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貴女を知る旅(9)



時間を下さい







雪乃静視点




どうして、何故、よりにもよって眼鏡を掛けた脳筋と一緒なんだろう。





死んだ目を擦りながら、俺は隣で死んだ様に眠っている副会長さまを見る。





そもそも、さっきから蒸し暑い。

当たり前か、だって燃えてるもの





木々が、いや、山全体が真っ赤に燃えている





ああ、この感じ、懐かしい





爺さんと婆さんと初めて会った時も、こんな感じだったな




「……会い、た、い…なぁ。」





それが叶わないと知っていながら、夢を見る。

あの時知ってしまった温もりに、今も尚依存している。





「何を突っ立ってるんです?静…」






そう言いながら少し寝ぼけた様な顔をして俺を見る副会長さま、もとい眼鏡を掛けた脳筋





副会長というイメージに加え副会長っぽい眼鏡を掛けているせいで此奴の脳筋具合が雲隠れしているが、俺は知っている。





知っているというより被害者と言える





まだ、生徒会メンバーと馴染めていない頃

それこそ親衛隊が続々と結成し始めていた頃





副会長さまの親衛隊が俺の親衛隊の子に危害を加えた。理由は俺の親衛隊の子が副会長さまの悪口を言っていたとか何とかで





その時の潤滑油として、俺と副会長さまが呼ばれた。中には其々の親衛隊が関ヶ原の戦いの様に分かれていた。





あの頃は「副会長さまは副会長さまなんだろうな。」という副会長のイメージだったから、この場も副会長らしく丸く収めてくれるだろうと信じていた。






今思えば、それが間違いだった。







副会長さまは危害を加えた副会長さまの親衛隊の子と、悪口を言っていたらしい俺の親衛隊の子の頭を鷲掴み、それはそれは痛そうな音を奏でた。





あの時は、本当に口をあんぐりしてしまった。





だが、その後副会長さまがおっしゃった言葉で更に顎が外れそうになった。





「これで仲直りしましょうね。」





それ以来、俺は副会長さまの事を頭の中で脳筋と呼び始めた。






あの後も、副会長さまの脳筋具合は発揮した。




ある時は、生徒会長の座を狙った妖を目潰しで黙らせ




ある時は、自分の座を狙う妖を目潰しで沈ませ




ある時は、元議長である咒が風紀委員長の婚約者を寝取ってあっさり捨てた。婚約者は激怒した。婚約者は咒を刺殺しようとした。副会長さまは婚約者を目潰しした。





あまりにも目玉を狙った犯行に俺は副会長さまに聞いてみた。






ーーーどうして、目玉を潰すの?





すると、副会長さまはこうおっしゃった。





ーーー特に、理由はありませんが





大事な事なのでもう一度





ーーー特に、理由はありませんが





続きもある





ーーー強いて言うなら、目が醒めるかなと





その時から、俺は副会長さまの事を心の中で眼鏡を掛けた脳筋と叫び始めた。





だが、俺が被害を被った事件はそれらじゃない。





とある放課後、俺と副会長さまは図書室で必要な資料を取りに行った時のこと

静かな時の流れに逆らうように、副会長さまは静寂を破った。





「雪女って、醜女はいないんですか?」



「……え?」





あの時は、唐突に放たれた質問の矢をモロに当たった感じだった。




そもそも何故、そんな質問をしたのかも未だに分からない。




そもそも、雪女には醜女しかいない。




そんな事も知らないのか、この眼鏡を掛けた脳筋は…と、心の中で呟いた。





が、それと同時に思った。





ーーーそもそも、雪女が醜女である事を…どの程度のモノが知っているのだろうか?





俺は、自分で世間知らずだという自覚はある。

雪山生活に慣れきっていたし、この学園に入学したのだって黒乃から「受けてみませんか?」と言われたから受けて合格したからだ。





世間知らずな俺は知らなかった。




ーーー龍の一族も世間知らずだという事を







「雪女、は…雪化粧って、い、う…能力…が、あって……」



「雪化粧?」



「あ、あの…仮面、的な……」



「仮面?……仮面ですか。」



「あ、けど……」





ーーー俺はしていない




と言うよりも先に、副会長さまは





「つまり、貴方のその顔も仮面ですか?」





と言って、俺の顔面の皮を剥がそうとした。






あの悲劇を俺は顔面剥がし事件と名称した。







「それにしても、蒸し暑いですね。」





「溶けていませんか?」と俺を気にかける言葉を掛けて下さるが、俺にとっては副会長さまと過去に飛ばされた時点で溶けて消えて無くなりたい。





「なんとかして山を降りたいですね。」



「け、ど…過去、を見せて、るのは…妖樹だ、か…ら。」





「山を降りるのは得策じゃない。」と続きを言おうとしたら、それを察したのか副会長さまは少し考える仕草を見せ








妖樹を一本丸ごと、へし折った。









「一本あれば1時間は保つでしょう。」














至急、会長求ム








次回、久しぶりにお狂ちゃんを出したい




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