貴女を知る旅
急展開って言葉が好きです
書きやすいからです←
修道院昭道視点
「……………で?」
「なんだ、クソ。」
「俺がクソならてめぇはゴミ屑だな。」
「はっ、俺がゴミ屑ならお前はゴミカスだな。」
「俺がゴミカスならてめぇはチ◯カスだな。」
「俺が◯ンカスならお前は「汚い話はやめて下さい。」」
久しぶりと言えば久しぶりの学園外だが此奴らと一緒だとプラマイマイナスの気分だ。マイナスしかない、プラスがない、咒がいてもプラスにならない。そもそも咒にプラス要素がない。
黒妖学園の外へとエスケープした俺と咒、そして生徒会は当てもないまま、とにかく学園から離れるため、前へ前へと歩いていた。
「…そもそも、貴方は言いましたよね?説明は後ですると。」
「言ったな。」
「今が、その後ではないのでしょうか?」
そう嫌味ったらしく嗤う蒼蛇鱗を見たら、さっきの件もあり、なんとなくホッとした。だが腹立つ。
「その前に、式部はどうした?」
俺は純粋な疑問をぶつける。俺は生徒会を呼べと蒼蛇鱗に言ったが、それは生徒会顧問である式部嵐も含んでいた……筈だ。
少なくとも蒼蛇鱗は頭が良い、それ位分かると踏んでいたのだが。
「せんせーはねー」
「狐だったんだー」
「狸だよー」
「「どっちも同じかー」」
双子の言葉に俺は目を見開く。
暗号化にしては大雑把だが、双子の知能指数を考えれば良くやった方だ。
…狐と狸を連想させる言葉など高が知れている。
「その話は後で話す。」
紅海神羅は此方を睨みながら「早く説明しろ。」アピールをしてくる。
その前にお前が説明しろクソ野郎、と心の中で暴言を吐いたつもりが声に出ていたようだ。
「そんな事言って、うちのイインチョみたいに後で後で詐欺するんっしよー!」
「黙れ半身マグナム。」
「それ上半身マグナムにも捉えられるっスよイインチョ。」
「いいじゃないか、カッコいいぞ?」
心にも無い言葉を返しながら、俺はどこから話すか迷う。それ以前に、お彼岸太夫の事を此奴らに言うか言わないかも問題だ。
「ところで、静が静かだねー」
「それダジャレ?」
「ダジャレかもー」
「「ダジャレだー!」」
「あんたら本当にマイペースっすね。」
だが、雪乃が静かなのは確かだ。
……その理由を知っているのは俺と咒、蒼蛇鱗だけだが。
……やっぱり駄洒落だな、文面的にも駄洒落だ。
いや、駄洒落よりかは洒落てないか?
「………で?」
此奴も普通に短気だな、と思いつつも
放っておく訳にもいかない。
……お彼岸太夫の話は確証が出てきたら話そう。
「簡潔にまとめるなら、理事長が勘付かれた。」
「…………何を?とは言いませんよ。そこまで言われたら流石に分かります。」
他の面々も察しがついたのだろう。
理事長に勘付かれた、つまり
理事長に学園内の秘密を暴こうとしているのがバレた、という事だ。
「……貴方が保健室の前で話していた男と関係が?」
「気付いてたのか。」
「五月の蝉のようでしたよ。」
此奴は皮肉を言わなければ死ぬ病を患っているのだろうか。
「だが、丁度良かったな。」
「そだねー。」
「「ねー!」」
「……?」
「実はね実はね。」
「なんとねなんとね。」
「「学園内の先生みんなアウトー!」」
「………………は?」
ーーーーーー
生徒会どもの話はこうだった。
生徒会が調べていたのは学園内にいる内通者だった。この学園で何をしようとしているのかは定かではないが、良からぬことをしているのは確かだ。
消えた生徒の行方も定かではない。
だが、生きている確率は限りなくゼロだ。
そして、俺たちは上の者の仕業
位の高い妖の仕業だと踏んでいる。
ならば
ーーー学園内の誰かが上に通じている筈だ。
「で、調べた結果が最悪だったんスね。」
「最悪だったな、まず学園内にいる大人は全員黒だ。先公、警備員、清掃員…数えたらキリがない。」
「そもそも、今考えたら可笑しな話です。黒妖学園は人、妖、守り人の共存を理念とした学園であるにも関わらず、人である生徒はその理念を知らない。」
「まさか人の生存率、妖の理性、守り人が妖を滅する基準…、それをデータ化し、お偉い方々が理論する。……実験施設だったとはな。」
「静の隠雲の術ではないか、との推測も正しかったですね。」
「……………」
「暗示の内容は、《妖が人、又は守り人を殺めた場合は、殺められた存在は学園内の者から無かった存在となる。》…よーくココまで調べられたっスね。」
「そこのカスと違って頭の出来が違うんだ。」
「滅すぞクソ野郎。」
「仲が良いねー。」
「「ねー!」」
……暗示の内容は、《妖が人、又は守り人を殺めた場合は、殺められた存在は学園内の者から無かった存在となる。》
妖が、か………
つまり、あのサッカー部主将の不可解な事件は
ーーー人が、やったのか
鈍器で頭を殴られた挙句、ドリルで脳幹をぐちゃぐちゃにされた気分に陥る。
「……とりあえず、何処に逃げるおつもりで?」
「とりあえず
ーーー此方へおいで。」
背後から聞こえたのは
何処か懐かしい、男の声だった。
なんやかんやで叉丸が好きです←