それはまるで(3)
今回も短いお話
というより、毎回短いですけどね‼︎←
どうしましょう、1週間1話ペースを変えて2週間に1話ペースに変えましょうか←
(作者が頑張ればいい話だけどあえて言わない語らない)
???視点
夜が明けた
もうすぐやって来るであろう朝日を睨み付けながら、俺は彼女の身体を抱き上げ、橋の下に…まるで日から逃げる様に身を潜める
あの夜鷹の女は己の古巣に戻りにやってきたのだろうか
あの筵が証拠だ
………だが、一体何のために?
古巣に戻って懐かしむ
男との性交の後を?
大切なものを落とした
夜鷹の場合、金目の物の殆どは借金の肩代わりか、換金して終わりだ
…いや、そもそもだ
そもそも、あんなに若い女が…どうして夜鷹まで堕ちた?
そんな事を延々と考えていたら、河川敷の上にいる奴らがえらく騒がしい事に気付いた
寝ている彼女をチラリと見て、少し風呂敷がズレていたので元に戻し、側に捨てられたボロボロの筵をかけ、俺は人に話を聞きに行った
「どうしたんだ?一体何の騒ぎだ。」
「どうやら、人が川に流されたらしいんだよ。」
そう脂の塊みたいな男が言う
「違うよ、あんた。死体が川に流されてんだよ。」
そう男と同じように脂みたいな女が言う
「しかも、臓物がまるっきり抜け落ちてるらしいじゃないか!」
その話を聞いた狐みたいな男が囃し立てる
その話を聞きながら、物騒な世の中だなと思いつつも…心のどこかで他人事のように思っていた
そんな話を聞いても、実感が湧かないのだ
むしろこの話の大部分は噂で、枯れ尾花だと確信めいていた
「あ、あれだ!あれがあの……!!」
そう言って男が指を指した先の、その死体を見るまでは
「ちょ、ちょっと……!!なんで筵被して無いのさ!」
「知らねぇよ!!…気持ち悪りぃ。」
「俺、ちょっと吐いてくる……うぷっ」
それは、役人が死体を簡易的な荷車で運んでいる姿だった
その荷車はガタガタガタと死体を運ぶ
石に躓いたせいで、腕がぼとっと落ちそうになる
…人の腕は、あんなに脆かっただろうか
辺りは嫌な空気が漂い始め、筵を被せない役人に非難の目が向けられる
役人はバツが悪いといった顔で
「仕方ねぇだろ、評定所が決めたんだからよ。《その罪人、死して尚裁かれるべし、城下町にて晒し回せ》ってな、……さあ、どいたどいた。飯が食えなくなっちまうぞー!」
そう言って今度は石に躓かないように、ゆっくり荷車を引く
俺は口を覆いながら、興味本位でその罪人とやらの死体の顔をおがむ
その顔は、見覚えのある顔だった
あの、河川敷で絡んできた男だった
ーーーーーー
「ひひっ、ねえちゃん。むしろはぁどこだどこだぁ?」
「…ふふ、こちらですよ。」
「こちらもぉ何もぉ?ねぇじゃねぇかぁ。」
真夜中、丑三つ時、妖の刻
提灯も持たずにふらふら歩いた、この男が悪い
「…………あ?」
夜鷹の背後の影は、笑った
光のない夜の闇よりも深い影は
笑った
「旦那様、美味しいですか?」
「調理しなくて、大丈夫ですか?」
「旦那様、旦那様。」
「返事してくれないと、寂しいです。」
夜鷹は影に縋るようにしがみつく
男だったモノは、臓物のない歪な体になっていた
「旦那様、頭はともかく、体はちゃんと食べて下さい。…力が戻りませんよ。」
「…ンなこと言ってモよ。臓物イガイ食べニくい。」
「この年ハ、本当に嫌ダなぁ。」
「旦那様、仕方がありませんよ。」
「旦那様、閏年に力が弱まってしまうのだから。」
次回はお狂ちゃんと御対面ー‼︎
のはず←