そうですか。」
岬「それで三上君があの3人からの告白を全て振った時、今度は私が三上君に告白する。これでどう?」
冷「どうって言われても…」
正直、状況があまり理解できてない。
確かにこれから先、あの3人に告白される確率は結構高い。
だけどこの先生は何がしたいんだ?
僕のことをからかってるだけなのか?
岬「何もないようなら決まりだね。それと私が告白したら三上君ちゃんとOKしてくれるよね?」
冷「いや僕彼女作る気ないんでそれはどうかと…」
岬「今はそうかもしれないけど、これからどうなるか分かんないよ?」
冷「まあそうですけど。」
いつであろうと僕は彼女を作る気はないし、女子と関わる気もない。
先生は僕があの3人からの告白を断ることができないと思っているのか?
確かに難しいことではあるが、「誰とも付き合う気がない。」このセリフさえあれば大丈夫だろう。
岬「もうすぐ久木駅に着くけど、三上君の家はどこ?」
冷「いや、久木駅で降ろしてくれて構いません。」
岬「本当に?家まで送るわよ。あ、ついでに三上君のご両親に挨拶しようかしら?」
冷「本当に久木駅で大丈夫ですって。」
岬「そう。分かったわ。」
そして久木駅前に着いた。
冷「送っていただきありがとうございました。」
岬「いいの〜いいの〜。先生三上君と話せて楽しかったし。また一緒にドライブしようね〜。」
冷「ありがとうございました、先生さようなら。」
初めて先生と長く話したけど、悪い人じゃなさそうだ。
確かに表と裏はあったけど、裏の先生の方が僕的には魅力的で良いと思った。
先生と恋人関係かぁ。
なってみたい気もするけど、やっぱり付き合ったら浮気してしまうんだろうなぁ。