表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あえて僕はモテないようにする  作者: 色落りん
107/133

ストーカーとブラコン

数時間前。



鳴「分かったわ。ちょっとあなた、リナちゃん借りて行くから代わりにハルと並んでなさい。ほら行くわよブラコン。」


冷「はい!?」


ハル「えっ!?鳴どういうこと!?」


リナ「ちょ…!離してください…宮本さん!え…ちょっと!」


宮本さんに連れて行かれて、二人はどっかへ行った。

なんだこの展開。


ーーーーー


リナ「痛い…痛いです〜!離してください!」


鳴「ちょっと黙って。」


リナ「お兄ちゃんとタピオカ並んでたんです〜!デート中なんです!」


鳴「・・・」


リナ「ほんと離してください!どこに連れて行く気ですか!」


鳴「いいから黙って。」



リナの手を強く引っ張りながらどこかへ向かってる鳴。

全力で嫌がるリナ。

黙々と強引に引っ張って行く鳴。



リナ「嫌です!本当に離してください!お兄ちゃ…」


鳴「ッチ。うるさい。黙れって言ってるでしょ。いいから付いて来なさい。」



いつもの冷静な鳴ではあるが、きつい口調。

そのせいか急に黙り込むリナ。

軽く半泣き状態。


そして歩いて数分後。



鳴「着いたわよ。」


リナ「ん…?」


鳴「何あなた、泣いてるの?」


リナ「泣いてません〜!…」


鳴「まあどうでもいいわ。さあ入るわよ。」


リナ「ってかここどこですか…?カフェ?」


鳴「そうよ。ほら行くよ。」


また手を強く引っ張る鳴。


リナ「痛い痛い…痛いです!ちゃんと入るので、もう引っ張らないでください!」


鳴「あら、そう?逃げたら殺すわよ。」



カフェに入った二人。

やや空いてる店内。



「えっ、鳴じゃん!」


鳴「久しぶり。」


「何しに来たの?」


鳴「この子とお喋りに。」


「へーそうなんだ。ん?その子は高校の友達?」


鳴「いや、違うわ。」


「確かに、高校生っぽくはないな。ってか鳴、高校で友達出来たー?」


鳴「出来たけど。」


「え?まじ!?鳴に友達!?」


鳴「うるさいわね。」


「いやだってさー、あの鳴に友達が出来るとはねー」


リナ「え、友達いなかったんですか?」


「えーっとね。まあ色々あ…」


鳴「陣は黙って。リナちゃん、そこの席に行くわよ。」


陣「鳴、相変わらず口悪いなー」


リナ「えっ、すごい気にな…」


鳴「ん?何?」


リナ「いや、なんでもないです…」


陣「ちょっと鳴怖いってー、その子怖がってるじゃん。」


鳴「良いの。この子にはこれから色々と言うことあるから。」


陣「ふーん、それでこのカフェに来たってわけか。ってか君大丈夫?」


リナ「はい、大丈夫です…」


陣「本当に?ちょっと泣いてない?」


リナ「泣いてません!大丈夫です!ってか、この女と店員さんってどんな関係なんですか?」


陣「この女… 君もなかなかだね。俺は二見陣。大学3年。鳴の近所に住んでて、鳴のことは小さい時から知ってるかなー」


リナ「そうなんですね。それでさっき言ってたこの女に友達がいな…」


鳴「いいから席に座るわよ。」


リナ「だから痛い…痛い…痛いですー!」


またリナの手を引っ張って連れて行く宮本鳴。


陣「おいおい強引だな…」



席に着いた二人。

鳴はアイスコーヒー、リナはキャラメルラテを頼んだ。

いつも歪み合ってた二人ではあったが、冷抜きで二人きりなるのは初めて。

そのせいか、心の支えであったお兄ちゃんがそばにいないリナはどこか怯えた様子。

多少強がってはいるが、鳴の行動や言動に恐怖心を抱き始めてるのは間違いない。



リナ「それでいきなり連れ出してなんなんですか。早くお兄ちゃんのところに返してください!」


鳴「それは無理だわ。」


リナ「リナとお兄ちゃんはデート中だったんですー!邪魔されるのも意味分かんないですし、何でリナがあなたみたいなストーカー野郎に連れ出されなきゃ行けないのかも謎です!」


鳴「ストーカー野郎でも何でも構わないわ。それよりリナちゃん、あなた三上君が側にいるといないとでは、態度が変わるわね。」


リナ「どういうことですか!」


鳴「あら、自覚ないのね。」


リナ「意味わかんないですけど…」


鳴「なら教えてあげるわ。三上君がいると、あなたは誰が見ても怖いというか、三上君に近づいてくる女を無表情で嫌がり、ひたすらその態度でその女を追い払おうとする。現に私も最初にあなたに会った時は、一発であなたの冷酷な視線に気が付いたわ。それに口調もキツかったし。まあ、うまくは言えないけど初対面の人にする態度ではなかったわね。」


リナ「口調に関しては、あなただけに言われたくないです!」


鳴「それに比べて、リナちゃんを連れ出してから、あなたの態度に驚いたわ。三上君といた時まであったあの冷酷な態度は消えて、一気に子供になったわね。今もそうだけで、少し泣きそうになったりもするし。」


リナ「うるさいです…」


鳴「あら、また泣くの?」


リナ「泣きません!」


鳴「そう。それと、私、さっきからあなたのこと”リナちゃん”って呼んでるけど、それも何も言わなくったわね。最初の頃は、気軽に名前で呼ばないでって言ってたのにね。」


リナ「・・・」


鳴「あらら、もう泣きそうじゃない」


陣「お待たせ〜、アイスコーヒーとキャラメ…え…ちょっと、泣いてるけど?君大丈夫?鳴、何したの。」


鳴「気にしないでいいから。」


陣「いや、でも泣いてるじゃん。鳴が泣かせたのか?」


鳴「いや、私は何も。勝手に泣いてるだけよ。」


陣「いや、勝手に泣かねーだろ。ねえ大丈夫?このお姉ちゃん、口悪いところあるから気持ち分かるよ。」


リナ「大丈夫です…」


鳴「ほら大丈夫って言ってるから、早く陣は向こう行って、邪魔。」


陣「いや、でも…」


客A「すみませ〜ん。」


鳴「ほら、陣呼ばれてるわ。」


陣「ったく。はい!今お伺いしまーす!」

タイミング悪いなおい。



陣が接客に戻り、また二人きりのリナと鳴。

中2の女の子が泣いているにも関わらず、鳴はいつも通りの口調で容赦しない。



鳴「それで話は戻るけど、三上君の前ではヤンデレ気質で三上君がいないとただの泣き虫になるあなた。どうして彼のことがそんなに好きなの?ってか正直言うけど、妹であそこまで兄のこと好きな人なんて見たことないのだけれど。はっきり言わせてもらうのなら、きもい。」


リナ「うるさいです…良いじゃないですか…小さい頃からずっと一緒で、、、リナは他の人と違ってお兄ちゃんと過ごしてきた時間が違うんです!」


鳴「そりゃ家族だから違うに決まってるわ。」


リナ「家族とか関係ないです!リナとお兄ちゃんはもう愛し合ってる仲なんです!」


鳴「それはあなたの勝手な思い込みでしょう。」


リナ「違います!ちゃんとリナに”好き”って言ってくれます!」


鳴「そう。」

まあ、前も三上君の部屋に行った時に、この子が来て色々大変だったから、私が気を利かせて彼に”好き”って言わせて場をおさめるようなことをしたし。その時の彼も超棒読みの何の感情のこもってない”好きだよ”を言ってたから、まあこの子が言ってる”好き”はこれのことなんでしょうけど。普通の中2の女の子は気づけるはずなんだけど…

この子は精神年齢が低いというか…


リナ「だからお兄ちゃんはリナのものなので、早くお兄ちゃんのところへ返してください!」


鳴「まだ無理だわ。なら、この先もあなたは同級生の子を好きになることはなく、ずっと彼のこと好きでいるということかしら?」


リナ「もちろんです!お兄ちゃん以外考えられません!」


鳴「じゃあ結婚も?」


リナ「当たり前です!」


鳴「あのね。あなたの頭が幼稚だから知らないと思うけど、兄妹で結婚は無理。血が繋がっていると、遺伝子的な問題が起きるから、法律でそもそも禁止なの。だからいくら彼を愛していようともあなたに結婚は無理よ。」


リナ「それぐらいリナでも知ってます。バカにしないでください。」


鳴「ならあな…」


リナ「けどリナたちは大丈夫です。」


鳴「えっ、」


リナ「お兄ちゃんから聞かされてないんですね、リナたちは血の繋がってない義理の兄妹ってことを。」


鳴「えっ…」

嘘でしょ。この子と三上君が義理の兄妹…

まさか…


リナ「嘘じゃないですよ。」


鳴「別に疑ってはないわ…ちょっと驚いただけよ。


リナ「だからあなたが言う遺伝子上の問題とかはないです!」


確かにそうね…

予定が狂ったわ。今日でこの子に兄妹はどんなに好きでも最終的に結ばれることはないっていう現実突きつけて、三上君を諦めさせるつもりだったけど、どうやら別の方法を取るしかないみたいね。

鳴「そこは理解したわ。じゃあ聞くけど三上君に彼女が出来たら、あなたどうするわけ?」


リナ「そもそもそんなことあるわけないです!現にお兄ちゃんはあんなにカッコイイのに、今まで誰とも付き合ってきてませんから。リナを愛してる証拠です!」


鳴「あなたそれ本気で言ってんの?」


リナ「どういう意味ですか?本気も何も一緒に住んでるからリナのことどれくらい愛してるのかとか全部分かります!」


鳴「あなたこれ以上黒歴史みたいな発言残さない方が良いわ。特に学校では…」

もう遅いかもしれないけど…


リナ「さっきから何言ってるんですか?会話になりませんね。」


鳴「気にしないで。ちなみに彼が中学の時、彼の友達は家に来てた?」


リナ「来てましたよ。けどもちろん男の子だけです。」


鳴「男のだけ?一人も女の子いなかったわけ?」


リナ「いません!お兄ちゃんがリナ以外の女の子と遊ぶわけないです!」


そんなはずはないわ。

現に、安藤さんとは恋人関係だったわけだし、江藤さんという中学の同級生というのも存在している。

宿泊学習のバスの中で聞いた時、今まで付き合った人数は6人って答えてた。

嘘かもしれないけど。

でも…つまり…

鳴「あなたは放課後に友達とかと遊んでたりしたの?ってか友達いた?」


リナ「失礼ですね!たくさんいましたし、遊んでました!誰かさんみたくぼっちじゃないですよ〜」


鳴「は?」


リナ「いやっ…何でもないです…」


この子も頻繁に遊んでたとなると、流石のこの子でも三上君に彼女がいたかどうか知るのは難しい。

それにこの子が遊びに出かけてたら、誰が家に来た何て分かるはずもない。

あの慎重な三上君なら尚更。

となると、この子は本当に何も知らないお兄ちゃんが大好きな中学2年生の女の子。

こんな黒歴史になる発言をしまくるブラコン野郎に育ててしまった家族や三上君もどうかとは思うが、私がもうお終いにするわ。

泣かせてでも目を覚まさせる。

これ以上放って置いてもハルの邪魔になるだけ。

上手いこと利用出来れば…

鳴「あなた。」


リナ「何ですか。」


鳴「あなたの大好きでたまらないお兄ちゃん。あなたが家にいない間に他の女とセックスしてるわよ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ