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代償


約束を守らない人間はクズだ!

どうもクズです←

この話で終わる予定でした。

予定って言葉、辞書で調べて下さい←






久留里 涼風視点




「へぇ、そんな事がありんしたか。」





思いの外、仄暗い過去話に思わず目を伏せ、視線を逸らす。





「……結局、自分語りしちまった。あー、お前って本当、話聞き出すの上手いよな。」





そう言って頭をぽりぽり掻く先生は、罰が悪そうな顔をしながら小さく溜息を吐く。





「あちき、これでも花魁りゃんす。」



「元、な。」



「ま、廓詞があべこべな、ちと愛嬌ある花魁りゃんす。」






そう言ってクスクス笑うと、先生はなんとも言えない顔で、いや、「それで良いのか?」と言うような目でウチを見る。






「……けど先生、ちと気になることがありんす。」



「ん?何だ…?」



「先生、幼い頃、不審者に弟はんの記憶を封じた代わりに、己の霊力を払ったりゃんしょ?」



「……ああ、そうだ。」



「…嘘をおつきなんし、先生は数刻前の事すら忘れたと?」






その言葉に先生は「あー、やっちまった。」という体勢をとる。信頼されているのは嬉しいが、この男、大丈夫かと少し心配になる。





「莫大な霊力のせいで先生は、唄を唄えない…やったよね?」



「…………ああ。」



「あれれー?おかしいぞー?」



「やめろ、某探偵漫画の子供の真似はやめろ。」



「…それ以前に、そのシニガミの最後の言葉に










ーーーそう。……だが、代償は払えよ童。代償は……そうだなぁ。




ーーーその膨大すぎる霊力をもらおうか。










……先生はなんの返事もしとらん。」



「…」



「ただ、弟はんに別れの言葉を呟いただけ、その間を先生はあえて言わなかった。」



「………言っただろ?俺は自分語りなんて洒落た事は苦手なんだよ。」



「……洒落た事、ねぇ。……これは、単なるあちきの憶測でありんす。」






そう言ってウチは伏せた目を開き、先生の目をじっと見つめる。





「あんたがアった男は死神でありんす。ウチが知っている死神は魂を狩るもの、人の死が視えるもの…あとは











ーーー寿命を、奪うもの。」








その言葉を聞いた途端、先生はまるで猫のように目を細めたあと、また、瞼を閉じる。





「まだ、しらばっくれるつもりなんし?」



「…ああ、俺から教えるつもりはねぇよ。」



「そう、ならもういいわ。」






その言葉に先生は酷く驚いたような顔をして此方を見る。大方、ウチが真実を暴くと思ったのだろう。






「あちき、別に真実を暴く事が好きな名探偵じゃないりゃんす。………踏み込んでは行けない境界線は、弁えてるつもりでありんす。」



「…やっぱ俺、お前好きだわ。」



「寝言やなくて世迷言でありんす。虫が痛いわ。」









そう言い、ウチは片付け終わった資料を先生に手渡し、鞄の準備をする。









本当は、先生の払った《代償》が何かもう解っているのだ。それでも、それを口に吐き出した瞬間…先生が、どこかに行ってしまうような気がして。








ーーーウチの手がすり抜ける場所に、行ってしまうような気がして








「先生、薄命よりも、長寿の方が断然ええ人生なんし。」



「…急にどうした?」



「殉死、誇りのための死、愛する人を守りたいから死ぬ、………日の本の方々はそれを美化する傾向がありんすが…平々凡々で、時に苦労し、それでも幸せで長生きする…美化されんくても、それは何よりも幸せな人生りゃんす。」






その言葉に先生は何か察したのか、目をそらす。まるで頑固な子供のようだ。






「代償は、元に戻らないから代償なんし。過去は変えれんもの。」



「わかってんだよ。んなこと。」



「あんた……」



「短くてもいいじゃねぇか。俺は誇りを捨てれなかった訳じゃねぇ。……昭道の兄である証を捨てられなかったんだよ。」



「………そう。でありんすか。」









その言葉が真意かどうかは、ウチでも分からない。







雨は、まだ終わらない。









という訳で次回は続きです。

また涼風ちゃん視点です。

後、涼風ちゃんのあるじ様も出てきます。



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