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哀れな女は(2)



話がややこしくなる前兆だけど気にしないで下さいね←








雪乃静視点





村から出ていける道が見えた時、見覚えのある顔に足止めをくらった。





……いつの間にか居なくなっていた糞爺だった。





いつもは軽い冗談を言い合えるけれど、いつもはなんやかんやで仲が良いけど、今はそれどころじゃない。…この糞爺がひどく邪魔に思えた。





「糞爺、どい、て…!!」



「…それは無理だな。」





糞爺はいつもと違う声色で俺を見る。ガラガラの声は透き通り、爺さんの皮を被った若者のようだ。

そんな事を考えているなんて知らない糞爺だが、目を細め、まるで全てを知っているかのように俺を見る。





けれど、あの黒い男のような薄気味悪さは感じられない。





だけど、今はそんな事どうでもいい。邪魔だ、邪魔だ酷く邪魔だ。俺の脳内は次第にそれ一色に染まる。





「どけっ、て、言、って、る、だろ………!!」





俺は自分の感情を抑えきれず、次第に当たりは氷の中にいるように、冷たく、悲しい色に変貌する。




氷の刃は糞爺を取り囲む、糞爺の目に氷の先端が牙を向く。けれど、糞爺は怖気もせずに俺をまだ見てる。





「引き返せ、今なら間に合うかもしれない。」



「何、言っ、て……!!」



「姉は村にいる。」



「…………………え?」



「聞こえるだろう?炎の音が。」



「あ……。」



確かに、聞こえた。ぱちぱちと火花が散る音、花火よりも小さく、けれども沢山の火花の音が





「坊、この村は雪女をどう殺すか知ってるか?」



「……………」



「この村は元々、雪女の存在に悩まされてきた。…当たり前だ。雪女は子を成すために男を利用するだけ利用し、凍らせ死なすからな。」





糞爺は指を指す。その方向に姉さんはいるのだろうか。




「行け、…今はただ、…ただ、信じてくれ。」




俺は、糞爺の指差す方向に無我夢中で走った。




もしかしたら騙されているのかもしれない。だって、糞爺は俺と姉さんの正体を知っていた。もしかしたら、俺と姉さん共々殺すために誘導したのかもしれない。





けど俺は








ーーー糞爺を信じたかった







ーーーーーー




「…行かせたんですか?」



「…坊を唆したのはてめぇか?…混じりの紛い物が。」



「おや、手厳しい、しかも口が悪い。あの擬態の喋り方の方が……よろしいのでは?」



「そんな事どうでもいい、坊に手を出すんじゃねえ。」



「何故?貴方とあと子供は何の関係もない。」



「……てめえに関係あるか?」



「いいえ?微塵程度はありますが。」



「…てめえこそ、どうして坊に執着する。」



「私は手駒が必要なのです。…あの子は最初の手駒にする予定なので







ーーー邪魔しないでもらえますか?死神。」





ーーーーーー




ぱちぱちと、火花が飛び散る音が近づく。

その音が聞こえる度、そこに姉さんがいない事を、心のどこかで願ってしまう。




火花は色鮮やかに夜を侵す。まるで闇は光に勝てるとでも言うかのように、火花は俺を嘲笑う。





真っ直ぐ、真っ直ぐ走る。走れば走るほど火花が眩しすぎて俺は目を細める。





火花のの先の光景は、決して良いものではないだろう。最悪の未来が脳にこびり付いて離れない。





「姉、さ、ん……!!!」




ーーーーー




「俺は昔、この村で無残な雪女の姿を見た事がある。」



「そうですか。」



「あの忌まわしい光景は、俺の支配域で見た事がある。」



「それは












ーーー魔女狩りの事でしょうか?」







次回は魔女狩り回ですかね←




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