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ア イ の か た ち
どうしてこれを
愛だとわかるのだろう
どうしていつまでも
きみはぼくのそばにいるのだろう
水たまりに幾度となく溶けていく雨粒を
眺めながらきみはぼくに言った
「 恋なんかじゃないの
捨てられたってかまわない
あなたがどんな罪を犯したとしても
例え世界中から嫌われようとも
わたしは変わらずここにいるのよ
あなたのそばにいる。
それだけ。
例えあなたの愛する人が
他の誰かでも ね 。」
きみはそして
少しだけ雨に濡れたぼくに
じぶんの傘を差し出した
今まで幾つもの恋をした
その度に数え切れないほど
いつでもそばにいてくれた
きみのことを傷つけた
それでもきみはいつも笑っている
何もなかったような顔をして
或いは すべてを見据えた顔をして
終わらない 悲劇みたいだ
報われない愛の行方は
きっときみだけがわかってる
降り頻る雨の中で
差し出してくれた傘を
今度はきみの頭上に運んで
ぼくは 初めて
きみに言った
「愛しているよ」と
きみは 初めて
涙を流して
わたしには負けるわ、と 笑った。
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