表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/101

咎人(2)



副会長も書くの楽しいですな←








蒼蛇鱗視点





別に、何か胸騒ぎがした訳でもあの2人の動向が気になった訳でもない。





上記の一文を見れば、式部や凪は「ツンデレ乙でーすww」と人差し指を此方に向け笑うだろう。






腹が立ってきた、その人差し指をへし折りたい。






だが、僕は何故か咲良田杏の自室の前にいた。本当に何故かは分からない。僕は本を借りに旧図書室に行き、生徒会室に戻ろうとした…筈だ。





「………戻ろう。」





咲良田杏は静に任せておけばいい。正直なところ、僕は咲良田杏を疑ってはいない。確かに、サッカー部主将の事件と体育祭での事件に咲良田杏は深く関わっているが、それ以外に不審な点は何もない。只の真面目な生徒だ。





……けれど、心の何処かで僕は

彼女を《悪女》だと思ってしまう自分がいた。





それは生徒会長も「偏見じゃないか?」と少し呆れた顔をしていたが、確かにその通りだ。これは完全に、僕の生い立ちによって生じた偏見だ。





…現在、咲良田杏を疑っているモノは風紀委員長くらいだ。





他に疑っているモノはいない、強いて言うなら生徒会長くらいだろう。





式部や凪、あと双子の方舟と魔守は咲良田杏を庇い気味だし、私は中立でどっちつかずと言える。





静は………分からない。彼は基本的に何を考えているか分からない。

だが、異常な程、お彼岸太夫を憎んでいる事だけは知っている。その理由は姉の死…だそうだ。





この学園に入学し、初めて生徒会室に入ろうとした時の事を思い出す。







ーーーそれにしても、今年の生徒会のメンバーはバランス取れてて良いですね




ーーーそうじゃのぅ、前にいた彼奴らは些かなるしすとであった




ーーーその前の生徒会の奴等は人を見下し過ぎだったし




ーーーその前の奴等は学園崩壊寸前にして退学させたのぅ




ーーーその点、今年は本当にバランスが良い




ーーーそうじゃのう、そうじゃのう




ーーー唯一、欠点といえば




ーーー訳ありが揃った事、くらいかのぅ




ーーー特に、雪乃静は…




ーーーあの子は姉の死で、変わってしまった




ーーーあの子が今生きているのは




ーーーお彼岸太夫を殺める為じゃ







「……難儀なものですね。」





そう誰もいない廊下で寂しく零した言葉は、誰も受け止める事なく響く。





…早く戻ろう、こんな女子寮の、それこそ部屋の前で立ち止まっていたら、あらぬ噂がまた立ってしまう。




あの面倒くさい親衛隊のリーダーは停学中だが、副隊長は健全で親衛隊自体も活動している。…気を付けなければ








「いつまで、しらばっくれるの?」



「……ひ、」





それは、防音である扉を通り抜けて聞こえてきた。

静はいつもの吃音のような話し方ではなく、それが返って不気味だった。







「……やっと、見つけたと思ったのに、








ーーーお姉ちゃん」





その言葉と同時に妖力が溢れ出てきたのを肌で感じた。それは雪女の妖力……ではなかった。











それは




ーーー理事長ぬらりひょんの妖力だった





何故、どうして

その2つの言葉が頭を支配している。





ぬらりひょんは、この世界に一妖しかいない




雪女の子どもは純血だ




ーーー混血なんて、ある筈がない





答えなんて決まっていた、信じられなかった。……理解が出来なかった。





けれど、愚鈍な頭でもこの状況が不味い事ぐらい直ぐに分かった僕は、鍵が掛かっていない幸運な扉を開けリビングに向かう。





リビングには目に見える程の暗い霧に覆われていた。その妖力の禍々しさに思わず息を止める。





僕は何とか人影を…咲良田杏と静を探す。

暗い霧、夜行性である妖にはこんな霧、大した事ではないだろうが、あいにく僕は昼行性だ。この暗い霧は少々厳しい。





だから、僕は強行突破に出た。





「……龍をナめるなよ。」





龍の力を扱ったのは久し振りだった。そのせいか、所々皮膚に引き裂かれたような痕が残る。その傷は、僕の心を引き裂く。





……霧は払拭され、窓が割れた。

これは後で言われるな、噂が立つな。と何処か他人事のように思いながら、僕は2人を探す。





2人は壁際に倒れていた。咲良田杏は大方、静の妖力に当たったのだろう。…あの時のように、覚えていなければいいが





静は膨大な妖力を放出し、尚且つ僕の妖力に当たったせいか、気を失っていた。僕はそれを放置……駆け付けるであろう風紀委員の方々に任せ、咲良田杏を俗に言うお姫様抱っこする。





咲良田杏は驚く程軽かった、鳥の羽よりも軽いと言っても過言ではない。…しっかり食事を取っているのだろうか?





……本当は、咲良田杏と僕は風紀委員からの事情聴取を受けなければいけないだろう。







だが







「………貴方の為ではありませんよ。」







ーーー静を庇うためです







大勢の足音が聞こえる中、僕は窓から飛び降りた。









次回は保健室ターン

視点はそのままです‼︎



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ