表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/101

貴女を知る旅(7)



今年のアニメは豊作でしたね

もうすぐ来年ですよー







修道院昭道視点





人であるイインチョ……とは、どういう意味だろうか。





痛む頭と回らない思考の中、それでも咒の言葉を必死に噛み砕こうとする。だが俺の事など放っておくかのように咒は話始める。





「イインチョって、どう見ても不幸体質っスよね。」



「非常に腹が立つ言い方だな、……その通りだが。」



「幸福体質と不幸体質を見分ける事ぐらい、俺たち呪術を扱う者にはちょちょいのちょいっス。不幸体質の人間はカモみたいなもんだし。」





血がこびり付いた目のせいで視界が侵される。咒が今、どんな表情をしているか分からない。





「お彼岸太夫って諸説ありまくりの本しかないんっスけど、俺的に有力な……文献があるっス。」



「あの、胡散臭い本たちの中で……?」





俺は人並み以上にはお彼岸太夫について調べていたつもりだ。黒乃が兄と過ごした時間とお彼岸太夫の記憶の一部…お彼岸太夫の顔を俺から奪ったが、それと同時に、失っていた6歳以前の……主にお彼岸太夫と過ごした記憶が蘇った。だが、どうしても兄と過ごした時間も蘇らないかと思い、俺はお彼岸太夫について調べ兄との記憶を引き出そうとした。






……失敗に終わったが





何かが、邪魔をするんだ。頭の中にある筈の記憶を引っ張り出そうとすればするほど、「思い出すな。」と言いたげに頭がぐらぐらする。





あの懐かしい声が、聞こえる。





「その文献には、お彼岸太夫に狂う人間の特徴とその根拠が記されていたっス。その特徴というのが、声を聞くこと、顔を見ること……不幸体質であること。」



「……それが、どうした。」



「イインチョ、頭が回転してないっスねー。……俺のせいだけど。」



「半分はな。残り半分は……俺の可笑しな言動だろう?」





あの時、頭の回路が妙に繋がったのだ。杏ちゃんBが疫病神と接点がある事を知った瞬間、何故か





ーーー杏ちゃんAが、お彼岸太夫だ





それが、頭からこびり付いて離れない。

頭からの出血は咒の遅すぎる応急処置で止まったが、血の量が足りず頭が働かない。だがそれによって俺は今、自我を保っている。……嫌なことに





「まずイインチョ、その可笑しな言動、完全にお彼岸太夫に狂った人間の特徴っスよ。」



「狂った人間を、知っているのか?」



「……知ってるっスよ。」



「そ、うか…。」





これ以上、聞いてはいけない気がした。

此奴は軽い割に地雷が多い。大らかな振りをして地雷を踏み抜かれたら静かにぶちギレる。

だから慎重に、慎重に相手をしなければならない……選択肢によっては即bad endのヤンデレゲームのような奴だな。





「イインチョ、お彼岸太夫に狂った人間が元に戻った前例は、今まで1度も無いっス。」



「……俺は。」



「イインチョ、何か心当たりは無いっスか?お彼岸太夫に昔あったのなら、イインチョはとっくのとう狂って死んでる筈っス。」





そんな事言われても分かるものか。

今は何も考えたくない、考えたら…考えてしまったら








また、狂ってしまう気がする。








「………イインチョ?」



「すま、ない、眠く、て。」



「え、それ雪山で言う寝たら死ぬパターンじゃないっスか?」



「俺が、死んだ、ら…………とりあえずお前を呪い殺す。」


「え、イインチョ、俺、呪術師っスよ?いや、イインチョならやりえる。あ、てかちょっと待って!話はまだ終わってな………」





煩い声の中、本当に死ぬかもなと軽く考えながら目を瞑る。







…お彼岸太夫の顔は、杏ちゃんBのような顔だっただろうか。












だが、それだけは思い出すなと言いたげに俺の意識は深い闇におちた。











次回はとりあえす桜ちゃん視点ですね。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ