哀れな雪女は(2)
後、3、4話くらいで静くんのお話終わりますかね⁇←
???視点
「もう、終わりだ。……俺たちはもう終わりだ。」
「え……?」
俺は今、どんな顔をしているのだろう。
少なくとも、仮面のように無表情なはずだ。
「……何も聞かない、何も言わない。だからお願いだ。…終わりにしよう。」
「ど、うして………?」
「……………」
「わ、私、私何かした?あ、貴方の気に触るような事……」
気に触るような事?そんな事はしていない。
ただ、彼女が隠していた過去は余りにも重く、あまりにも惨酷で……
「いや、違うか……」
「え…?」
違う、本当は違うんだ。彼女が悪い訳ではない。
本当は分かっている、本当は理解している。自分の心境も、どうして別れたいのかも、どうして離れたいのかも
けれど、それを言ったら駄目だ。それを言ったらいけない。
だって、だってそうだろう?
だって言えるか…?
ーーーお前の顔が嫌だから
なんて
「…………すまない。」
「謝らない、でよ。」
「………すまない。」
「ねえ、理由を言ってよ。」
「……すまない。」
「…答えてよ。」
「…すまない。」
「答えてよ……!!」
「すまない、すまないすまない…!」
綺麗事なんて言えなかった。けれど言い訳なんて馬鹿な頭じゃ考えられない。
彼女を傷付けたくない
彼女の悲しむ顔を見たくない
彼女に新しい道を歩んで欲しい
そんな事を心の何処かで、他人事のように考えてはいたが、それ以上に、自分が最低な人間だと認めたくなかった。
まだ、そこまで落ちぶれた人間じゃないと、必死にもがきたかった。
「あ、わ、私ね、新しい雪化粧をするの、貴方もきっと、気に入ってくれる筈だから、だから………!」
「新しい……?」
どういう事だ?あの能力は、雪山でしか不可能な筈だろう?
「そ、そうなの、新しい雪化粧、凄く綺麗な顔なの、……雪化粧の能力は、雪山じゃなかったら、かなりの妖力を使うけど。」
「…………」
「ね?…だから、考え、なおして………?」
なんで、こんな事になったのだろう。
彼女を愛していた、本当だ、信じて欲しい。
けれど、人はこんなにも愛が冷めてしまうのか
たかが、顔が変わっただけで
ただ、それだけで
夕日はいつのまにか沈んでいた、辺りは人影すらなく、城下町である筈の風景は無かった。
夕日が沈むだけで、こんなにも暗くなるだろうか?そう思って上を見たら
この世で見たこともないような悍ましい化物どもが、食い合っていた。
「な、何あれ………」
化物どもの奇声と咀嚼音の中、彼女は声を震わせ、言葉を発した。
化物どもは次々と集まり、気持ち悪いほど群がり、遂に空や屋根の上で食い合っていた化物は地面に降り立つ。
目が合った、気がした。
俺は咄嗟に彼女の手を掴み、走る。
彼女を突き放したのに、中途半端な正義感が自分の首を絞める。これじゃあ彼女に勘違いしてくれと言ってるようなものだ。
だが、どうする?どうすればいい?
宿はもう受け付けてくれない、野宿なんて化物どもの格好の餌だ。
「なんじゃ主、何故雪化粧をしておらぬ、わしが折角教えてやったのに。」
その男は目の前にいた。
けれど、俺は決して後ろを振り返りながら走っていた訳ではない。ましてや後ろをずっと見ながら走るなんて事も出来ない。
本当に、ただ前を見据え、前だけを見て走っていたのに、男はいつの間にか目の前にいた。
「あ、貴方は………」
彼女はその男に見覚えがあるらしい。酷く驚いた表情だった。
「ところで、何故逃げるんじゃ?」
「あ、それは………」
「主ではない、そこの男よ。」
「お、…俺?」
「そうよ、主よ。主は逃げなくてもよかろう、…主は人なのだから。」
「え……?」
意味が分からなかった。化物は普通、人を襲うものだろう?俺はそう父から教えられた。
人は、人ならざる力も人ならざる者も信じない奴が多いが、確かにこの世には其れ等が存在すると、教えられてきた。
「妖どもが狙っているのは、主よ。ーーー雪女。」
「………え?」
特に書くことはないかな‼︎←