その男が見たもの(2)
私の小説の間話がこんなにも長い←
紅海 神羅視点
俺が佐鳥純平の病室に来た理由は、副会長である鱗の親衛隊の後始末だった。…過激派である鱗の親衛隊が佐鳥純平の黒幕ではないか、という噂を故意に広めたと確実な情報が入ったのだ。
この噂の真相はこうだ。まず風紀副委員長である凪が、とある女子生徒にあのサッカー部主将の不可解な事件には黒幕がいて、それが佐鳥純平だと睨んでいると話た。
だが、それを偶々聞いていた鱗の親衛隊隊員が親衛隊隊長の……誰だったか、まあ、親衛隊隊長に報告した。それを知ってしまった親衛隊隊長は華宮桜の幼馴染である佐鳥純平にそんな噂がたてば華宮桜の精神的に追い詰められるし、あわよくば生徒会が軽蔑して離れていくと踏んだ。なんとも陳腐で下らない作戦だと思ったが、…それで自殺未遂をしてしまったのだから、責任は俺たちにもある。
早急に親衛隊隊長の…誰だったか、まあ、其奴は停学処分にした。停学が終われば互いの両親も含めた話し合いを行う事も決定している。佐鳥純平は一般家庭の生徒だが、妖ではあるので人の親よりかは話しやすいだろう。…鬼である事に気を付ければ。
そもそも、この親衛隊隊長は鱗が管理しているのだから、鱗が佐鳥純平に謝罪する筈なのだが…鱗は謝る気は無さそうだ。まあ、鱗はプライドが高い男だからと、目を瞑っておこう。そうだ、プライドが高いだけの男では無いのだから。……アイツのように。
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そして、俺は病室に来たのだが、病室のドアの横で本を読んでいる少女がいた。その少女は見覚えがあった。見覚えも何も、最近、風紀委員長が目を光らせている咲良田杏だった。
咲良田杏の第一印象は《生きていない》だった。失礼だとは思ったが、吸血鬼だからこそ分かる死の匂いが微かにした事と、笑っている筈なのに目が仄暗い事もあり、生きていないと一瞬勘違いしたのだ。だが、死人でもなければゾンビの類でも無いので俺の鼻がひん曲がったのだろう。
咲良田杏の第一印象は《美人》《少し抜けている》《優しい》など、他の生徒は妖、人、関係なく統一性があった。だが、不思議なことに生徒会の役員は咲良田杏の第一印象は全く異なる代物だった。
まず、副会長である鱗は《悪女》、……それは単にお前の偏見じゃないか?と一瞬呆れたが、鱗が言うには、「あの手のタイプは無自覚に人を堕とすタイプです。」らしい。補足すればただ落とすのではなく、堕ちるところまで堕とすタイプだろうだ。
書記である双子の魔守と方舟は《あいしたがり》、これに関してはさっぱり分からなかったが、魔守や方舟が言うには目を見れば分かるそうだ。
そして会計の静は何も言わなかった。だが、少し不可解なことを言っていた。初対面をした後、生徒会室で静はポツリと、俺にしか聞こえないような声でこう言ったのだ。
ーーーおねえちゃん、と
次回もお楽しみに‼︎←
修羅場介入しまっせ