モテちゃダメなんだ
僕は人より少しモテる傾向にある。それは中学の時に分かった。学祭では何人かの女の子から一緒にまわらないかと誘われ、球技大会ではシュートを決める度に歓声があがり、クリスマスではデートの誘いがたくさん、バレンタインでは下駄箱の中にチョコが詰まっていた。人より「少しモテる」と言ったが、嘘だ。めちゃくちゃモテた。日々感じる女の子からの視線、影で言われてるだろう男子からの嫉妬という名の悪口。とは言ってもちゃんと男友達はいたし、男子から省かれるという事はなかった。このまま高校でも青春を思う存分満喫するはずだった。友達に勧められたあれを見るまでは。
中3の秋。友達に「これ面白いから見てよ!」と言われ勧められたのがとある恋愛もののアニメだった。当時、全くアニメに興味のなかった僕は途中で飽きるだろうなんて思いながら1話を見始めた。ただの学園恋愛もの。なんて思ってたのが間違いだった。途中から話が三角関係になり、雰囲気は一変し、最終回でまさかの主人公がヒロインに刺し殺されるというエンディング。そう!これはあの有名な某アニメ「Sc○○○○ D○○s」だった。5話ぐらいから主人公と自分を重ね合わせてしまった僕は最終回で恐怖を感じた。モテすぎたら殺される!それから僕はあらゆる恋愛そしてハーレムアニメを見まくった。これからの人生殺されないためにそして有意義に高校生活を送るために僕はある答えを見つけた。それは某アニメ「俺〇〇ル」の主人公のようにクラスで一人になり、極力人と接しずに過ごす。だが彼も結局周りに2人のヒロインが登場し、しまいには「本物が欲しい」と抜かしやがった。それじゃバットエンドに繋がる可能性が出てしまう。最終的に誰かを選ばなければならないからだ。
ハーレム主人公にありがちな設定はこうだ。かっこいい、優しい、クラスの席が後ろまたは窓側にある、変な部活動に参加してるもしくは帰宅部、妹または幼馴染がいる。つまりこの設定に合わなければ良いという事だ。顔は生まれつきカッコいいから仕方ないとして、優しさは単に優しくしなければいい。クラスの席は先生に前にしてもらえるように頼み、部活はベタにサッカー部。もし女子マネージャーがいるなら厄介なのでその場合は違う部活動にしよう。ここまでは問題はない。だが、どうしても変えられない問題が、それは2つ下に妹という存在がいることだ。しかもこれまた可愛い。本当に可愛い。高校では恋愛禁止の予定でそこから生まれる欲求不満で妹に手を出してしまいそうだ。また妹は僕を「お兄ちゃん♡」と呼んでくる。さらに実は血の繋がってない義理の妹。どんだけ完璧な妹設定なんだ!僕に彼女が出来ると嫉妬するタイプなのも事実。某アニメで妹に恋をして他の可愛いヒロインを振った主人公のことをもちろん僕は知っている。そうならないためにも妹にどう接するか、高校生活の中で重要な鍵となりそうだ。ここまで警戒すると「一層の事男子校行けば?」と思う人もいるだろう。はっきり言おう。男子校は嫌いだ。イメージ的にあそこで3年間過ごしてしまうと確実に同性からモテてしまう。共学に行っても女子とは話す予定はないが、眺めてはいたいしパンチラとかも期待したい。接しなければいいのである。
高校は地元から遠くてなおかつ家から通えるところを選んだ。中学の同級生が同じ高校にいると厄介だからである。アニメを見てからはクリスマスのデートは全て断り、バレンタインのチョコも全て捨て、告白も全て振った。僕は殺されないためにモテない道を選ぶ!