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咎人(3)



副会長って難しい事を考えていそうな感じしますよねー








蒼蛇鱗視点





静を放っておいたが、今頃風紀委員に保護されているだろう。





だが、頭が馬鹿な方々でもこの事件の違和感を感じ、勘のいい奴らは違和感を感じる暇もなく、静を《容疑者》に切り替えるだろう。





要は時間の問題だ。





…それでもまだ、静は《被害者》の立場に立っているだろう。




静を庇うなんておこがましい。

結局はこの事件をややこしくしただけだ。





……それでも僕が欲しかったのは、考える時間。

あのまま風紀委員に流されていたら、見えていたものも見えなくなってしまう。





その為に態々僕は窓から飛び降り、人目の付かない道を歩き、保健室のベッド側の窓から侵入したんだ。








咲良田杏というモノが何者なのか

本当に、唯の不幸体質の哀れな憐れな少女なのか、それとも……








「……お姉ちゃん、か……。」





その言葉は僕にとって毒だ、僕を殺す為に作られたような毒………僕は致死量の毒を一気に飲み干した気分に陥る。





静の言う『お姉ちゃん』は静にとって、とても大きな……大き過ぎる存在だったのだろう。





それこそ、お彼岸太夫を何百年と憎み続ける程………憎んで憎んで憎み続けて









その先に希望など、無に等しいのに








そもそも、何故静は咲良田杏を《お姉ちゃん》と呼んだのだろう。





静は姉の死を信じていない訳でも受け入れていない訳でもない。

静は姉の死を受け入れている、現に姉の死因を聞いたら「魔女狩り……」と、それはそれは低い声で呟いていた。





なら、何故?





………………





仮に、仮にだ

静が情緒不安定だとして、姉を恋しく想って、咲良田杏を姉だと見間違えたとして、咲良田杏を襲ったとして





いや、違う

何か大切なことを、忘れている





僕は頭の引き出しを全て開けるように思い出そうとする。





静の顔は雪化粧という雪女の能力は使っていない。いや、使えない、あの雪山でしか雪女は雪化粧を使えない。使えたとしても妖力を使い過ぎて最悪……





そもそも、雪女の末裔ではあるが静の顔は美形の部類に入るだろう。その理由は男だからだと思っていた。…その考えも、あれを見たのだから、考えを変えなければいけないかもしれないが。





だか、静の姉は間違いなく雪女であり、雪化粧をしていた筈だ。本来は………醜女だっただろう。





だが、咲良田杏は醜くはない。むしろ…





…静は姉の雪化粧をしていない顔を見たことがないのか。いや、それは当たり前か、あの雪山に暮らしていたら、雪女の雪化粧の能力は永久不滅に等しい。





だとすれば、静の姉の雪化粧は咲良田杏の顔に瓜二つだったのか。








「………待て。」





1つ1つ、自分の考えを組み立てていくうちに、脳内が水面に一粒の水滴を落としたように、じんわりと染み込むような結論に支配する。







怖い







それは初めての畏怖だった





翼をもがれたあの時も、湧き上がってきた感情は怒りだったのに





物事とは、そんな単純に出来てはいない。

少なくとも、この学園で頻発している事件も、学園の闇も、この段階ではまだ《仮定》の結論を下しているだけだ。





咲良田杏が事件の容疑者であるというのも、1つの仮定に過ぎない。





だが、脳内は支配されてしまった








《もし、咲良田杏がお彼岸太夫であれば、静の姉に出会ったのかもしれない》




《もし、咲良田杏がお彼岸太夫であれば、静の姉は雪化粧でその美しさを写したのかもしれない》




《もし、咲良田杏がお彼岸太夫であれば、サッカー部主将を不幸にしたのかもしれない》




《もし、咲良田杏がお彼岸太夫であれば、静を狂わせたのかもしれない》




《もし、咲良田杏がお彼岸太夫であれば》




《もし、咲良田杏がお彼岸太夫であれば》




《もし、咲良田杏がお彼岸太夫であれば》













畏怖した





畏れて怖れた










こんな結論に支配されている自分の無能さに






次回は久々の風紀委員長と副委員長の登場ー‼︎




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