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やっと会えた


こんないかにも感動モノのタイトルなのに中身はギャグとシリアスとシリアルが混じるっていうね←






修道院 昭道視点




「…こんなところで何をやっているんだ?」



「お前がな。」



「此処は、学園生以外は立ち入り禁止だ。」



「まず息子をしまえ。」



「…誰に会いに来たんだ……イテッ」



「なにチャックに挟んでるんだ!?…あぁ、貸せ!俺がしまう。」



「ちょ…!?待て待て待て……!お、落ち着け。お前がしまったら俺は体にも心にも深い傷がイテテテテテ。」







《お見苦しいところをお見せしました》





《もう暫くお待ち下さい》







「……それで、お前は誰に会いに来たんだ?」




そう言ってさっきまでの見苦しい場面をカットするかのように緩んだネクタイを更に緩め俺を見る男。




「…その前に、アンタの名前を聞いて良いか?」




もしかしたら聞き間違えかもしれない。もしかしたら衆道淫って苗字かもしれない。とりあえず無駄にでかい息子をチャックに挟むような男が兄だったら俺はショックで死ねる。







「俺か?…俺は修道院道成だ。」







ショックで死にそうだ。







「…お前が此処にいるって事は、大方俺に会いに来たんだろう?」




さっきまでのチャラさとギャグは何処というような雰囲気と、まるで自分の心の奥底を握り潰されたような感覚に、俺は俯く。




「……帰れ。」



「…は?」



「帰れ、………見ての通りだ。お前の兄はチャラチャラしてパツキンで下半身がゆるくて女子生徒を食い物にしている最低劣悪のクソ教師だ。…自分の目で俺を見極めたかったんだろうが………無駄足だったな。」



「…………」





そう言って男は俺に背中を向け、真っ赤な薔薇のアーチをくぐる様に歩く。…その姿を俺は、何処かで







『じゃあな、ーー。



ーーーもう、ーーーねぇだろうが。』







真っ赤な朝日、大きな背中、遠ざかって行く影、朧げになっていく記憶、消えていく思い、最後に見たのは…






『じゃあな、…き…ち。



ーーーもう、……ことはねぇだろうが。』







「待って、下さい。」





その言葉に男は反応はしたが、振り向いてはくれない。





「ほんとうに…ほんとうに


ーーー兄さん……なんですか?」





今更何を言ってるのだろう。脳みそがミキサーにかけられたみたいにグチャグチャで、何から順に話せばいいか分からなくなる。





「俺、記憶がないんです。」





抜け落ちた記憶、あったかどうかさえ分からない記憶、もう、戻ることはないだろうと言われた記憶





「兄さんは、落ちこぼれだから要らない子だと…母から言われて」




ーーーだから、あの子なんて気にしなくていいのよ





その言葉が俺をどこまで傷つけたかなんて、母さんは知らない。





小学校の兄弟持ちの子が羨ましかった。





「要らない。」「俺ん家のクソ兄貴やるよ。」





…普通に育ったからこそ、言える言葉だ。






俺も、兄と共に過ごしたらそんな言葉を言えるほど、兄を煩わしいと言えるほど、一緒にいたかった。






公園でキャッチボールをしたかった。母さんに下らないイタズラをして笑い合いたかった。一緒に勉強をサボってみたかった。母さんに秘密で少しだけでいいから悪い遊びをしてみたかった。そのあと母さんに2人で一緒に叱られたかった。次の朝には忘れるようなケンカをしたかった。好みの女の子の話をしたかった。





……側にいて、欲しかった。





「けど、落ちこぼれとか、そんなの関係なくて…」





母さんも最初はぼかしていた。兄がいない理由を、兄が幼い頃に破門にされた理由を





問い詰める俺に痺れを切らし、母さんは話した。




……知ってしまった兄の過去






…けれど、例え、兄が父を殺した犯人だとしても、………それでも俺は






「俺はっ……兄さんに会いたくて…!」








俺は……あんたの弟なんだ。



あんたの、弟なんだよ。







「…さっきのボロクソはどこいったんだよ。」







そう言って男は背を向けたまま、空を見上げる。




「兄さんじゃねぇ。」



「……え?」







「お兄たまだ。」







そう言った兄は、とてもうすら寒いジョークを言ったことなど忘れたかのように、振り向いて満面の笑みを浮かべた。






心の奥底で、幼い頃の俺が






ーーー笑っているような、気がした。






次回でこの章は終わりの筈だ‼︎

未来のことなんて分からんが←




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