世界は少女を(2)
作者が出したかったキャラがようやく……!!
華宮桜視点
目の前に広がっていたのは、いや、目の前に佇んでいた存在はあまりにも神々してくて
ーーーあまりにも、不気味だった。
背後を振り返ってみたが、さっき開けた筈のドアは無く、洞穴のような景色が見えるだけだった。唯一の救いは隣にちゃんと少年がいた事くらいだ。いや、この子が私を此処に連れてきたんだけどね。
「あなたが、かみやさくらさんですか?」
優しい声色とおっとりとした雰囲気、真っ白な瞳が私を見定める。
「ようこそ、じんるいはっしょうのちへ。かんげいいたします。」
「は、はい、歓迎されます。」
思わず変な日本語になるけど、気にしないで欲しい。
「わたくしはてんきょう、よんだいこようがいちよう、みなみのしゅごしん、このとちではてんにょなどとあがめられております。」
「確かに、全体的に天女です。」
「てめぇを天女とか言う奴頭イかれてるだろ。」
「ちょっ、失礼な事言っちゃダメでしょ!……あれ、え、ちょ、待って待って、四大古妖?」
首が油を差さないと変な音が出るロボットのように動かない。
「わたくしもそうですが、あなたのとなりのものは、わたくしとおなじ、よんだいこようがいちよう、きたのはかいしん、あらんですよ。」
「ふぁっ!?」
まさかの四大古妖が2妖もいて変な声が出てしまった。え、こんな小さい子が?このふにふにの柔らかいマショマロのような手を持った子が?
「え、待って待って、え、あれ、えーと、活発的なのが死神さんで危険なのが疫病神で、あとの方々は滅多な事がなかったら生息域から出ないんじゃ…」
「そこまでの情報を持っていながら未だ分かんねぇのかよ。うましか女。」
「うましかぁ!?」
「ふふふ、なかがよろしくて。…わたくしのせいそくいきはこのとちですが、よんだいこようがにようもそろった、ということは
ーーーめったなことが、おこりうるよちょう。」
静かに木霊する声は、洞窟の中だから…だろうか。
その言葉に、鳥肌が立った。
「……てめぇに聖銃を渡した男が、全ての元凶だ。」
「聖銃を……渡した。
ーーー黒乃、の…こと?」
「……あのおかたは、きんせんにふれようとしているのです。ひがしのやくびょうがみとおそれられ、うとまれ、きらわれつづけた…かわいそうなばけものの。」
「………。」
きんせん…琴線の事なの?少年…亜蘭さんは俯き、年相応の子供のようだ。
「黒乃は…黒乃は何をしてしまったん、ですか?」
「あの変態野郎の琴線なんざ分かり切ってるだろうがタコ女。……お彼岸太夫だ。」
「あのさとりのおとしごは、おひがんたゆうをあやめようとしている、…おのれのものとするために。」
「……お彼岸太夫を己のものとするために殺そうとする奴は腐るほどいた。」
「…ですが、ほうほうがわるかった。…たましいまでこわしてしまえば、おひがんたゆうはさいせいできない。」
「魂……?」
魂を壊すって、どういう事だろうか。そもそも魂を壊すなんて事……
「そもそも、俺たちは落とし子が3つの駒を使ってお彼岸太夫を殺そうとしてんのは知っていたし、傍観に徹するつもりだった。」
情報量が多すぎる。疫病神の琴線はお彼岸太夫で、そのお彼岸太夫を自分のものにするために黒乃は3つの駒を利用して、それをこの妖たちは知っていて…
「ゆきおんなのまつえいはとうし、こおらせることによってうつくしいすがたをたもてます。」
「陰陽師は浄化、お彼岸太夫の術を解こうとしたんだろうな。」
「そして、あなたがえらばれたのは……ゆいいつ、あなたがおひがんたゆうに
ーーーくるわないから。」
次回はイインチョ視点です。知ってますね、はい。