死神の存在理由(2)
やっと…やっと…!!
雪乃静編終わりましたー!!
叉丸視点
そう、最初から矛盾していたのだ
とある雪女と男が江戸に駆け落ちした
だが男は雪女の素顔が醜いと知り、雪女から逃げた
男は雪山に戻った
雪女も同時、又は仮に何年後かに雪山に戻ったとする
そして、坊と出会い、坊と過ごした時期が約300年間
坊が雪女に不信感を抱き、麓の村に降りてきた
そして、とある爺さんと婆さんに出会う
その爺さんと婆さんには息子がいて
息子は夜鷹に夢中
爺さんはその夜鷹をお彼岸太夫といい
爺さんが昔、駆け落ちし、江戸で出会った女
爺さんは駆け落ちして帰ってきた
ゲテモノとして村の連中から扱われ
婆さんはそれを考慮して村の外れに住んだ、約50年も
………分かるだろう?
仮に雪女と駆け落ちし、雪女から逃げ、婆さんと結婚したとする。
…そんな事が出来るのは妖のような寿命の長い奴らだけたという事を
雪女と男が同時に雪山に帰ったとしても、雪女が坊と過ごした300年、男、惑い爺さんが婆さんと過ごした50年、その差は250年もある。
なら、その空白の250年は何処?
ーーーーーー
『父親と息子の魂は混ぜられた。』
そう、父親と息子の魂は混ぜられた。
大方、父親は昔、只の女と江戸に駆け落ちしたのだろう。そして何故か戻ってきた。
村の連中からはゲテモノのように扱わられたが、ある女を嫁に娶った。
……だが、訳ありの男の嫁になる女など、訳ありに決まっている。
「…恐らくあの婆さんは、子どもが生めねぇ身体だったんだろうな。」
坊をすんなり受け入れた事も、それが理由だろう。
人情など言ってたら飢えで死んじまうこのご時世で、口減らしで血の繋がった子を捨てるこのご時世で
赤の他人である坊を3週間も居させたのは
実の息子のように可愛がったのは
「あの息子も捨て子だったんだろうな、息子は知っているか知らねぇが……」
だが、父親は穴いらずに殺され母親は流行り病に殺された
息子は天涯孤独となった
そんな哀れな息子は雪女と恋に落ちる
そして、雪女を見捨て
……雪女に殺された
『その父親と息子の一生は似ていた、魂を混ぜても支障は無いほどに。』
「…皮肉なもんだ、坊を闇に堕とす為だけに此処までするとは。」
『……混じり物は時に危険だ、特に、光と闇を混ぜるのは禁忌にも等しい。』
「真逆に坊は、純潔の雪女の末裔ではなく、混じり物として生まれてしまった。」
それも又、あの男に目を付けられた理由の1つに入っているだろう。
「あの男は、手駒の1つと言っていた。
ーーーまだ、増やすつもりだろう。」
捨て駒を作らないなら、作るのはそれ相応の駒
お彼岸太夫を己のものにするための駒
風が木枯らしを誘う、思い出すのはあの子の事だけだ。
笑った顔が好きだった。
無邪気に笑うあの子の姿は鮮明に残っている。
けれど、心の何処かで
あの子に暗い欲をむけた、鬼蜘蛛の気持ちが分かってしまう己がいた。
どんな事をしても、あの子に会いたいと願った鬼蜘蛛の気持ちを
胸が騒めいてる。あの子に会って、潰れるほど抱き締めて、舌を甘噛みして、ドロドロに溶けきった目を舐めて、………いっそのこと
「………ああ、
ーーー食っちまいてぇな。」
そう、死神は目を細め、真っ赤な舌を舐めずる。
少しずつ、狂い始める死神に
妖樹は、悲しそうに騒めいていた。
爺さんと息子の記憶がどう混濁したかはご想像にお任せします、爺さんと婆さんがどうやって動いていたかは後々分かる予定です、多分←
次回は副委員長とお狂ちゃんを絡ませまーす。