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夢現(4)



なんか弟欲しくなってきた←



作者は弟を欲しがった


母は冷たい目で此方を見る


効果は抜群だ


効果は抜群だ(涙








雪乃静視点





「い、もう、…と……?」



「はい、妹です。」







そう言い、土に擦らせていた頭を上げ、涙が零れ落ちそうな目を擦り、笑う。





その人の容姿は、一言で言えば《美人》だった。可愛らしさは微かにあるが、綺麗な長い黒髪、雪のように白い肌、血色の悪い唇すらも、彼女の美しさを際立たせる代物だった。





「私は、とある理由で雪女の集落を追い出されちゃったの。…それは、私の自業自得なんだけど…けど、やっぱり私は、此処にしか居場所が無かった。」





止まらない涙、とうとう零れ落ちた涙、彼女が擦ろうとするのを遮り、俺は涙の滴を親指で拭う。






「泣か、ないで……」



「泣いてなんか、ないよ。……ふふ、本当に馬鹿だな、私。………本当に、…馬鹿。」






そう言いながら、まるで自分の犯した罪を懺悔するかのように、ただただ涙を流す彼女を、俺は放っておけなかった。







「泣いちゃ、駄目……。」







そう言って、頬に残る涙の跡をぺろっと一舐めした。彼女の涙は、雪女にしては温かいものだった。







…この人がなんの罪を犯したかは知らない。けれど、彼女が悪い人だとは思えなかった。








だから、俺はこの人を信じることにした。








「俺は…、雪女た、ちか、ら、…化け、物って呼、ばれ、てる。…こ、んな俺を…拾って、くれ、る?」



「…っ!、貴方は、化け物なんかじゃありません!…っ貴方は私にとって、可愛い弟のようなものです!」









その言葉に俺は、心の底から安心した。









俺はまだ、必要とされているのだと







……まだ、愛されているのだと







こうして俺と、…姉さんとの生活が始まった。






ーーーーーー





「姉さ、ん……今日、何、す…?」



「今日は屋根から落ちた雪を落としましょう。」



「放って、お、いた、ら、落ち、る。」



「念には念を、ですよ?」








「姉、さ、ん…食、料……」



「ああ、雪女の集落で買ってきて……あっ、…私、山で動物を狩りに行きますね。」



「…………」








「姉さ、…………痛、い…?」



「ふふ、痛くないですよ。それにしても、参ったなぁ。…動物も狩れないくらい、妖力がない、なんて……。」



「………………」








「っ!静……!?どうしたんですか!その傷…?!」



「………はい、これ。」



「え、これ………食料…。」



「…ん、」



「……もう、馬鹿なんですから。…本当に、馬鹿なんだから。」









「静。」



「…な、あに?姉、さん…」



「どうして、私を〈姉さん〉って呼ぶの?」



「ど、うして、そん、な事、…聞く、の?」



「えと、ほら、私たちの関係から言えば、静にとって私は普通…〈おばさん〉なんじゃないかなって…」



「…雪、女は……自分の、美し、さを誇、って、いる、から、…老、けて、いる、よう、な言、葉は慎、んだ、方が、良いって……………母、さまに、言わ、れた。」



「……そう。」








「姉、さん、…夜、はいつ、も何処、に行っ、てる、の?」



「……静、どうしてそれを………」



「………」



「…ふふ、大丈夫ですよ、静。貴方が心配するような事は、なんにも無いから。」



「………姉さ、ん。」



「大丈夫、大丈夫、私はまだ戦える。」



「姉さ、…ん…?」



「ふふ、大丈夫、大丈夫、私はまだ戦える。」









「姉さん……口、紅?」



「そうよ、綺麗でしょ?」



「…………いつも、の、方が…良い。」



「ふふ、そんなこと言わないで、血みたいに真っ赤で、とっても綺麗でしょ?」



「姉、さ、ん…?」











いつからだろう







いつからだろう







姉さんが狂っていったのは






姉さんが壊れていったのは















「簡単な質問ですね。そんなの







ーーー初めからですよ。」








そう、サトリは嗤った。










次回は静君の幸せが崩れていきます。

小さい頃に両親の《自主規制》とか見たらトラウマになるあれです。




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