タピオカに並ぶ
リナ「お兄ちゃん!プリクラ待ち受けにしてよ!」
冷「えっ、待ち受けはちょっと…」
リナ「良いじゃん!リナはもうしたよ!」
冷「ははは…」
絶対しないけど。
ってかそれよりさっきから感じる周りの女の子からの視線。
分かるよ、女の子たち。
僕がイケメンで思わず視線がこっちに来てしまうことも。
仕方ないことだ。
僕がイケメンだからね。
例えば、そこの両替機の前にいる女の子3人組の一人。
さっきから僕のことを気になっているようだ。
そんな君もここからでも可愛いって分かるし、今すぐにでもLINE聞いて明日ぐらいに僕の部屋に連れ込みたい。
なんてことを考えてしまうと、無意識に女の子に話しかけてしまいそうになるからやめておこう。
それに今日は妹のリナと一緒にいる。
女の子に話しかけられたら、必ずあの怖いモードにスイッチが切り替わり、僕は女の子と話すことすら許されないかもしれない。
リナ「お兄ちゃん!次タピオカ!」
冷「タピオカ?」
リナ「うん!タピオカ飲みたい!」
冷「最近流行ってるもんな。」
リナ「2時間並ぶけど、良い?」
冷「え?2時間!?」
リナ「だって人気のお店だもん!だからリナ絶対飲みたい!」
おいおいおいおい
タピオカってそんなに並んでまで飲みたいレアドリンクなのか?
最近インスタで流行っているらしいが、それでも2時間って…
しかも並ぶとしたら店の前だろ?
おいおいおいおい
絶対誰かと会ってしまうパターンだろ。
しかも2時間並ぶということは列の前後の人も2時間ずっと一緒にいるということ。
つまり前後にいる女の子は確実に僕に惚れてしまい、その間視線が僕に来るということ。
そしてもしその女の子が可愛かったら、僕はうっかり声をかけないようにしなければならないということ。
結果何が言いたいかというと、2時間ずっと気を引き締めなければならないということだ。
はぁ…
でも仕方ない。
妹のデートの誘いを何かしらの口実をつけて断ることが出来なかった僕のせいだ。
妹について行き、2時間並ぶというタピオカ超人気店にやって来た。
リナ)お兄ちゃん、ここだよ!」
冷「人いっぱいいるね。」
リナ「ほらお兄ちゃん並ぶよ!」
凄まじい長蛇の列…
しかも場所はまさかの駅前広場の横。
広場の反対側にさっき行ったマックがある。
おいおいおいおい
なんでこんなめっちゃ知り合いに会ってしまいそうな所にあるんだよ。
なんならバイト終わりの朱里にまた会うぞこれ。
何時に終わるかは知らないけど。
リナ「お兄ちゃん!リナこれ飲むんだ〜!」
インスタに載ってる写真を見せて来た。
この店のタピオカの写真。
前に並んでいる女子高生もインスタの写真を見せ合いっこしている。
やはりインスタは流行りか。
もちろん僕はインスタなんかやっていない。
でも一応アカウントはある。
前に宮本さんにインスタをやるよう言われたからな。
まあアプリ入れただけで全く使ってはないけど。
ーーーーー
ハル「鳴〜、本当に冷君探すの〜?」
鳴「当たり前よ。彼女作る気ないとか言ってるのに他の女とデートとか最低だわ。とりあえずどんな女か知る必要があるわね。」
ハル「でもせっかくのデートを邪魔しちゃ冷君に悪いよ〜」
鳴「ハルは気にならないの?」
ハル「別に…気にならない…よ…」
鳴「はぁ。そんな隠さなくても良いのに。三上君のこと好きなんでしょ?」
ハル「だから冷君はそんなんじゃないって〜」
鳴「はぁもうこれだからハルは… 良いから探すわよ。」
ハル「でも見つかるかな〜?お店の中とかにいたら探すの大変だよ?」
鳴「確かにそうね。どれかに絞って探すしかないわね。ハルはこの辺りだったらどの店に行きたい?」
ハル「う〜ん?」
鳴「あ、男とデートで行くならの話よ。」
ハル「えっ!?デート!?」
鳴「そうよ。ほら三上君とデートするならどこ行きたい?」
ハル「そんなこと急に言われても…」
鳴「私は男とデートなんてしたことないからどこ探せば良いか分からないわ。だからハル教えて。」
ハル「えっ!?鳴もないの?」
鳴「冗談よ。ってかやっぱハル、デート経験ないのね。」
ハル「実はない…だからあたしには…」
鳴「なくたって良いじゃない。これから三上君とデートするんだし。」
ハル「だから鳴〜、それは違うって〜」
鳴「冗談よ。じゃあ女友達とならどこ行く?今まで行ったことある店でも良いわ。」
ハル「う〜ん?、、、あ!駅前の広場の横にあるタピオカ屋さんは行ったことあるよ!今、あそこ超人気なんだって!」
鳴「タピオカね…」
ハル「でも今は2時間ぐらい並ぶって聞いたから店の中をチェックするのは難しいかも…」
鳴「良いわ。とりあえずそこに行ってみましょ。2時間ならワンチャン並んでる可能性もあるし。」
ーーーーー
もうそろ並んでから1時間が経過する。
やっと半分ってところか。
今のところ特に問題はない。
前にいる女子高生はずっとインスタに夢中で僕の存在に気づいていない。
後ろに並んでいるのは大学生の男二人。
大学生にもなって男二人でタピオカって…
なんだこいつら。
まあ、そんなことはどうでもいい。
あと約1時間。
このまま何も起き…
「あ!冷君いた!」
えっ、
あ、この声って…