表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/101

代償(2)



これで‼︎修道院昭道のお話終了です‼︎

これ、一体何話あるんだろう(軽く恐怖←

happyendを目指して頑張っています、これでも






久留里 涼風視点






とーりゃんせ




とーりゃんせ





こーこはどーこのほそみちじゃ





てんじん、さまの、ほそみちじゃ





ちょーっと、とおしてくだしゃんせ





ごようのないものとおしゃせぬ





このこのななつのおいわいに





おふだをおさめにまいります





いきは





「涼風……?」



「………あるじ様。」





雨が絶えず降り続ける放課後の空、部活に入っているものたちは学園内で活動し、ウチは誰もいない、色のない世界を歩いていた。





そんな中、あるじ様が傘を持ちながら、器用に車椅子を押す姿は危なかしくて、ウチは思わず走って車椅子の後ろ…自分の定位置に向かう。




「……そんなに慌てなくても大丈夫だ。」



「あきまへん、…タイヤが滑ったらどうするつもりです?」



「それは……」





その言葉にまるで子供のようにそっぽを向くあるじ様に、ふと…先生の姿を重ねてしまう。





「まったく、あるじ様といい先生といい、ウチの周りはどうしてこう強情な方が多いこと。」



「…先生、…修道院か。」





そう言い、どこか暗い表情を浮かべるあるじ様に戸惑う。強情と言う言葉が気に食わなかったのだろうかと、心配になる。





「さっきまで、修道院と共にいたのか?」



「はい。資料の整理を手伝ってました。」



「…修道院とか?」



「はい。……それが何か?」



「そんなの……修道院の周りの女にやらせればいいだろう。」



「まあ、そんな事言わんといて下さい。ね?」





そう言っても尚、包帯の隙間から見える目を見れば分かる程不服そうな顔をするあるじ様、雨のせいで包帯が湿っているのだろうか?それで気分が悪いとか……





「そう言えば、あるじ様は人魚の唄について知っとります?」



「人魚の唄……?ああ、そう言えば学園内でかごめ唄の呪いが流行っているんだったか。」



「はい、…人魚の唄は、人々の心を揺さぶる。」



「…正確に言えば、人魚の唄はその歌詞に惑わされるか、唄の最終的な意味に惑わされるかのどちらかだ。」



「……?」



「…そうだな。例えるならかごめ唄だ。かごめ唄の歌詞は





かごめ、かごめ





かごのなかのとりは





いついつでやる





よあけのばんに





つるとかめがすべった





うしろのしょうめん、だあれ





この歌詞に惑わされた場合、自分は籠の中にいると思い込む。そしてその籠から飛び出そうと、夜明けに逃げ出す。するとすべってしまった。後ろには、誰かがいる。…となる。」




「…何が滑ったかは、教えてくれまへんのですね?」



「………後ろには誰かがいる。に着目したほうがいいんじゃないか?」





そう言ってどこかジト目でウチを見るあるじ様は正直、とても愛らしい。包帯から見える濁った目がウチは好きだ。





「次に、唄の最終的な意味に惑わされた場合だ。これは説明しなくても分かるだろう?かごめ唄なら…有力なのは







ーーー流産だ。」





その言葉に少しビクッとしてしまった。…らしくない。けれど、ウチは子供が流れて死ぬのは嫌いだ。子供は最も簡単に流れて死んでしまう。

…身を以て体験しなかったのが、せめての救いだと思う。







ーーーあの世界の片隅ではいつも、未熟なまま生まれて死んだ亡骸を抱きしめ…泣き叫ぶ女がいた。







「例え、腹の中に赤ん坊がいなくても……何かが流れるんだろうな。」



「…臓物とか?」



「やめろ。」




「申し訳ありません。」





誠意も反省も全くない表情であるじ様に謝罪すると、あるじ様は呆れたような、いや、呆れた顔をしてウチを見上げる。こんな風に視線が合わさるのは酷く不思議な気分だ。




「…だが、修道院が唄ったら悲惨な事になりそうだな。」





「最近、《かごめ唄の呪い》を修道院に唄わせようとする女子生徒が増えているだろう?」と心配そうな顔をするあるじ様。





「そんなに、先生の霊力は豊富で?」



「あぁ、あの霊力の量ははっきり言えば異常だ。まるで組み合わせてはいけないものをマぜたような…」



「……そんな先生が唄を唄ったら、どうなるんでしょうかね。」



「少なくとも、言霊になるな。言葉に霊力が篭る。そして、さっき言った人魚の唄の力…人魚の唄はその歌詞に惑わされるか、唄の最終的な意味に惑わされるか、その選択肢自体が無くなる。」



「……………?」



「いや、言い方が悪いな。一言で言えば



ーーーその両方を作動させる。」





その言葉にウチは目を見開く。そんなにも先生の霊力は豊富なのか。たかが、唄を唄うだけで




…弟はんの霊力は平凡だと言うのに

それは、まるで…弟はんを一族の魔の手から無意識に守るように




「………先生ほど、兄だと思う方はありまへんわ。」





ーーーそれはまるで、生まれた時から弟はんを庇い続けてきたかのように思えた。





「ああ、そうだ涼風。あまり、とおりゃんせを唄うなよ。」



「?…なんででしょう。」





ーーーーーー





『ああ、一つ言っておくが、あまりその唄を唄わない方がいい。』



『…?、どうして?』



『何故かって?ーーーそれは……』











『「その唄は本来、口減らしの唄だからだ。」』













かごめ唄やとおりゃんせは様々な説が存在します。その中の有名な説を参考させていただきました。


次回は少し物語のキーワード話になるかも…?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ