表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/101

咎人(6)



まさかこのシリーズがここまで長くなるとは←






修道院昭道視点




保健室のドアの前に、その男はもたれ掛かっていた。




真っ直ぐな青い髪は窓から反射される光でサファイアのように静かに輝き、瞳の奥に見える鱗は、此奴が龍の一族だった事を連想させた。





しっかりと真面目に着こなされた制服が少し乱れているのに驚いたが、それは一瞬の事だ。





此奴が龍の力である《神風》を使っていた事を思い出し、仮にその力を全力で使えば、この学園もろとも吹き飛ぶだろう。…彼奴にそこまでの力が残っているかは知らないが。




龍とは神の使徒、この世界では恐れ敬われる存在





だからこそ









堕ちた龍は、どの種族にも蔑まれる。





堕ちた龍とはつまり









ーーー神に見放された悪だからだ





乱れた制服の中に見えた所々の擦り傷を見て、蒼蛇鱗の力が弱まっていることが窺える。





「ジロジロ見ないで下さい。きもっ」



「お前もそれを言うか。」





蒼蛇鱗は眼鏡を外していた、そのせいで瞳の奥の鱗が不気味に見える。





「……眼鏡は?」



「言わなくても分かっているくせに、白々しいですね。」





確かに検討は付いているし、今からそれを問いただすつもりだ。





「…何故、雪乃静を襲った?」



「襲っていませんよ、失礼ですね。…静が、咲良田杏を押し倒していたんですよ。」





「最初は庇うつもりでいたのですが。」と蒼蛇鱗は目を伏せ、溜息を吐く。





「本当、庇うなんて…おこがましい。」





後悔、というよりも懺悔のようなその呟きに俺は少し驚く。





此奴、こんな顔するのか。





今、この顔を此奴の親衛隊が見たら驚くだろう。最悪、悲鳴をあげるんじゃないか?





「……ジロジロ、見ないで下さい、気持ち悪い。貴方の目的は分かっていますよ。……咲良田杏は寝ています。さっきまで起きていましたが……」





「……そうか。」







ーーー咲良田杏







この女が入学してから、立て続けに事件が発生している。そして、その事件ら全てに関与している。





まるで、不幸を呼んでいるみたいだ



あの病的な程白く、か細い手で手招きし



あの血のような真っ赤な唇で、誘う





「彼女には、静に首を絞められたのだ、と言っておきました。」



「……もう少しましな嘘は吐けないのか。」




「例えば?」


「……雪乃がアル中で台風12号がお前の部屋に襲来してな。」



「もう少しましな嘘が吐けないのですか?」



「お前が言うな。」





だが、雪乃静が首を絞めた……なんて言って大丈夫なんだろうか。





「そもそも、貴方は彼女をお彼岸太夫だと疑っているのでしょう?」



「それ、誰から聞いたんだ?」



「凪ですが何か?」





ーーーいや、それは可笑しい。




俺は彼奴に《咲良田杏をこの件の容疑者として疑っている》と言った筈だ。だが、《咲良田杏はお彼岸太夫じゃないかと疑っている》なんて言った記憶はないし、そんな穴だらけの推測を言う訳がない。





「おい。」



「なんです?」



「お前………誰だ?」
















「おや、バレてしまいましたか。」






次回は

次回は

次回は次回です←



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ