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其れは必然だった 〜サトリは独りワラう〜



今回は黒乃くん視点っす‼︎

最近黒乃くん書いて無かったから楽しくて楽しくて←







黒乃視点




なんて哀れな兄弟だろうと思った。




弟を守るために僅かな思い出を捨てた兄と




己すら知らぬ心の奥底で兄に会いたいと叫び続ける弟




それに、まるで魂を狩り取ったように弟の記憶を封印した死神と





盲目的にカミを信じ、全てを狂わす哀しき女





これだけのキャストであるにも関わらず、この兄弟の過去は余りにも








ーーー悲劇キゲキではないか








ーーーーーー




「貴方の兄は白妖学園という、黒妖学園の兄弟校で教師をしております。」



「…会うか、会わないかは、貴方次第です。」






そう言って、俺は黒妖学園の資料を修道院 昭道の手元に置き、その場を去る。




その表情は、心を読まなくても想像が付く。






ーーー兄に会いたい






その一言である。



なんとも美しい兄弟愛じゃないか。







それにしても、修道院の前当主はまんまとお彼岸太夫に惑わされたものだ。






いや、彼方が勝手に狂わされたのか







まあ、どちらにしても修道院の前当主はお彼岸太夫と出会い、まんまと惑わされ、邪魔な化物を殺そうとし、逆に化物に殺された。





そんなつまらないシナリオだろう。





本当は、弟の記憶を奪っても良いと思った。

寧ろ、最初はそうしようとした。





例え、記憶を奥底に封印したとしても、お彼岸太夫に会った事など一目瞭然だった。それは俺がサトリだからだが…





いや、俺が陰陽師と妖の落とし子という理由もあるか。






なんにせよ、最初会った時は奪おうとしたのだ。






ーーーあの記憶を、見るまでは






『そう、ですね……、少し達観としてモノを見てたと言いましょうか、自分の置かれている状況がよく分かっているといいますか、…いえ、一言で言えばマセている子供でした。』





『赤ん坊の頃から育てていたんです。…その子は、周りの方々からどんな扱いをされても、凛と前を向く、…とても強い子でした。』





『だから、その子に

ーー黒乃と言う名前を授けたんです。』





『誰にも汚されない、貴方は《黒》そのものだ。という意味を込めて…』





どれほど、嬉しかったか分かるか?




お彼岸太夫は最低1000年以上は此の世に存在している。そんな中、俺と過ごした日々はほんの僅か





覚えていないと思ってた。それは仕方ないことだと割り切っていた。






けれど、覚えていた。






俺を、黒乃を、覚えてくれていた。




次第と笑みが溢れ出す。片手で顔を隠そうとするが、自分でも分かるほど、ポーカーフェイスが崩れている。




あの夢を思い出す。抜殻とも言えるお彼岸太夫の死体を睡蓮の咲く池に沈ませる夢。





「早く、はやくはやく会いたい。」





お彼岸太夫を殺すために、美しく死なせる為に、駒は揃えているのだ。






ーーーお彼岸太夫を恨む雪女の末裔




ーーーお彼岸太夫に救われ利用された陰陽師




ーーー純粋無垢な哀れな華女





どの駒がお彼岸太夫を殺すだろう。






胸が苦しいと喚いている。



仕方ないだろう?






もう、お彼岸太夫に狂ってしまったのだ。くるってしまったのだ。







「次に会うときは







ーーー貴方が冷たい躯になる時だ。」






その幸せな未来を想像し、俺は足を踏み出す。






ーーーーーー






「………」






冷たい冷たい雪山には、もう何も残っていない。




歩いても歩いても、白い白い雪が地面を覆っているだけだ。






ーーー静






歩けば歩くほど、…大好きな姉さんの声が聞こえるのだ。






ーーー静






歩けば歩くほど、姉さんの声が大きくなるのだ。






ーーーお願い、静






大好きな姉さん、俺を唯一《弟》として扱ってくれた姉さん






ーーーお願い、静…私を






姉さんはとても美しくかった。綺麗な長い黒髪、雪のように白い肌、血色の悪い唇すら、姉さんの美しさを引き立てる産物だった。






ーーーお願い、静…絶対に私を






姉さん、姉さん、姉さん







ーーー許さないでね







姉さん、何処にいるの?









次回は兄弟の再会‼︎

最後の意味深な終わり方は作者の趣味です←




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