世界は少女を(3)
説明力の無さに打ちひしがられる。
日本語の練習をしなければ。
華宮桜視点
「狂、わな……い?」
「正確に言うなら、てめぇはお彼岸太夫には絶対に狂わない唯一無二の存在。」
「あなたは……かみにあいされていますから。」
「神………。」
なんか、訳が分からなくなってきた。そんな急に自分のスキルが出現してきても上手く対処なんて、出来る訳がない。
そもそも、急に神とか言われましてもですね。
「ま、お彼岸太夫に狂わないってのは、そんなすげぇ事じゃねーぞ。自惚れ女。」
「え、そうなの?」
「ふふ、おひがんたゆうそのものにくるうのはごくいちぶのにんげん、おひがんたゆうにくるったものによってふこうになるものはだいたすう。」
「え、えーと、つ、つまり……?」
「単細胞女というよりも単細胞だな。」
悔しいけど、何も言い返せない、この話を聞いて生徒会の皆は分かるんだろうか。想像してみたが理解しそうだ、なんか悔しい。
「例えばそう、分かりやすく言うなら日和見感染だ。単細胞。」
どうやら私のあだ名は単細胞に決定したようだ。
「ひよりみかんせん?」
聞いたことのない単語に思わず首をかしげると、亜嵐さんはうわっ、こいつ馬鹿だなと言った顔をあからさまに見せる。
「ひ、ひよりみかんせんって何ですかね?気分気ままみたいな…感じです、か?」
それらしい事を言ったら天鏡さんがニコニコと笑っていたが、多分違うのだろう。私の隣にいる亜嵐さんの顔が変わっていない、むしろ悪化している。
「ひよりみかんせんとは、めんえきりょくのない………ふつうのかたならかんせんしないかんせんしょうでも、からだのよわいかたはかんせんしてしまう、といういみです。」
「な、なるほど。」
と、口走ってしまったが、理解しきれていない。天鏡さんが凄く分かりやすく簡潔にまとめて下さったのに分からない。
「お彼岸太夫に狂うのは不幸体質の人間だ。幸福体質の人間は不幸体質に陥るだけだが、不幸体質の人間はもう陥る場所はない。だから……」
「……くるってしまう。」
何その怖い三段階、幸福体質の人間でも散々な結果なのに不幸体質の人たちは狂うとか余りにも可哀想だ。
「あ、だから日和見感染!」
「やっと分かったか単細胞。」
やれやれと言った顔で此方を見る亜嵐さん
「……あの、あのですね亜嵐さん。」
「あ?」
「単細胞というあだ名をどうにかして欲しく……」
「じゃあゾウリムシ。」
「単細胞で良いです。」
「なかがよいのですねぇ。」
天鏡さんは相変わらずふよふよしていた。
あの尾びれみたいなの触りたいな。
「けど幸福体質から不幸体質に変換すのは日和見感染って言うのかな…?」
「あくまで例えだ。んな細かいとこまで気にすんじゃねぇよ、単細胞のくせに。」
「イ、イエッサー。」
「……けれどね、さっきもいったとおり、おひがんたゆうによってこうふくたいしつからふこうたいしつになったものもいれば、くるってしまったものによってふこうになったもの、そうじてみればかんせんりょくはびじゃくでもひがいはおおきいのです。」
「それに加えてあの変態野郎の娯楽やら厄介な奴等がチョロチョロ動き回っているせいで見事、お彼岸太夫の文献が出来上がった。」
「あの、質問よろしいでしょうか?」
「却下。」
「そこを何とか!!」
「面倒くせぇ、さっきので理解出来ないとかよっぽど馬鹿だぞ。あ、単細胞だからか?」
「まだ解明されていない事がある!」
「もうかたりおえたとおもっていたのですが。」
不思議そうに私を見る天鏡さんだが、まだ腑に落ちない事がある。
「私が神に愛されるうんぬんについての説明をおねがいしたく。」
その一言に天鏡さんも亜嵐さんも互いの目を見合わせた。あの表情は多分忘れてた感じだ、絶対そうだ。
「……それは、ですね
ーーー貴方が……。」
小説を書く時間が欲しい。
切実に欲しい。