咎人(5)
咒君のキャラも徐々に明らかになってきましたねー。
修道院 昭道視点
「え、なんでっスか?」
「鱗が共鳴している、……保健室か。」
「え、なんで分かるんスか?きもっ」
「お前は人の話を聞いてたのか?」
鱗は共鳴し、微かな熱を帯びている。俺は宝石として売れば大層な金額になるであろうそれを睨みつけた。
「俺は保健室に行くが、言いたい事は分かるな?」
そう言いながらも咒をあまり信用していない俺は首輪のリードを雪乃静に託す。
「え、逆じゃないスか?」
「え、お前は雪乃に首輪を付けたいのか?きもっ」
「イインチョ、それブーメランっスからね!?」
「きもっ………」
「此処で発した初めての言葉っスよね、それ。」
鱗はまだ熱を帯び、共鳴している。
その熱はまるで主人の元に還りたいとでも言うかのようだ。
忌々しい、還ったとしてもどうする?
鱗は主人の一部に戻る事は無い。
共鳴するだけ無駄だ。熱を帯びても無意味だ。
こんな些細な事で苛々するのは溜まりに溜まったストレスだろうか……涙がちょちょぎれるな。
蒼蛇鱗しかり、あの生徒会には訳ありしかいない。雪乃静だってその一員だ。
…だからこそ、憎みきれないのだろう。
『全ての妖が悪だと思うなよ…。俺たちはあくまで闇の中で生きているだけだ。それを勝手に白黒善悪つけるんじゃねぇよ…‼︎』
そんなの、分かりきっている。
そんなこと、分かっているんだ。
それでも、俺が陰陽師である限り
ーーー妖を認めるわけには、いかないんだ。
そしてそれは、妖も同じ考えだろう?
大方、俺が蒼蛇鱗を馬鹿にするような言動をとったせいだろうが、部屋を出るまで俺に妖力をぶつけてきた雪乃に苦笑いをしながら部屋を出た。
ーーーーーー
「それにしても、驚いたっスよ〜。」
「…………」
冷たい空気の中、凍てつく部屋で呪術師と雪女の末裔という何とも異色なコンビが話をしている。
「…………凪。」
側からみれば
「なんスか、静。残念ながら俺は…あんたを庇うことは出来ないッスよ。」
そう言って呪術師は己を縛る首輪を弄る。
「あー、やっぱり何か術掛けてる!!なんスかもー!ビリビリ?ピカピカ?それともドッカーン?!」
擬音語と擬態語がブームなのか、それとも唯の馬鹿なのか、神のみぞ知っているのかもしれない。
「……ど、して?」
「んー?」
「ど、し、…て、そ、ちら、側に行っ、てし、ま、った、の?」
「…………」
「ど、して?どー、し、……て?」
「……そもそも俺は、此方側のモノでもあるんスよ。」
そう言った呪術師は首輪を弄るのをやめ、静の隠れた前髪をあげる。
「……やっぱ前髪無い方がイッケメーン…っスよ?」
「話、を……」
「そらすなって?イヤイヤイヤ、本当のことッスから。」
「ま、じ…な……。」
雪女の末裔は泣きそうな顔をして呪術師を見る。
「戻るつもりはないっスよ、俺は……ちゃーんと選んだっス。」
『お前の血が完全な半妖であったとしても、人として生きるか、妖として生きるか……決めるのはお前だろう?』
「俺は、人として生きるっス。」
そう、元生徒会議長は生徒会書記の頭をくしゃくしゃにした。
次回は副会長と風紀委員長の会談っぽい何かにしたいな←