今日から高校生
高校入学式当日。ほとんどの新一年生は朝から髪型をセットしたり女子はちょっとしたメイクをする。初日が肝心。中学の頃の自分を隠し新しい自分を見せる。そうこれは有名な「高校デビュー」だ。僕も今日からが戦いだ。いかに女子と接しず、男子とは友達になり、充実した高校生活を送るか。彼女なんていらない。作ってしまうと必ず浮気をしてしまう。そうなると彼女もしくは浮気相手に殺される危険性が出てくる。女子を惚れさせちゃダメだ。とりあえず、いくつか対処法を考えた。まず単純に女子に話しかけられた場合だ。初日から自己紹介してくる奴はいるだろう。僕かっこいいし。その場合は「三上です。よろしく。」これだけ言えばいい。今更ながら僕の名は三上冷だ。色々聞かれても一言で返す。そうすれば愛想無いと思われ寄って来なくなるだろう。他のシチュエーションの対処法も用意した。男女両方同時に話しかけられた時だ。男子に冷たくする理由はない。むしろ友達になりたい。その場合は「ちょっとトイレ」と言い逃げる。これで少なくとも女子はついてくることが出来ない。完璧じゃないか。中学の時のようなハーレム状態はもういらない。特にヤンデレキャラなんていたら怖くて学校になんか行けない。まだそういう人には会ったことないんだけど。まあ頭の中で何回もシュミレーション済みだ。いざ高校へ!
無事電車で1時間かけて高校到着。誰かとぶつかることなく着いた。アニメやドラマでよくある「偶然知らない女の子と道端でぶつかって、結果その子が同じクラスで隣の席、そしてそのうち恋人同士に」的なことになってしまうのではないか内心ヒヤヒヤしていた。ここまでは順調だ。さあいよいよクラスに行く。僕が知ってる限り、同じ中学から来てる人は僕以外に一人だけのようだ。そいつが誰かは分からないが、一人だけで良かった。そいつとさえ同じクラスにならなければ僕の高校設定はいい方向に進んでいる。クラスは全部で8クラス。つまり同じになる確率は8分の1。逆に言えばならない確率は8分の7だ。さあまずクラス名簿を見よう。
「1年2組14番三上冷」
何組かはどうでもいい。ここからの問題は席の場所、周りのクラスメイト、同中の奴がいるかどうかだ。クラスは4階。階段上がるにつれて胸がドキドキしてくる。しかし階段が辛い。完全に運動不足。エレベーターが欲しいです。4階到着。クラスの中に入る前だというのにもう周りの女子からの視線を感じる。すごい感じる。クラスが近付いてくる。そしてクラスの前。まずはクラスの外にある掲示板で席を確認。「何!?席が窓側だと!?」。ハーレム主人公設定じゃねえか。それで前から二番目。どうせなら一番前にしてくれよ。前から二番目だと「目が悪いから席を変えて欲しい」なんて言えないじゃないか!仕方ない。今学期はこれで我慢するしかない。ではいよいよクラスに入るか。クラス内から聞こえてくる声の大きさからしてもう結構集まってるんだな。とりあえず無表情。何も考えず席に座り外を眺めていよう。周りのやつの確認は先生が来てからだ。