イケメンは強い
鳴「これからどこ行くつもり?」
或斗「どうしよっかな〜」
鳴「決めてなかったのね。」
或斗「まあテキトーに歩きながら話そ!」
鳴「私はあまり歩きたくないのだけれど。」
或斗「って言いながらもう歩いてるじゃん!」
鳴「あなたうるさいわね。」
或斗「それにしても鳴ちゃんが一緒に来てくれるなんてね〜」
鳴「別にあなたのためじゃないわ。」
或斗「お!ツンデレ!?」
鳴「私がツンデレキャラに見える?」
或斗「結構可愛いと思うけど? “別にあなたのためじゃないんだからね!” って言ってよ!」
鳴「別にあなたのためじゃないんだからねー」
或斗「いや棒読みすぎ!」
鳴「言ってあげたのだから感謝ぐらいしたらどうかしら。」
或斗「はいはいありがと!」
鳴「どういたしまして。」
或斗「ってか話戻るけど、”別にあなたのためじゃない”ってどういうこと? 僕に興味があって一緒に来てくれたんでしょ?」
鳴「頭がお花畑でおめでたいわね。」
或斗「ん?」
鳴「私は別にあなたに興味はないわ。」
或斗「それは結構傷つくな〜」
鳴「安心して、興味ないだけよ。」
或斗「だからそれが傷つくんだって!!」
鳴「そんなの知らないわ。とにかく今日抜け出したのはあなたのためじゃない。ハルのためよ。」
或斗「ハルちゃん?」
鳴「そうよ。」
或斗「なるほど〜」
鳴「今日知り合ったばかりだけど、あなた察しが良い方でしょ? 後は察してくれると助かるわ。」
或斗「まあなんとなく分かった!」
鳴「じゃあもういいわね。私は帰るわ。」
或斗「え、ちょっと待ってよ!」
鳴「何?」
或斗「なんとなく察しはついたけど、それでもまだ聞きたいことあるって!それに僕はこれから鳴ちゃんとデートしたいんだって!!!」
鳴「用件が多いわねあなた。」
或斗「お願いだって!ぶっちゃけ僕はこれから鳴ちゃんと仲良くなりたいんだからね!」
鳴「遠慮しておくわ。それになぜ私? 正直、興味ないとは言ったけど、あなたのことは前から知っていたわ。三上君と肩を並べるイケメンで女子の中では人気No1男子生徒。三上君と違って社交的なあなたはいつも女子に囲まれ、男子の中にはあなたを嫌う生徒も多い。そんなハーレムな学園生活を送ってるあなたがなぜ私を?」
或斗「そんなの決まってるじゃん!どの女の子よりも鳴ちゃんが気になるからだよ!!!」
鳴「え…」
或斗「だから鳴ちゃんが一番可愛いからだよ!!」
鳴「それはどうも。」
或斗「だからお願い!仲良くして!」
鳴「可愛い子がタイプならハルの方をおすすめするわ。まああの子は三上君しか見ていないようだけど。」
或斗「いや!僕は鳴ちゃんが良い!鳴ちゃんの方が断然可愛いから!」
鳴「あなたよく堂々と言えるわね。」
或斗「だって本当だから!」
鳴「そこまでストレートに言ってくる人、高校に入ってから初めてだわ。」
或斗「初めての男… なんか興奮するなぁ…」
鳴「やっぱ帰るわ。」
或斗「いやごめん!冗談だって!!」
鳴「つまんないわね。」
或斗「鳴ちゃん辛辣だなぁ…」
鳴「そうね。私可愛げないわね。」
或斗「だから可愛いって!」
鳴「あなたぐらいね、そんなに言ってくる人。というかそもそも私は人間関係が酷いから、誰にも何も言われないのだけれど。」
或斗「他の人はどうでもいい。僕は鳴ちゃんが良いんだ。だから仲良くしてほしい。」
鳴「急に本気っぽく言うのね。」
或斗「だって本気だから。」
鳴「なら今日私を楽しませてくれるなら考えてあげるわ。」
或斗「ほんと!?!?!?」
鳴「つまんないと思ったら帰るけど。」
或斗「ありがとう!!!!じゃあついてきて!!」
「ダメよ或斗。」
或斗「え?」
「連れってちゃダメ。」
或斗「えっ…梓!?どうしてここに!?」
梓「友達が或斗と2組の女子がラウワンにいるって聞いて急いで来た。そしてラウワン入ろうと思ったら道で2人を見つけた。」
或斗「え?そうなの?」
梓「うん。それより連れてっちゃダメ。」
或斗「えっ?何で?」
梓「その子がどんな子か知ってる?」
或斗「まあ今はちょっとしか知らないけど、これから知るつもりだよ!」
梓「知らない方がいい。知ってからじゃ遅いから。」
鳴「そういうあなたは私の何を知ってるのかしら?」
梓「あら?全部知ってると思うけど?」
鳴「初対面なのにすごい自信ね。」
梓「初対面?やっぱり私のことは覚えてないのね。」
鳴「ごめんないさね。記憶力が悪くて。」
梓「そういうところも変わってないね、宮ちゃん?」
鳴「えっ…」